教えてくれたのは……小林青果株式会社
創業以来70年以上にわたり、北九州中央卸市場にて青果の生産者と小売店舗のバイヤーを結ぶ仲卸業を営む小林青果株式会社。九州各県だけでなく、全国各地から旬の食材や特性の強い商品を仕入れ、お客様へお届けしている。安全で安心できる食品の提供はもちろん、作り手の思いや熱量、消費者の期待、販売店の信頼を大切にしている。
野菜と果物、「何でもすべて冷蔵保存すればよい」はNG!
野菜や果物の鮮度を保つためには、適切な保存方法がとても重要です。
多くの人が「野菜や果物を冷蔵庫に入れることで長持ちできる」と考えがちですが、実はすべての食材が冷蔵に適しているわけではありません。一部の野菜や果物は、常温で保存することが推奨されており、冷蔵すると品質が損なわれる可能性があります。
スーパーマーケットの青果売り場をイメージしてみてください。冷蔵保存が適している食材は冷蔵ケースに、常温保存が適している食材は常温で販売されています。
「冷蔵保存」と「常温保存」どっちが正解?
今回は、夏野菜の代表「なす」と「トマト」をはじめ、日常的に食べる機会の多い野菜や果物の正しい保存方法をご紹介します。
なす
なすの正しい保存方法は、「季節によって異なる」が正解!
夏を除く時期は常温保存、夏は冷蔵庫の野菜室で保存するのが短期間であれば適しています。
冷蔵室に入れて5度以下になると、低温障害で変色したり傷んだりする可能性があります。量が多いときは、適当な大きさに切って冷凍保存しましょう。
トマト
トマトの正しい保存方法は、「赤くなってから野菜室で保存する」が正解!
トマトは、夏場は青いうちに収穫され、追熟して赤くなります。青いうちに冷蔵庫に入れると追熟が止まってしまい、美味しくなりません。赤く色づいてから野菜室に入れるのがベターです。
バナナ、アボカド、メロン、洋ナシ、パイナップル、マンゴー、パパイヤなど
上記の果物の正しい保存方法は、「食べごろになるまでは常温保存」が正解!
追熟を促すために、常温保存が望ましいです。これらの果物は、冷蔵庫に入れると追熟が止まってしまい、食べごろにならないことも。また、もともと暖かい場所で実る作物なので、低温障害を起こすこともあります。
常温で適度に追熟させた後は、冷蔵庫で保存しましょう。
芋類・根菜類
芋類・根菜類の正しい保存方法は、「適した場所での常温保存」が正解!
じゃがいも、さつまいも、里芋などの芋類や、玉ねぎ、ごぼうなどの根菜類は、風通しの良い冷暗所で保存することが適しています。これらの野菜は、光に弱いため、直射日光を避ける必要があります。
特に、じゃがいもは光に当たると緑色に変色し、ソラニンという有毒な物質が生成されるため、注意が必要です。
暑い時期の保存には要注意
夏場のように気温が高い時期は、通常は常温保存で保存する野菜や果物も、冷蔵庫で保存したほうが良い場合があります。高温になると、野菜や果物は傷みやすくなるため、冷蔵庫での保存は鮮度を保つのに有効です。
食材の特性を知り、食品ロスにつなげよう
最適な保存方法を選ぶためには、それぞれの食材の特性を理解し、環境や気温に応じて柔軟に対応することが大切。野菜や果物を美味しく安全に楽しむには、正しい知識での保存方法が求められます。
知識を身につけておくことは、日々の食生活において非常に有益であり、食品ロスの削減にもつながります。皆さんも、家庭での食材保存について、もう一度見直してみてくださいね!