受験に失敗。傷ついた子どもを支える“親の関わり方4ステップ”

家族・人間関係

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2026.03.05

臨床心理士・公認心理師のyukoです。受験シーズンが終わり、もうすぐ春。各家庭でさまざまな思いを抱えて季節の変わり目を過ごしていることでしょう。今回は、親子ともに結果に傷ついている場合、その傷をどのように扱っていけばよいかを考えていきます。

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うまくいかなかったら、早く切り替えるのが正解?

小6のはじめまでは成績優秀で志望校の合格は間違いないと言われていた長女。しかし夏を過ぎてから成績が下がってしまい、結果、希望する進学が叶わなかった。「ご縁がなかっただけだよ。切り替えよう」と声をかけて、それ以降は塾の先生や友達、模試の話題が出そうになると自然と避け、なんとなく受験関連の話はタブーとなっていった。

落ち込む子ども出典:stock.adobe.com

子どもが傷ついている姿を見るのは、親にとってつらいもの。
だからこそ、早く楽にしてあげたくなるものです。

  • 「終わったことだから考えないでおこう」
  • 「この話はもうやめよう」
  • 塾や受験、志望校に関連する友達の話題を避ける
  • ポジティブな話だけを意識的に語る

どれも子どもへの思いやりに違いありません。
けれどそれは、知らず知らずのうちに“臭いものにふたをする対応”になっていることがあります。

しかし、失敗が触れてはいけないものになると、子どもは「受からなかった=全部無意味だった」と感じてしまいます。
うまくいかなかった経験は、どのように扱っていくのがよいでしょうか。

子どもが傷ついたときの関わり方“4つのステップ”

傷ついた直後は、安全・安心な環境を

結果がわかってすぐ、多くの親御さんは

  • 「次があるよ」
  • 「この学校のほうが合ってる」
  • 「いい経験になったね」

と、切り替えを促したり、肯定的な意味づけをしようとします。
ですが、傷ついた直後は子どもの心が追いついていません。

まず第一に必要なのは、

  • 「今は何も話さなくていいよ」
  • 「そばにいるよ」
  • 「悔しいよね」

返事がなくても、意味を感じられなくても、”ここにいて大丈夫”と伝えるのが最優先です。
そして温かいご飯と、お風呂、布団を用意してあげて、一緒にいること。それが何よりの支えとなります。

食事をする子ども出典:stock.adobe.com

結果ではなく過程を具体的に言葉にする

  • 「毎朝早く起きて勉強してたよね」
  • 「模試のあと、悔しくて泣いたこともあったね」
  • 「もうやめたいって一緒に悩んだのも懐かしいね」

少し時間が経過し、話せそうなタイミングで言葉にしていくのがおすすめです。
ポイントは、面と向かってまじめに話すのではなく、テキストやプリントを片付けながらぽつぽつ話すイメージ。
努力を称賛するのではなく、過程を振り返ることが大切です。

感情に少しずつ触れて現状確認を

「でもいい経験になったよね」「もう大丈夫だもんね」
早く元気になってほしい、前を向いてほしいと親が焦ると、子どもの気持ちが置き去りのままにされてしまうことがあります。

  • 「今は机に向かう気分じゃない?」
  • 「この道は、まだちょっと辛い感じがするかな」
  • 「ぼんやりしたい気分かな」

子どもは、親が思うよりも早く立ち直ることもあれば、親の想像を超えるほど傷ついている場合もあります。
今はどんな感じかな? と確認していくのが大切です。

会話する親子出典:stock.adobe.com

「意味」を急いで決めない

「この学校のほうが合ってるよ」「こっちの進路の方がこんなメリットがあるよ」
とポジティブな未来で上書きしたくなる気持ちもあるでしょう。

しかし、意味は急いで決めなくてもついてくるもの。
出来事の意味は、すぐに決まるものではなく、記憶から再編集されるものです。

 数か月後、数年後にふと、「あの受験で、自分の限界を知った」「悔しかったから、次は自分で決めようと思えた」と語れるようになることもあります。

先回りして意味をつけて、”よい経験”にしてあげるのではなく、宙ぶらりんのまま置いておく。
親にとっては見守る・待つ方がよっぽど難しいかもしれませんが、子どもの経験を意味あるものにするには、その忍耐力が求められます。

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失敗にふたをし続けると、努力まで消えてしまう

失敗は、

  • 結果としての出来事
  • そこに至るまでのプロセス
  • 揺れ動いた感情

これらがセットになって、はじめて“経験”になります。

ふたをして消す・急いで切り替えるのではなく、様子を見て、声をかけ、そして待つ。 
そうすることで子どもは、 「うまくできなかった自分」ではなく、「挑戦した自分」として自身を理解できます。

時間はかかるかもしれませんが、数年後「あのときがあったから今の自分がいる」と親子で思えるような経験にしていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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