教えてくれたのは……船越 真木子(ふなこし まきこ)先生
2005年神戸大学医学部卒。基幹病院や京都大学医学部附属病院の勤務を経て、2021年に「まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック」(京都市伏見区)を開院。がん罹患数の第一位である大腸がん、第三位である胃がんを早期発見するため、苦痛の少ない高精度な内視鏡検査を提供している。ミッションは『人生を最高に楽しめる体と心を支える』。総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医。
健康リスクを回避するには、「飲むタイミング」にも要注意
前回の記事では、コーヒーを過剰に摂取した場合の健康リスクについて伺いました。健康面を考えると、摂取量だけでなく「飲むタイミング」もポイントになると、船越先生は言います。
船越先生:カフェインの代謝速度は、半減期が通常3~7時間程度と言われます。夜の睡眠に悪影響を与えないためには、遅くとも16時頃までに飲むのが良いでしょう。また、空腹時のカフェイン摂取は胃酸分泌刺激が強いため、逆流性食道炎や胃炎を悪化させることがあります。そのため、食後の摂取をおすすめします。
コーヒーの「飲みすぎサイン」が身体に現れることも
船越先生によると、コーヒーを飲みすぎている場合、身体にさまざまなサインが現れることがあるそうです。日常的にコーヒーを多く摂取している方は、以下の症状がないかを注意してみてください。
船越先生:コーヒーの飲みすぎかどうかを客観的に判断しやすいのは、脈拍数のチェックです。安静時の成人の脈拍数は、通常で60~80回/分です。ご自身の通常の脈拍数が、この値以上であれば、「飲みすぎ」の可能性があると言えます。また、頭痛、焦燥感、手の震え、血圧上昇、不安感、イライラ、胃の痛み、胸やけ、頻尿などのサインが出現することもあります。
コーヒーに代わる飲み物を選ぶときには「カフェインの量」に注目
コーヒーの摂取を控える必要があるときの選択肢として浮かぶのが、デカフェ(カフェインレス)コーヒー。デカフェにもカフェインは少量含まれるため、注意が必要だと船越先生は言います。代替飲料を選ぶ際は「カフェインの量」を意識して選ぶことが大切だそうです。
船越先生:デカフェへの置き換えは、満足感を保ちながらカフェイン摂取量を抑える有効な方法です。ただし、通常のコーヒー1杯のカフェイン量が100mg前後とすると、デカフェは1杯10mg前後で少量のカフェインは含まれるため、注意しましょう。
また、カフェインを含む緑茶(1杯30mg)ほうじ茶(1杯10mg以下)ウーロン茶(1杯30mg)をコーヒーの代わりに選ぶ際も同様に注意が必要です。完全にノンカフェインのものを選ぶのであれば、麦茶、ルイボスティー、とうもろこし茶、黒豆茶、カモミールティー、白湯などへの切り替えをおすすめします。
健康的にコーヒーを楽しむポイント
健康リスクを回避しながらコーヒーを楽しむためには、適切な摂取量と飲むタイミングを意識することが大切です。船越先生のアドバイスを参考に、身体からのサインを見逃さないよう注意しましょう。デカフェやノンカフェインの飲み物など、体調に合わせた代替飲料を上手に取り入れて、コーヒーライフをより健康的に楽しんでみてくださいね。