学校の宿題が少なくて心配。子どもに良い影響を与える「学び」とは?

家族・人間関係

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2024.11.02

臨床心理士・公認心理師のyukoです。最近親御さんから、「親世代が小学生だったときよりも宿題の量が減っている」という心配をよくお聞きします。何かドリルなどを購入してやらせた方がいいのか、塾に通わせるべきか、ゲームの時間を制限したほうがよいのか。令和の小学生と学習の関係を考えます。

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学校の宿題をこなしているだけで本当に大丈夫?

「宿題はやったの?」と聞くと、「出ていない」と言ってのんびりゲームをする息子。親世代のときと比較し、通常授業の日も長期休みも課題の量が減り、子どもの勉強時間が十分なのか不安。このまま学校に任せているだけで大丈夫なのかな?

スマホをいじる子ども出典:stock.adobe.com

学校の方針にもよりますが、今の世代は親世代より宿題の量が減ったと言われています。
令和になり、宿題を強制するのではなく子どもたちの主体性を伸ばす方針に変わってきていることや、教員の負担軽減が理由に挙げられます。また十数年前までは当たり前だった、漢字の書き取りや算数ドリルなどの量をこなす課題も少なくなっているといいます。

このまま学校の宿題だけをこなしておけば大丈夫なのか、自主的に課題を増やした方がよいのか、おすすめのフォローアップについて考えてみます。

塾や通信講座などのフォローアップを追加すべき?

勉強に前向きな子や、学習に余力がある子にはもちろんおすすめ。
しかし、親が物足りなく感じるからという理由では、必要性を実感できず長続きしない子が多いです。

学校で出される課題が少なく感じていても、しっかりとこなして、間違い直しや復習をして身に着けていければ問題なく成長できるカリキュラムが組まれています。

塾や通信講座に加え、書籍などの学習教材を追加で子どもに勧めたい場合は、理由を明確に伝えて子どもが納得して取り組むのが何より大切。そのためには、なぜ勧めようとしているのか、一歩立ち止まって親自身の焦りや不安の理由を考えてみるのも重要です。

生活をより充実させるための学びとは?

習い事や教室、クラブチームに通う

机上の学習だけではなく、子どもの興味や才能を伸ばせるような習い事や教室に通うのもおすすめです。

例えば、絵画教室と聞くとどんなイメージがありますか?
「絵の職業に就く人は限られてるし」「うちの子にセンスがあるとは思えない」そのように感じ、足が向きにくい方は多いと思います。

しかし、「描く作業」には深く広い意味があるんです。
まず第一に何を描くのかを決める思考力、決断力が必要となります。加えて、どんな色でどんな風に表現しようか、感性や知性、視覚や創造力を駆使して考えます。そして手先を使って実際の表現に落とし込む過程では、手先の巧緻性や見通しを立てる力、想像力を使います。

幼少期にアートに触れていると、大人になってからも広告や映像作品、建築物の見方が豊かになる可能性があるんですね。絵を描く子ども出典:stock.adobe.com

「絵画=画家」と繋げて考えるのではなく、建築、映像、Web、広告、ゲーム、写真、住宅、あらゆるものの背景にある「アート」と繋げていくと意味が異なってきますよね。

今回は絵画を例に挙げましたが、スポーツもプログラミングもeスポーツも、その分野に留まらない能力の刺激に繋がります。

動画コンテンツを利用する

お金をかけて新たな活動を増やそうとしなくても、学びを深めるチャンスはあります。

動画配信サービスがより身近なものとなり、上手に活用しているお子さんも増えているよう。
科学の実験動画や塾講師による歴史問題解説動画に留まらず、生き物の生態に関するアニメーション、プログラミングの入門講座など多岐に渡ります。今は小中学生の発信者も増えているので、子どもにとってより身近な視点で知識を取り入れていく機会も充実してきているよう。

息抜きの時間とは区別しつつ、ぜひ上手に活用してみてください。

書店や図書館に足を向ける

共働きのご両親が増えている中、休日は家でゆっくりしたいと感じている方も多いでしょう。家族で家時間を過ごすとなると必然的にゲームやスマホの時間も増えていきます。

そこでお勧めしたいのが書店や図書館に通う習慣作り。読書に興味がない親御さんは腰が重いかもしれませんが、雑誌や漫画からでも手に取ってみると意外な発見があるもの。また、図書館は返す手間がありますが、読んでみて興味がなかったという場合も出費がないので試し読みにもってこいです。

読書する家族出典:stock.adobe.com

本を読む習慣を身につけていけると、子どものみで図書館を利用できるようになったり、家族で本を読む時間が自然と増えて話題の共有がしやすくなるメリットも生まれます。また、少し足を延ばして大型書店に行ったり、旅先で綺麗な図書館を訪れる楽しみも増えるかもしれません。

ぜひ、寒くて家にこもりたい冬の時期こそ、読書に目を向けてみてください。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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