その夢って本気?それとも一時的なもの?
小学5年生の娘。ある日突然、「私、将来イラストレーターになりたい」と言い出した。たしかに絵を描くのは好きだけど、習っているわけではないし賞をとるレベルでもない。そこでつい、「仕事にするのは難しいんじゃないかな」「趣味くらいがちょうどいいかも」と言ってしまった。すると娘は「まだわかんないけど……」と話すのをやめてしまった。
子どもが夢を語るとき、親はつい現実的な視点を伝えたくなります。
ですが、その関わり方次第で、夢は「楽しく広がる話題」にも「口を閉ざす話題」にもなります。
親はどのように関わるのがちょうどいいのでしょうか。
なぜ子どもの夢に、現実的なコメントをしてしまうのか
子どもが「将来〇〇になりたい」と言うとき、その意味は年齢によって違います。
低学年では、夢はほとんどが憧れの表現です。
好きなキャラクターや身近な大人を見て、「楽しそう」「かっこいい」という気持ちを言葉にしている段階。
一方で、高学年になると状況が少し変わります。
子ども自身が「将来」「進路」という言葉を聞く機会が増え、夢が少しずつ現実と結びつき始めるからです。
すると親も、「このまま本気になったらどうしよう」「現実を教えておいた方がいいのでは」という気持ちが生まれやすくなります。
さらにこの時期は、親の中で中学進学や将来への意識が高まり始める時期でもあります。
塾、受験、将来の選択肢など、現実的な話題が増えるため、子どもの夢も「現実的に考えるべきもの」として受け止めやすくなるのです。
親が現実的なコメントをしたくなるのはもっともですが、受け止めたからといって、夢に向かってまっしぐらになるわけではありません。
そのため、否定したり現実を突きつけるのではなく、「考えを話してくれたこと」に価値を置き、聞いてあげられるとよいでしょう。
学年別に考える“関わり方のヒント”
低学年:否定しない、広げる
低学年の夢は、まだ現実を検証する段階ではありません。
大切なのは「話を広げること」。
たとえば、子どもが「宇宙飛行士になりたい」と言ったとき、親「へえ、どうして?」と、このような一言だけで十分です。
さらに
- 「どんな宇宙に行きたい?」
- 「宇宙で何してみたい?」
と想像を広げていくと、夢は思考遊びになります。
低学年では、夢は“未来の計画”ではなく“想像の遊び”と考えるとちょうどいいでしょう。
中学年:小さな体験をつくる
中学年になると、夢に具体的な「興味」が伴い始めます。
この時期に有効なのは、小さな体験を用意すること。
たとえば、子どもが「漫画家になりたい」と言ったとき、親は「じゃあ1ページ漫画描いてみる?」「好きな漫画家って誰?」というように、興味から行動への入り口を作ります。
ただしここで親が張り切りすぎて
- 習い事を探す
- 教材を揃える
- 教室に申し込む
ここまで動きすぎると、夢は親のプロジェクトになってしまいます。
”子どもの興味を小さな行動に繋げてみる”くらいで留めておくのがベター。
流しすぎず、先走りすぎず。「面白そうだね」くらいの距離感がちょうどよいでしょう。
高学年:現実より「問い」を渡す
高学年になると、親は「本気で言ってるの?」「まずは勉強が大事だよ」など、現実的な言葉をかけたくなります。
ただ、この時期の子どもはすでに「難しいかもしれない」という気持ちを自分でも感じ始めています。
そこで有効なのは、アドバイスよりも問いかけです。
たとえば、「ゲームクリエイターになりたい」と言った場合、
- 「どんなゲームが作りたいの?」
- 「その仕事のどこが楽しそう?」
- 「きっかけは何だったの?」
こうした質問は、夢を否定することなく 具体的に考える助けになります。
その場ですぐに返事を求めて会話するのが目的ではなく、「なぜそう思ったんだっけ」、「自分は何に魅力を感じてるんだろう」と子ども自身が内省するのが目的です。
どんな将来を描きたいんだろう、何が好きなんだろう。
そんなふうに少しずつ自分について考える時間を支えるのが、ちょうどよい距離感といえます。
夢は、形が変わり続けるもの
夢は、「話す → 想像する → 試す → 変わる」。
この過程の中で少しずつ形が変わっていきます。
低学年では広げる。中学年では試す。高学年では考える。
親の関わり方がこのリズムに合っていると、子どもは夢を「正解」ではなく自分を知る手がかりとして扱えるようになります。
子どもの歩幅に合わせて、夢に関する会話や行動を一緒に楽しんでいけるといいですよね。




