なんか、今日も何もできなかった……
講演や相談の場で、こんな声をよく耳にします。
「なんか、今日も全然できなかった……」
「家にいただけなのに、なぜか疲れてて、罪悪感もあって」
「一日中なにかやってたはずなのに、“何もしてない感”がすごいんです」
その気持ち、よくわかります。
僕自身、家にいる時間が長くなればなるほど、「今日って、意味のある日だったんだろうか?」と考えてしまうことがあります。でも、そんなときにこそおすすめしたい習慣があります。
それが、「家事ログをつけること」です。
やることリストと同じくらい「やったことリスト」は大事
そんなとき、ぜひ試してほしいのが、「やったこと」を記録するという習慣。
ノートやカレンダーでも、メモアプリでも構いません。その日家事をやったら、そのたびにどんどんログをつけていきます。
たとえばこんなふうに、
- 朝ごはんを作った
- 子どもの連絡帳に記入
- 洗濯を1回まわした
- お昼にレトルトカレーを温めた
- 買い物リストを書いた
こうしてログをつけていると、「自分って意外と動いてたんだな」ということに気づけます。
朝から晩まで、子どものことを考え、家のことを気にかけ、細切れの時間で家事をこなしていたり、予定通りにいかなかったことを調整したり。
目に見える「成果」はなかったかもしれないけれど、確かに“誰かのために働いていた自分”がそこにいたことを、後から知ることができるんです。
これは、自己肯定感の視点からもとても大切です。僕たちは、「できなかったこと」にはすぐ目がいきます。でも、「できたこと」や「がんばったこと」には、自分ではなかなか気づけません。
だからこそ、ログという“もう一人の自分”の目線で見返すことで、日々の中の「実はちゃんとやってた自分」に出会えるのです。
自分を責めるより、認められるところを見つけよう
じつは、僕もいままさに家事リストを作成しながら、日々の家事を見直しています。
これは単純にやった家事のログをつけるだけではなくて、計画も立てながらリストを最適化させていく、というものです。ですが、大事なのは家事の計画を立てることよりも、ログをつけることで自分にとってどこが辛いポイントなのかを見定めること。
家事ログを続けていると、自然と考え方にも変化が生まれます。
「今日は作ろうと思ってた料理はできなかったけど、ちゃんと買い物も行ったし、簡単でもご飯つくれたもんな」
「掃除は後回しになったけど、子どもの話をたくさん聞けたな」
こうした視点を持てるようになると、“できなかった”の中にも“できた”があることに気づき始めます。
これって、すごく大事なことです。
できなかった自分を責めるより、できたことを自分で見つけて、ちゃんと認めてあげる。
それが、日々を生きる僕たちの心を支える、大切な“軸”になります。
「今日も、意外と色々がんばってた」って自分を褒められるように
家事ログは、家事を効率化するためのツールというより、自分の存在や頑張りを“見える化”してくれる記録帳です。
見えない家事を、見えるものに。
流れてしまう日々の努力を、かたちにして残す。
それは、未来の自分を励ます“証拠”になるし、家族に自分の働きをそっと伝える言葉ではないメッセージにもなります。
そして何より、
「今日も何もしてない……」とため息をつく代わりに、ログをめくって、こう自分に言ってあげてほしいのです。
「今日も、意外と色々がんばってたなぁ」と。