昼夜問わずスマホゲームにのめり込む子どもの“スマホを無理やり取り上げるのはNG”なワケ

家族・人間関係

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 昼夜問わずスマホゲームにのめり込む子どもの“スマホを無理やり取り上げるのはNG”なワケ

2022.11.16

子どもにスマホを持たせたら、昼夜問わずにオンラインゲームにのめり込んでいたり、SNSばかりしていたりすることはないでしょうか? 必要以上にのめり込んでいるのは、もしかすると子どもがトラブルを抱えているサインかもしれません。「スマホの問題の答えはスマホにない」というのは『こどもスマホルール 賢く使って、トラブル回避!』の著者の竹内和雄先生。公立中学校で20年、生徒と共に汗を流し、教育委員会でも指導主事として学校を支援してきた竹内先生に、子どもがスマホにまつわるトラブルを抱えている場合に親ができる対処法について伺いました。

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お話を伺ったのは……竹内和雄先生

竹内先生

兵庫県立大学准教授。教育学博士。公立中学校で20年、生徒指導主事等を担当(途中、小学校兼務)。2005年に起きた大阪府寝屋川市の事件をきっかけに携帯、ゲーム、ネット対策に取り組み、ネット問題を中心に教職員や保護者向け講演を年間80回以上こなす。

こどもスマホルール

こどもスマホルール 賢く使って、トラブル回避! 』(時事通信社)
著者:竹内和雄
価格:1,980円(税込)

子どもの悩みを聞いたとき、親が絶対にしてはいけないこととは?

1出典:stock.adobe.com

――子どもがスマホのSNSやオンラインゲームなどに、昼夜問わずのめり込んでいると感じる場合、子どもをスマホから引き離す方法はあるのでしょうか?

竹内和雄先生(以下、竹内先生):私はこれまでお子さんの深刻なゲーム依存に悩んでいる親御さんをたくさん見てきました。一つ言えることは、子どもから無理矢理スマホを取り上げても何の解決にもならないということです。スマホやゲームに依存してしまうまでの過程に向き合わなければなりません。まずはお子さんに声をかけて何気ない会話をしてみてください。スマホ依存になってしまうまでには、何らかのトラブルを抱えている場合が多いです。もし問題を抱えていたら話のつじつまが合わなかったり、嘘をついたりする場合もあるでしょう。それでも叱らず、まずはじっくり話を聞いてあげることが大切です。

――話を聞いたあと、深刻な場合はどうしたらいいでしょうか?

竹内先生:その子の悩みが学校や友だちにあった場合、絶対にしてはいけないことは「暴走」です。すぐに学校に電話をしたり、相手の親に電話をしたりしてはいけません。子どもたちは微妙な人間関係の中で、子どもなりに懸命に生きています。そこに大人が土足で踏み込むことを恐れているのです。子どもによっては、親の反応を見ながら少しずつ話すかもしれません。じっくり聞いたあとは子どもがどうしたいのかを聞き、焦らず解決策を一緒に考えてあげてください。

――この場合、親はどんな声かけをすればいいですか?

竹内先生:誰かが自分のことを気にかけてくれているという安心感は大事です。本当に困ったときに頼れる大人がいることをわかってもらうためにも、まずは「何かあったときはお母さん(お父さん)が全力であなたのことを全力で守るからね」と声をかけるといいですね。

親子での対話は横並びがいいワケとは?

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――会話も減りがちな思春期の子どもと、普段から何気ない会話をするためのコツはありますか?

竹内先生:その子の性質にもよりますが、あえて表情が見えない横並びが効果てきめんです。たとえばドライブに誘って助手席に座ってもらう、一緒にお菓子を作る、釣りをするなどです。
対面の場合は子どもの表情が読み取れますが、かえって逆効果です。思春期の場合、本音を話そうとはしないでしょうし、そもそも座ってくれないかもしれません。
ですから映画やドラマを横並びで座りながら会話をはじめるなど、かしこまった場を作らず、何気ない会話をすれば安心して話してくれることが多いですよ。

――確かに対面よりも横並びのほうが本音を引き出せそうですね。

竹内先生:そうなんです。そしてもう一つ大事なことは、会話をしていく中で褒めるべきことがあればそこは大いに褒めるということです。反抗期の子どもは気にかけて欲しい、かまって欲しい子が多いです。ですから返事がない日があったとしても、常に声をかけることは根気よく続けてください。

――思春期のお子さんがいる親御さんは悩みも多いですよね。多くのお子さんを見てきた先生だからこそ伝えたいことは何でしょうか。

竹内先生:思春期のお子さんと向き合うことは難しいと思っている親御さんが多いですが、そんなことはないんですよ。どんな子も愛して欲しいと思っているんです。愛され方が分からない子は、昔であれば盗んだバイクで走り出しましたが、現代はネットの世界に逃げ込んでいきます。ですから自分のお子さんには「心配しているよ」、「愛しているよ」とぜひ伝えてください。
よかれと思って先回りをして、子どもに指示をすると嫌がるので、子どもがどう思っているかを聞き、大変なときは子どもと一緒に考えられる、頼りになる「相談相手」になってあげてください。
そしてもう一つ大事なことは、お母さん(お父さん)が日ごろから明るく楽しく過ごしていることです。親自身が人生楽しんでいること、これは子育てで一番のポイントです。親が人生が楽しくなさそうでふさぎ込んでいると、子どもも相談しようと思わないでしょう。ですからまずは親が自分の人生を楽しむことが大切ですよ。

「親自身が人生を楽しんでいることが大事」という竹内先生のメッセージにはっとしました。そして、子どもの話に耳を傾け、いい相談相手になりながら、スマホ問題にも上手に付き合っていきたいものです。
竹内先生の著書『こどもスマホルール 賢く使って、トラブル回避!』(時事通信社)には、スマホ問題から子育ての悩みまで、たくさんの事例がQ&A方式で紹介されています。子どもがネットやゲームに依存しないように、賢く使う方法を教えたいときにはぜひ参考になさってください。

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