教えてくれたのは…島谷留美さん
親子カウンセラー、言葉がけコーチ。「ママの学校」主宰。やんちゃな男子3人を育てる壮絶な育児期間中に、アメリカ発祥の心理学「親業」を学び、2017年「親業」をベースに自らの子育て経験から編み出した独自の言葉がけプログラムを開発。著書は『モンスター三つ子男子の母ちゃんが見つけた 子どもに伝わる魔法の「ほめ方」「叱り方」』。
『モンスター三つ子男子の母ちゃんが見つけた 子どもに伝わる魔法の「ほめ方」「叱り方」』
著者:島谷留美
定価:1,540円(税込)
“お母さん”をやっているだけですごい
――子どもへの言葉がけなどを学ぶ「ママの学校」を主宰されていますが、子育て中のママたちに島谷さんが伝えたいことはありますか?
「ママの学校」に来るほとんどのお母さんが、「私、ちゃんと子育てできていません」と言うんです。でもね、みなさんちゃんとお母さんやってるんですよ。子どものことを見て、宿題のチェックしたり、YouTubeの制限したり、ご飯を作っているじゃないですか。毎日たくさんのことをしています。“お母さん”でいるだけですごいんです。みなさん、そういう自分を見てないんですよね。
――自分でハードルを上げてしまっているということですか?
私は、お味噌汁を作ったら「今日はママ、お味噌汁まで作っちゃった。すごいよね」って子どもに言います。自分に厳しくするのではなく、たくさんOKを出してあげてほしいんです。お味噌汁を作った自分OK! 今日は、子どもの話をちゃんと聞けてOK! 子どもたちがケガもなく無事に1日を終えられたOK! それで良いんです。
――ママたちはやることが多すぎて、自分を褒めることなんて忘れていますよね。
子どものために必要なお金は使っても、お母さんたちは自分のためにはなかなかお金を使わないですよね。美容院に行ったら、毎回ではなくてもときにはトリートメントをするとか、欲しい服を買うとかおいしいものを食べるとか。そうして自分が頑張ったことをいたわってあげてほしいんです。自分が好きなことをして気分転換ができるようになると良いと思います。
旦那さんは妻の笑顔が大好き
――ママたちが笑顔になるためには、自分をいたわることも大事なのですね。
頑張りすぎちゃってるなぁと思ったら、自分の弱点を家族に見せることも大事です。家族が求めているのは、完璧なお母さんではなくて笑顔のお母さんです。
私は夫婦カウンセリングも行うのですが、中にはお父さんと個別でカウンセリングすることもあります。個別でカウンセリングをすると100パーセントのお父さんが、奥さんの笑顔が大好きだとおっしゃいます。
――「ママの学校」でママたちは旦那さんの愚痴が止まらないとおっしゃっていましたよね。旦那さんたち、切ないですね……(笑)。
だから、奥さんが笑顔でご機嫌よくいられるには何ができるのかを考えてみてと伝えます。お母さん自身にも、「私が笑顔でいるために何ができるのかな」って考えてもらいたいんです。
ママが自分を褒めることがまず大事
――旦那さんのそういう気持ちを知る機会ってなかなかないですよね。
カウンセリングに来るぐらいですから、夫婦関係をなんとかしたいという想いも強いと思います。「うちの妻、すごく忙しそうで帰ってくるとイライラした顔してるんです。僕が何かすると舌打ちするけど、僕どうしたらいいんですかね」って悩んで、奥さんのことをすごく考えているんですね。
――そう思っていることが奥さんには全然伝わっていない気がします。
私の講座では、”褒めるタイム”という時間があるんです。参加しているお父さんに、「お子さんではなく、ぜひ奥さんに褒め言葉をお願いします」と伝えます。最初はテキストに書き込んでもらうのですが、途中でマイクを渡して奥さんに伝えてもらうんです。「こんなこと、普段はあんまり言わないんですけど……」と言いながら、「毎日、おいしいご飯を作ってくれてありがとう。君のおかげで僕は仕事ができています」なんて言うと、一緒に参加しているお母さんは涙を流すこともあります。
――普段は忙しくて時間がない場合でも、お互いに気持ちを伝え合う機会があると良いですね。
やはり当たり前のことも、言葉にしないと伝わらないですよね。家族がハッピーに過ごすためには、まずお母さんが機嫌良く過ごすことが大事なんだと知ってください。そのために「今日も私頑張ってるね!」と自分自身を褒めてほしいと思います。子どもや夫を褒めましょうとよくお伝えしますが、その前にまず自分を褒める。それができるようになれば、子育ても夫婦関係も劇的に好転しますよ。
頑張り屋のママたちこそ、自分の頑張りを褒めて機嫌良く過ごすことが大事なんですね。ひとつ物事がポジティブに動き出せば、家族の車輪は連動してうまくまわりはじめるはずです。
【島谷さんインタビュー連載】
第1回:「モンスター三つ子男子の母」が“怒鳴る育児”を見直したキッカケとは
第2回:子どもが自ら考える。「しなさい」と言わずに“子どもの気持ちをくむ聞き方”とは
第3回:「わが子に褒めるところがない…」と思ってしまう親が今すぐできる“褒め方のコツ”
第4回:「また感情的に怒っちゃった…」が減る。子どもを叱るときの“NG言葉”と“ただしい伝え方”
第5回:「夫婦で会話がない…」と思う人が実践すると会話が増える“2つのこと”
第6回:(当記事)「自分のことは常に後まわし」はNG。家族が幸せに過ごすために忙しいママが“今すぐできること”