逆算でスケジュールをこなす働くママほど要注意!メンタル不調を防ぐコツ【産業医に聞いた】

心と体

2025.09.15

産業医として1万人のビジネスパーソンの面談を担ってきた武神健之さんは「働くお母さんは特に大変ですよ」と、ワーママに心を寄せる。 ご自身の経験と、患者との面談で得た知見からメンタルを守るコツ、リフレッシュ法について語っていただいた。

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お話を伺ったのは……武神健之(たけがみけんじ)さん

武神さん

医学博士、日本医師会認定産業医。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。帰国子女である経歴と語学を活かし、主に外資系企業の産業医としてキャリアをスタート。ドイツ銀行グループ、バンク・オブ・アメリカ、BMWグループなど年間1000件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を実施。働く人の「こころとからだ」の健康管理を手伝う。
趣味は筋トレ、ハンドパン演奏。月に15~20回も通うサウナーでもある。

ストレスを溜めがちな人とは…

ストレス出典:www.photo-ac.com

17年間ビジネスパーソンを見守る産業医の武神さんに、メンタル不調に陥りやすいタイプについてお聞きすると、まずは真面目で責任感が強い性格の人とのことだった。
さらに伺うと、ワーママのように「余裕がない」状況にある人も要注意なのだとか。

「同じ組織、同じ上司の部下でも9割は元気でいられる。多少のストレスがあっても何らかの方法でやり過ごすことができているわけです。じゃあどういう人が不調になるかって言うと『余裕のない人』なんですね。趣味や好きなことをやるとか、子どもたちが寝るまではせめて仕事のことを考えないようにしよう、と思ってもなかなか切り替えができずにずっと考えてしまう、というような状況が続くと良くないです。」

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「逆算時間」を生きるワーママ

逆算時間出典:www.photo-ac.com

人間は誰でも余裕のないときのほうが物事を悪く考えがち。余裕のあるときは明るく前向きでいられるので、多少何かあっても『まあいいか』と捉えられるんですが、余裕がないとそうはいかない産業医として面談で特に感じるのは時間に余裕のない働くお母さんたちが、毎日ずっと『逆算時間』の中を生きていることです。」

家事出典:www.photo-ac.com

「まず朝起きると、子どもを保育園に預ける時間や学校に送り出す時間、自分の出勤時間から逆算して、食事や自分の身支度をしますよね? やっと子どもたちにバイバイって手を振って職場に着いたら、今度は子どもたちのお迎えの時間とか学童保育から帰ってくる時間から考えて『この時間には会社を出ないと』と、また逆算なわけです。」

家事育児仕事出典:www.photo-ac.com

さらに武神さんは言葉を続ける。
「なんとか仕事をこなして子どもを迎えに行って帰宅しても、まだ家事がある。次は『子どもを寝かしつける時間』に追われて……育児と家事と仕事でもうずっとスイッチがオンの状態。オフがないんです。」

つまり子育て中は時間も身体も心もすべてが余裕のない状態が続くということ。
疲労が溜まった状態が長く続くと、以前は何とも思わなかった上司の言葉や仕事量が、気になったり負担になったりしてしまうのは当然のことかもしれない。

自らの経験から考えるメンタルヘルス

武神先生

ワーママへ理解の深さ、共感力の高さに感心していると話題は思いがけない方向へ……

「実は10年前に妻を亡くしているんです。当時43歳で子どもたちは中2、小5、年中でした。突然その年齢でシングルファーザーになるということは考えもしないことで……。すでに産業医としての活動をしていましたが、家庭に時間をさくために3割程度仕事を減らし、なるべく原稿を書くような家でできる仕事を増やす方向に変更しました。それでも逆算時間の生活の中で、自分自身もさまざまなメンタルやフィジカルの不調(症状)を経験しました。その生活に慣れてくると心に余裕ができ、だんだん回復することができました。」
 

コスモス出典:www.photo-ac.com

懸命に過ごされた日々を振り返ると……

「いい経験ではないけれど、今まで産業医という第三者として聞いていた人の弱いところ、辛いところをより想像できるようになりました。それぞれみんな人生があって、今の症状があって、という経過への理解が深まったというか。大変でしたねって言われることが多いんですけど、子どもの成長は楽しみも大きいですし、無理して家事を自分が全部引き受けて回すんじゃなくて生活共同体として子どもたちと一緒に乗り越えてきたって感じです。」

ワーママのリフレッシュ

武神さん

そんなお話の後、著書『未来のキャリアを守る 休職と復職の教科書』を担当した編集者Iさんに武神さんが生活と育児についてヒアリング。

Iさんは「子どもがいることで、時間やお金の使い方が大きく変わりました。夫婦ともに仕事と家事と子育てでいっぱいいっぱいの状態なので、どこからどう手をつけていいのかわからなくて……」と胸の内を明かした。
年齢は30代、4歳のお子さんがひとり。週末は家族3人で過ごすことが多いらしい。

リフレッシュ出典:www.photo-ac.com

すかさず武神さんが添えたアドバイスが鋭く、そしてあたたかい。

「週末のパターンをちょっと変えてみるのはどうかな? 子どもとパパが一緒に過ごしてママがフリー、その逆もありで。というのはね、やっぱり『ひとりの時間』を持つことができてやっと本当の意味でのオフになるじゃないですか? ジムでもランニングでもネイルサロンやマッサージでもいいので、とにかく自分の時間を確保するのが大切ですよ。」

リフレッシュ出典:www.photo-ac.com

週末にパパ、ママともに少しでも自分だけの時間を持とう、という提案だ。

「つい『じゃあ家の片づけ!』とかになりがちだけど、そうじゃなくて思い切って好きなことに時間を割くといいです。平日なら延長保育を使ってもいい、スタバで30分ぼんやりできるだけでココロもカラダも休めますから。」

もっと産業医に相談してみよう

リフレッシュ出典:www.photo-ac.com

武神さんが運営する「スマホの中に、あなた専属の産業医(無料AIチャット相談)」は、細やかで的確なアドバイスで、ちょっとした疲れにも寄り添ってくれる。

『未来のキャリアを守る 休職と復職の教科書』とともに、未来のキャリアを守るため、クタクタに疲れ切ってしまう前にぜひ出会ってみてほしい。

◆未来のキャリアを守る 休職と復職の教科書:https://amzn.to/4h3e3j8

◆スマホの中に、あなた専属の産業医(無料AIチャット相談:https://bit.ly/ChatGPTDrTβ202504
※chatgptのアカウント(無料で可)が必要です。

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著者

みやむらけいこ

みやむらけいこ

ライター歴20年。「あなたに逢いに行きます」取材ではなく出会い、インタビューではなく会話。わかりやすい言葉で丁寧に「ひと」を伝えます。好きなものは、サーフィンと歌舞伎、主食はチョコレート。#人生はチョコレート

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