失敗したくない子が増えている?“最適化世代”の子どもたちに親が今できる3つのこと

家族・人間関係

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2026.06.07

臨床心理士・公認心理師のyukoです。今の小学生は昔よりも、情報をもとに効率よく「よりよい選択」をする力に長けている、いわば“最適化”が得意な世代といえます。ただその一方で、選択肢が多い環境の中で比較し続けることに慣れているため、「自分らしさ」や「なんとなく好き」という感覚が見えづらくなっていることも多いよう。タイパやコスパが重視される中で失われつつある力や、取り戻したい感覚を考えてみます。

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効率よく、最適化された時代に失われている力とは?

昔から慎重な性格の長男。スマホを持ってからは特に、何かする前は必ず準備や予習をするようになった。ロボット制作キットを買ったときは、説明書ではなくYoutubeで「最短で完成させる方法」を見て取りかかり、新しいゲームを買ったときも「初心者が最初にやるべきこと」を見てからスタート。いつも「相変わらず効率いいね」と褒めていたが、ふと‟試行錯誤して考える時間や失敗する経験はなくても大丈夫?”と感じた。

タブレットを見る子ども出典:stock.adobe.com

YouTube、SNS検索、攻略サイト、AI。
新しいことに取り組むときや、知らないものを調べるとき、すぐに「最適ルート」が手に入る時代。
今の子どもたちは、できるだけ失敗せず、効率よく、より良い選択を見つけることに慣れている「最適化世代」といえるでしょう。

高い情報処理スキルを身につけている一方、試行錯誤や失敗しながら学ぶ経験、遠回りや寄り道で知識を得る機会は少なくなっているのではないでしょうか。
「最適化」の時代にいる子どもたちが、より豊かに生きるための支え方を考えてみましょう。

“最適化世代”の子どもたちに親が意識したい3つのこと

「まず調べる」を少し手放してみる

自分で調べて解決するのが当たり前になっていると、親もつい「調べた?」「先に動画見たら?」と言ってしまっているかもしれません。
便利で確実ですが、そればかりになってしまうと“自分で試す前に答えを見る”感覚が強くなっていきます。

たとえば、

  • ゴールのない作品作りをしてみる(絵画、工作など)
  • レシピにこだわらず作ってみる
  • ゲーム攻略を見ずに進めてみる

など、“少し不便なスタート”をあえて残してみるのもおすすめです。

料理する子どもたち出典:stock.adobe.com

すると子どもは、「どうしたらいいかな?」と自分の頭で考え始めます。
そして結果を「時間はかかったけど面白かったね」「これは発見だったね」と肯定的に捉えると、試行錯誤の面白さに気づいていけることでしょう。

「効率悪い時間」をムダ扱いしない

最短ルートに慣れている子は、迷う・悩む・失敗する・やり直す時間を‟非効率”と感じやすいもの。
しかし、遠回りした時間や悩んだり失敗する経験から「自分らしさ」が育まれていきます。

たとえば、

  • 相性や性格傾向から考えた部活が思ったより合わなかった
  • 趣味が同じで仲良くなれると思った子と気まずくなった
  • ゲーム攻略を見ずに進めたら何度も失敗した

こうした経験は、その瞬間は“ムダ”に見えてしまうかもしれません。

しかしこのような経験の中で、

「自分はこういうの苦手なんだな」
「こういう人とは気が合うんだ」
「次はこうしてみようかな」

と、“自分なりの感覚”を作っていきます。

逆に最初から「これが正解」と思い込んだ選択をし続けていると、自分が何を好きで、何が嫌なのかが見えにくくなってしまうんです。
そのため親は、「やってみてどうだった?」「面白かったところは?」など、結果より中身に目を向けていくのが大切です。

「比較しない時間」を意識的につくる

今の子どもたちは、大人以上に情報を比較して判断するのが得意かもしれません。
外食する店を迷っていたらレビュー検索で判断、見る動画を迷ったら再生数で比べて選択、買い物するときはランキングを参照。
比較や口コミ評価は効率的な選択に役立つ一方で、自身の感覚や価値観を見えにくくしているものかもしれません。

だからこそ時々、

  • 目的なく散歩して知らない道を歩く
  • 直感的にいいなと思った店に入ってみる
  • 図書館で気の向くままに本を眺める

図書館の本を探す子ども出典:stock.adobe.com

何気ない時間で、子どもは、「なんか面白い」と思う感覚を取り戻しやすくなります。
「これは何の意味があるの?」「今、何の時間?」ばかりではなく、「なんか惹かれる」感覚の先に、「好き」や「自分らしさ」が見つかるかもしれません。

効率的に要領よく生きる術も大切かもしれませんが、人生の面白さは「退屈」や「無駄」に隠れていることも多いです。
寄り道や遠回りをしながら、「私らしさ・僕らしさ」に気づいていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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