「モンスター三つ子男子の母」が“怒鳴る育児”を見直したキッカケとは

家族・人間関係

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2024.04.19

自らを「モンスター三つ子男子の母ちゃん」と呼び、親子カウンセラー・言葉がけコーチとしてご活躍中の島谷留美さん。ご自身の経験を踏まえてアドバイスする子育て術は、子育てに悩む多くの親御さんの支えになっています。今回はそんな島谷さんに、ご自身の子育てや現在の活動についてお話を聞きました。

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お話を聞いたのは……島谷留美さん

島谷留美さん

親子カウンセラー、言葉がけコーチ。「ママの学校」主宰。やんちゃな男子3人を育てる壮絶な育児期間中に、アメリカ発祥の心理学「親業」を学び、2017年「親業」をベースに自らの子育て経験から編み出した独自の言葉がけプログラムを開発。著書は『モンスター三つ子男子の母ちゃんが見つけた 子どもに伝わる魔法の「ほめ方」「叱り方」』。

魔法の褒め方叱り方

『モンスター三つ子男子の母ちゃんが見つけた 子どもに伝わる魔法の「ほめ方」「叱り方」』
著者:島谷留美
定価:1,540円(税込)

小学校から毎日のように電話が……

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――三つ子の男の子を育ててきた中でたくさん苦労があったということですが、島谷さんの子育てについて聞かせてください。

子どもたちはすでに成人し、長男は私大医学部。次男は、私と同じく総合商社。三男は、外資系コンサルティング会社でそれぞれの人生を生きています。3人とも自分の希望する大学に入ったり仕事に就いたりして頑張っている今の状況を、20年前の私は想像もできませんでした。

三つ子男子の子育ては、まさに想像を絶する大変さ。しかも、学級崩壊主犯格になるようなやんちゃな息子たちだったので、私の子育ては本当に大変の連続でした。

――学級崩壊の主犯格とは、インパクトのあるワードですね。

よくクラスにいるジャイアンみたいな子どもたちだったんです。「なんでこんなふうに育っちゃったんだろう……」と悩みました。小学校に入学してからは、毎日のように学校から電話がかかってくるような日々でした。

――毎日のように! それは確かに大変ですね。3人のうち誰かではなく3人とも同じタイプだったのですか?

「島谷さんのお母さんですか? 今日は、長男くんが3時間目の図工で作った凧を、4時間目の国語の授業になっても4階の窓から身を乗り出してあげていました。危ないので何度も何度も怒ったんですけど、全然やめなかったのでお母さんからも注意してください」と電話があるんです。長男を怒ると、「楽しかったからさ、なんでそんなに怒ってるの?」といいう態度。

また別の日には、「今日は三男くんが踊り場で相撲を取っていて、お友達が階段から転げ落ちて骨折しました」と。うちの子が骨折してくれた方がよかった! と思いながら菓子折りを持って謝りに行くなんてことは数えきれないくらいでした。

菓子折りを持って謝罪。悔しくて涙したことも

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――何度も菓子折りを持って謝りに行く中で、息子さんたちに伝えていたことなどはありますか?

必ず息子を一緒に連れて謝りにいきました。同じようにやんちゃなお子さんのお母さんだと、「お互い様ですから」と言ってくださったりするんですけど、もちろんお叱りを受けることの方が多く……。「躾はどうなってらっしゃるんですか?」と言われることもありました。悲しくて悔しくて頭を下げながら涙を流したこともあります。そのときはそこまで考えていなかったけど、今となっては、息子に自分がしたことでお母さんが泣いている姿を見せたのは良かったのかなと思います。

――お子さんたちをあまり怒らなかったのですか?

いえいえ、喉が腫れるほど怒鳴ってばかりでした。「魔法の言葉」があるなら教えてよ! という状況です。常に、「この子たちが変わる方法があるんだったら教えてほしい。私の育て方は間違えてたの?」と考えていました。学校の準備も言わないとやらないので「早くやらないと、アイスはなしよ!」と言って、何かしてほしいときはいつも脅しながらさせていました。「こんなこともできないなら、学校なんて行かなくていい!」とランドセルを外に投げつけたこともあります。とにかく怒ってばかりのお母さんでした。

――今の島谷さんからはとても想像できないお話です。その時は、どうしてそのような状態になっていたと思いますか?

当時の私は、相手を変えようって頑張っていたんです。子どもが変わるにはどうしたらいいかなっていうことばかりを考えていました。

“傾聴”を学び、変化した子育て

――その状況が変わったきっかけはなんだったのでしょうか。

アメリカの臨床心理学者の「相手を変えるのではなく、自分自身が変わることによって相手が変わることがある」という言葉を知ったときにすごく印象深い言葉だなぁと感じたんです。「私自身が変わるのか……。何を変えたらいいんだろう」って。それを機に、米国発祥のコミュニケーションプログラム「親業」を学び始めたんです。

――「親業」でどのような学びがありましたか?

“傾聴”です。相手が今何を考えてるのかをしっかり聞くということを学びました。それまでの私は、「今日学校で何やったの?」というのが“聞く”だと思っていたんです。けれど、それはコミュニケーションを阻む質問で尋問になるからNGだと知り驚きました。

――「親業」を学んで、子育てに変化が起きたのですか?

子どもが何かする時って必ず意味や意思があることがわかってきました。凧あげが楽しかったのも、本当に楽しかったからなんです。相撲取っていたらお友達が階段から落ちてしまった。それは意地悪でやったわけではなく、たまたまそうなってしまった。 子どもたちは、本能で生きている動物なんだなぁと思うようになったんです。この学びが私の子育てを大きく変えました。

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島谷さんは現在「ママの学校」を主宰し、子育てに悩む多くのお母さんたちに寄り添っています。子育てについてたくさん悩み、考える時間を持った島谷さんだからこそ共感できることがたくさんあるのかもしれません。次回は、島谷さんが「親業」を学んだあとに起きた子育ての変化についてお話を聞きます。

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著者

山田かほり

山田かほり

フリーライター歴10年。読んだ人の心にふわっとした空気が流れるような記事や情報をお届けできるよう心がけています。

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