教えてくれたのは……浅原 謙さん
法政大学工学部(現デザイン工学部)卒業。学生時代に首都圏学習塾にて講師を務め、5年間の講師生活後、東京都内の飲食コンサルティング会社に入社。3年目に取締役に就任。2016年に合同会社ファーストステップス(2017年に株式会社へ組織変更)を設立、同時にファーストステップス+未来塾の塾長に就任。中学生時代の塾の講師との出会いにより劇的に成績が伸びた経験から、何事もきっかけと自身の目標があれば変わることができると子どもたちに伝えている。
「内申点が上がるらしい」という噂、実際のところは……?
前回の記事では、「内申点アップのために学習面で大切なこと」についてご紹介しました。学習面だけでなく、活動や生活面などでも内申点が上がるといった噂を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、saitaの読者アンケートで寄せられた、内申点にまつわる「これって本当?」の噂について、浅原さんの見解を伺いました。
Q. 部活動をやっていると内申点に加点される?
浅原さん「部活動をやっているほうが内申点に有利だと言われている時代も確かにありましたが、最近はそこまで大きくは影響しないと思っています。なぜなら、今は先生の負担軽減のために、地域の方に指導をお願いする形に移行しているケースが多く見られるからです。
部活動をやっているかどうかというよりも、継続してきたことが評価につながることはあると思います。例えば、中学校3年間同じ部活を継続して全国大会に行ったなど、結果を出した生徒が評価されることはあります。
また、スポーツ推薦の場合には、その志望校の部活動のレベルによって成績や技術が大きく求められることは確かにあります。ただし、現代のスポーツ推薦では文武両道を求める学校が増えている印象があるため、スポーツの成績はもちろん、日常生活の様子や学業の成績を求める学校も増えています。」
Q. 先生は習い事の実績を調査書に書いてくれる?
浅原さん「調査書に書いて、志望校に伝えてくれる先生もいます。実績を証明できる書類があればベストです。
以前、実際にあった例でいうと、私たちの塾ではロボット教室も開講しており、長く教室に通っていた生徒さんがいました。その生徒さんが自己推薦入試で工業高校を受験したときに、学校の面談でロボットを作り続けた理由やそこで学んだことを話したところ、学校の先生が調査書に書いてくれたそうです。結果として、志望校側からその努力を評価され、見事合格を勝ち取ったという話を聞きました。努力して継続することの大切さを改めて感じた出来事でしたね。」
Q. 英検を持っていると内申点に加点される?
浅原さん「『チャレンジした』という評価の指標として、英検や漢検などは加点対象になる学校もあります。ただ、英検の場合、昔は中学3年生で英検3級持っていると一目置かれるものでしたが、ここ数年で3級は持っているのが当たり前になっている風潮ではあると感じます。英語が好きで頭ひとつ抜けるなら、より上位の級を取得することをおすすめします。
ただし、加点対象になるからといってただ取得すればいいわけではありません。取得までのプロセスを通じて、しっかりと成績にも反映できて、経験値を積んでいくことが大切です。」
Q. 生徒会長や部長、行事の役員をしていると有利?
浅原さん「これは、実際に生徒さんの親御さんからもよく寄せられる質問です。どのような取り組みをしていたかが明確に見えるので、大きな評価対象としている学校もあるようです。主体的に取り組めるか、中心的人物として活動できるかなどを判断するのに、わかりやすい項目になります。評価のポイントは地域や学校によって異なりますが、積極的な姿勢を示せることは、内申点に影響する可能性もあると思います。」
Q. 授業中うなずいたり、よく質問しに行く子どもは有利?
浅原さん「前向きに、主体的に取り組んでいる姿勢が見えることは、評価されやすいと思います。 苦手だけれど頑張ろうとしている子は、先生としても応援したくなるものですよね。もちろん、やみくもに質問したからといって評定が1つ上がるというわけではなく、学校の成績評価のガイドラインに沿って、授業態度などの面で何かしらのポイントになることはあると思います。」
Q. 親がPTA役員をやっていたり、地主だったりすると有利?
浅原さん「PTA役員については、確かに有利とされていた時代もあったかもしれません。しかし現在では、直接的に有利になるという話は聞かないですね。地主の話とは少し異なるかもしれませんが、親族に卒業生がいる場合には、優遇される学校はあります。提出資料に、2または3親等以内に卒業生がいるかどうかをチェックする欄が設けられている学校もあるようです。」
都道府県や学校によって内申点の取り扱い方のルールが異なるため、各都道府県の教育委員会の公式ホームページや、希望する高校の募集要項など、信頼できる情報源から情報を得ることが大切です。次回の記事では、受験生を持つ親が「やってはいけないNG行動」について、浅原さんにお話を伺います。