教えてくれたのは……マインドトレーナー 田中よしこさん
株式会社コレット代表取締役。心理学・脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。個人セッションやセミナーなどを中心に、潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。著書に『自分の気持ちがわからない沼から抜け出したい』(KADOKAWA)がある。
「自分に甘く、他人には厳しい人」の心理的な特徴
自分のミスには寛容なのに、子どもや配偶者、職場の同僚などに対しては厳しい目を向けてしまいがち。自分に甘く、他人に厳しくなってしまうことはありませんか?
このような感情は、時に自己嫌悪やストレスの原因となることがあり、誰でもこのような状態に陥ってしまう可能性があるのです。
今回は、「自分に甘く、他人に厳しい人」の心理的な特徴を3つ解説していきます。
1.共感力に欠けている
自分に甘く、他人に厳しい人は、相手の立場や感情に寄り添うことができず、共感しにくいことが多く見られます。
自分が簡単にクリアできることを他人ができていなかった場合には理解を示そうとしない一方、自分ができない側の立場になったときには大目に見る傾向があるのです。
自分のことも、相手のことも深く理解しようと努めることで、共感力を強くすることができます。視点を広げる意識をもって過ごしてみましょう。
2.自己防衛で自分の価値を守ろうとする
自分に甘く、他人には厳しい人は、「認められたい」「責められたくない」という欲求から、自己防衛する傾向があります。他人を評価し比較することで、「わたしのほうが上だと思える」「わたしが責められなくて済む」という確認をしながら、自分の価値を見出そうします。
「失敗した自分を認めたくない」「人から悪く思われたくない」という意識が強いと、自分に対する厳しい評価を避けながら自己価値を保とうとするのです。
これらは、心理学的には自己防衛メカニズムの一部とされています。誰でも持つ可能性のある心理なので、注意しておきたいですね。
3.完璧主義の影響
完璧主義の影響においては、「自分に甘いこと」と「他人には厳しいこと」は、別々の解釈になります。
自分に甘い人は、完璧主義を避けるために自己評価を低く設定する傾向があります。
このような思考でストレスを回避しようとしますが、長期的には自己成長を妨げ、自信を損なうおそれも。生きづらくなる可能性があることを知っておきましょう。
他人に厳しい人は、完璧主義の影響が強く見られます。
「自分は完璧ではない」と感じていて目標を高く設定するため、他人に対しても高い期待を抱き、厳しい評価を下すのです。いつも自分が頑張っていて無理をしているぶん、そうでない人を見ると苛立ちを感じやすくなります。
自分を理解し、他人に対する理解も深めていく
他人に対して厳しい目をもってしまうかどうかは、その時々の自分の余裕や価値観によっても変わってきます。私たちは他人に気をとられがちですが、まずは自分自身の考えていることを理解し、それから他者理解も深めていくことが大切です。
哲学者のアリストテレスも「自分を知ることは、すべての知識の始まりである」という名言を残しています。どんな自分になりたいのかを確認しながら、日々を大切に過ごしていきましょう。