教えてくれたのは……小林 弘幸先生
順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上の指導に携わる。『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)、『整える習慣』(日経BP日本経済新聞出版本部)、『捨てる勇気100』(宝島社)など、著書・監修書多数。
『腸から生まれ変わるカラダ』
著者:小林 弘幸
価格:1,540円(税込)
発行:宝島社
全身のトラブルの原因になりうる「ゾンビ腸」
バランスの悪い食生活やストレスなどのさまざまな要素によって腸内フローラのバランスが乱れ、腸のバリア機能が衰えた状態のことを、小林先生は「ゾンビ腸」と命名しています。
ゾンビ腸になると、悪玉菌が増えて本来排出されるべき老廃物が腐敗し、毒素が発生することに……。この毒素が血管を通じて全身に広がってしまうことで、多くの健康問題を引き起こす可能性があるそうなのです。
ゾンビ腸の改善には「簡単ストレッチ」がおすすめ
以前の記事でご紹介したように、ゾンビ腸の改善には食生活の見直しが重要になりますが、「運動」を取り入れることも効果的なのだと、小林先生は言います。
小林先生によると、カラダを動かすことで血流が良くなって腸も活性化し、動くだけで腸に刺激を与えることができるとのこと。自律神経のバランスを調整すると腸が元気になるため、ちょっとしたストレッチをしたり呼吸を整えたりするなどの簡単な運動でOKなのだそうです。ハードな運動をしなくても良いなら、取り入れやすいですね!
今回は、小林先生おすすめの「誰でもできる腸のストレッチ」を2つご紹介します。
1.「お腹つかみ腰回し」
便のたまりやすい場所をつかんで手でもみながら、骨盤を回すストレッチです。
ポイント
大腸の構造は「上行結腸」「横行結腸」「下行結腸」「S状結腸」「直腸」に大きく分けられますが、便がたまりやすくなっている以下の3つの場所を意識しながらストレッチを行うとよいそうです。
- 「上行結腸」の入り口近く
- 「横行結腸」の両端
- 「下行結腸」から「S状結腸」にかけたあたり
方法
1.足を肩幅程度に開き、右手で腰骨の上、左手で肋骨の下をつかみます。これは、「上行結腸」の入り口近く「横行結腸」の左端にあたります。
2.そのまま、つかんだ部分を両手でもみながら、腰を右回りと左回り、それぞれ8回ずつ回します。
3.左右を回し終わったら、今度は右手を肋骨の下、左手を腰骨の上に移動させて、同じ動作を繰り返せば終了です。
2.「お腹しぼり」
大腸の四隅(左右の腰骨の上、肋骨の下)の便がたまりやすい場所の位置の脇腹をぎゅっとつかみ、腸をしぼるようにもみほぐすストレッチです。
ポイント
動作中、肛門はしっかりと締めると、背中とお尻の筋肉も刺激できます。猫背になるとマッサージの効果が十分に得られなくなるため、注意しましょう。
方法
1.足を肩幅程度に開き、手は肋骨の下で、腸全体をつかむイメージでお腹をつかみます。背筋を後ろにそらしながら、鼻から大きく息を吸います。
2.脇腹のお肉をヘソに集めるイメージでお腹を絞りつつ体を前に傾け、口から大きく息を吐いていきます。この動作を5~10回繰り返しましょう。
腸のストレッチを行う効果的なタイミングは?
どちらも、ツボ押しマッサージのように痛くする必要はなく、心地よく感じる程度で行うとよいとのこと。
この2つの腸のストレッチはどちらも即効性があるため、便秘や下痢気味の時や、お腹の張りを感じる時、毎日のトイレタイムで便座に腰をかける前などに行うと効果的。また、仕事の合間などに行うと血流改善と自律神経の安定にもつながるのだそうですよ。
腸の健康を維持するために、ぜひ試してみてくださいね!