思春期の子に増える「将来やりたいことが見つからない」との向き合い方

家族・人間関係

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2023.10.30

臨床心理士・公認心理師のyukoです。何者にもなれるけど、何者にもなれない気がする。そんな思春期の時期は将来について悩む子が増えてきます。親世代では想像しえなかった現代特有の悩みや、親とは異なる性格だからこそ抱える迷いなど。関わり方に戸惑う親御さんも多いのでは。将来を案じる思春期の子との接し方を考えていきます。

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「自分には何もない」「何をしたいかわからない」

思春期になると、「やりたいことが見つからない」と悩む子が増えてきます。
特に、親が専門職に就いていたり、子どもから見て憧れるような存在になっていると余計に悩むケースが多いよう。
「親のようにはなれない」「自分には何もない」と、比較しやすくなるからです。

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また、世間の風潮として「“好き”を仕事にできたらよい」傾向があります。
たしかに、自身の趣味や特技を認められたら嬉しいし、やりがいを維持しやすいかもしれません。
ただ一方でデメリットやリスクも見落としたくないところ。

「自分には何もない」「何をしたらよいのかわからない」
そんな風に悩む思春期の子に、どのようなメッセージを伝えていけるとよいのでしょうか。

なぜ、やりたい仕事が見つからず悩むのか

“好き”を仕事にしたいけど難しい

「将来の夢は?」と聞かれても答えられない子がほとんど。
一方、「今気になっているもの」や「ハマっていること」を聞かれたら夢中になって話をする子はとても多いです。

しかしそこで、「今持っている興味関心から将来について考えたら?」と伝えると、ほとんどの子が「無理に決まってる」「できるわけない」と言います。
「自信を持って!」と励ますのもひとつかもしれませんが、そのような言葉は空振りに終わるケースがほとんど。

なぜなら、「アイドルが好きな子」=「アイドルになりたい子」ではないですし、「本が好きな子」=「将来の夢は作家」でもないからです。
このように、“好き”を仕事に”を一本筋で考えてしまうと、行き詰ってしまいます。

周囲の大人はここで、

  • アイドルが好きなら、アイドルをサポートする仕事も楽しいかもね。
  • 本が作る過程にはどんな人たちが関わっているか知ってる?
  • 美味しいもの食べてるとき本当に幸せそうだよね。食品に携わる仕事は本当に幅広いんだよ。

など、好きなものに関わる職の視点を広げる声かけができるとよいでしょう。

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好きなものが長続きしやすい子、狭く深い分野に興味が限られている子は、“好き”を仕事にするのがおすすめです。

仕事にしたいと思うほどの‟好き”が見つからない

上記のように、“好き”と仕事を繋げるのもひとつですが、“仕事は仕事”と分けるのもひとつの選択肢。
“好き”を仕事にできている人は楽しそうだと思い、憧れがちですが蓋を開けてみるとそうとは限りません。

“好き”を仕事にする人の中には、

  • 仕事の出来が自分の価値に影響している気がする。
  • 仕事を辞めたら、自分に何が残るんだろうと心配。
  • うまくいかなくても手放しきれず、職を変えにくい。

と悩む方も多いです。

一方、“好き”にこだわらずとも自分が大切にしたい価値観を知っていれば、仕事は嫌なものではなくなります。

  • 「お金」に重きを置きたい。
  • 「プライベートの自由時間」を大切にしたい。
  • 「職場でのコミュニケーション」が活発な方がいい。

労働には、仕事内容だけではなく、人間関係や拘束時間、給料がつきもの。
重要視したい価値観に合う職場であれば、十分な充実感を感じられます。

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幅広い分野に興味を持てる子や、与えられた環境下で力を発揮しやすい子は、‟仕事は仕事”と切り分けて考えるのがおすすめです。

思春期だからこそ味わえる悩みや迷い

子どもは、親が充実感を持って働いている姿を見たら「私も同じようにできるのかな」と不安になり、親が仕事を嫌がっている姿を見たら「大人になんてなりたくない」と後ろ向きな考えになってしまいます。
見てほしくないところを見られる一方で、伝えたい考えはなかなか伝わらなかったりと、子育ての悩みは尽きませんよね。

ただ、悩む思春期の子と一緒に話す中では、その子が持つ意外な考えや豊かな可能性に気づかされるときも多いものです。
「思春期だからこそ味わえる悩みや迷い」を気長に支えていけるといいですよね。
 

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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