子どもが「教育系YouTube」を見過ぎるメリット・デメリット

家族・人間関係

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 子どもが「教育系YouTube」を見過ぎるメリット・デメリット

2024.01.16

臨床心理士・公認心理師のyukoです。最近、教育系YouTuberの影響を受ける子が増えています。中には学校の勉強よりも正しいと主張したり、頭でっかちの知識や根拠のない偏った知見ばかりが身についてしまう子も。教育系YouTubeは子どもにとってどんな影響を与えるのでしょうか。上手な付き合い方について、考えていきます。

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「先生、それって本当に正しいんですか?」

TikTokやYouTubeなど、様々な動画コンテンツに囲まれている子どもたち。
今は、数学の解き方のコツや英単語の覚え方、世界情勢の解説などの教育系動画なも人気があります。

中には、「先生の言ってることって正しいんですか?」「〇〇の専門家は違う意見を言ってました」など、教師以上にYouTuberへの信頼をおいている子もいるよう。

たしかに、無料かつ手軽に見れる教育系YouTubeはメリットも多いですよね。

一方、教育系YouTubeのみで学習することの弊害やデメリットもあるでしょう。
子どもと動画の上手な付き合い方について、考えていきます。

教育系YouTubeを利用するメリット

最新の情報が手軽に手に入る

少し前の時代を振り返ると、書店でより新しい情報が載っているものを購入するにはお金がかかり、図書館や古本屋で書籍を探すとどうしても古い情報になってしまい、苦労する方も多かったのではないでしょうか。

最先端の情報が手に入る点では、教科書や参考書よりも優れた点といえるでしょう。
配信に力を入れているYouTuberは、いち早く時事ネタをキャッチし、重要な情報をピックアップして発信しています。
お金をかけずとも最新の情報に手軽にアクセスできるツールとして、教育系YouTubeは魅力的といえるでしょう。

タブレットを使う子ども出典:stock.adobe.com

子どもの興味をひく工夫がされている

一定の人気を得ているYouTuberは、PowerPointや動画を取り入れながら説明したり、ホワイトボードを使い、授業のように話すなど、興味関心をひくのが本当に上手です。

視聴対象の年齢を想定して言葉を選んだり、話し方に抑揚をつけたり、大人でも見入ってしまうプレゼン力を持っている人も多いよう。

また、YouTubeはユーザーのペースに合わせて視聴速度が変えられるのも、対面授業にはないメリットといえます。
子どもが夢中になりやすい理由が多く潜んでいるんですね。

関心の幅が広がりやすい

YouTubeでは、視聴回数や時間、クリック数など、ユーザーの行動によって「おすすめ動画」が次から次へと流れてきます。

ユーザーの興味に加えて、話題にのぼっているものや関心に繋がりそうなものまで、次々にナビゲートしてくれるんです。視聴をやめられなくなる理由もよくわかりますよね。

タブレットを使う子ども出典:stock.adobe.com

自分自身で興味関心を見つけていくのではなく、受動的に情報を取り入れていくので、自然と感心が広がりやすくなるのも、動画学習のメリットといえそうですね。

教育系YouTubeを利用しすぎることのデメリット

根拠や確証のない情報も混在している

元講師や専門性を持った人など、確かな知見をもとに情報を発信している方も多いでしょう。

一方、根拠のない情報を精査しないまま発信したり、データに私見を交える、極端な解釈を加える方がいるのも事実。
人はどうしても、極端な考えの方が理解しやすく、刺激を感じやすいんです。

しかし事実には色んな側面や捉え方があり、一概に判断しきれないものがほとんど。
鵜呑みにするのではなく、あくまで一意見としてとらえ、色んな方向から考える力も養っていけたらいいですよね。

わかった気になって終わってしまう

聞き流しているだけで、わかった気になってしまうのは動画学習の落とし穴。
そのときは「なるほど」と思っても、後から振り返るとあまり記憶に残っていない子は多いようです。

学んだ内容の要点をまとめてみる、実際に手を動かして問題を解いてみる、聞いた内容について親子で話し合うなど、学習をより深める作業が必要です。

タブレットを使う子ども出典:stock.adobe.com

教育系YouTubeの活用や動画学習を正しい・正しくないの二極で判断するのではなく、状況に応じて柔軟に便利に利用していけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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