日本の子どもは幸福?
ユニセフは2020年に子どもの幸福度に関する調査結果を発表しました。
その結果、日本の子どもたちは肥満や飢餓の割合が低く身体的健康は満ち足りており、38国中1位。一方で、精神的幸福度はワースト2位という結果に。
そもそも、精神的幸福度とはいったいどのようなものなのでしょうか。精神的幸福度は「生活満足度が高い15歳の割合」と「15~19歳の自殺率」の2つの指標から算出されるもの。
今回の結果は特に「生活満足度」の低さが顕著に現れたとされています。
では、精神的幸福度に影響している「生活満足度」はどのように高めていくことができるのでしょうか。
(*実際の調査に使用された質問項目ではなく、子どもの幸福度に関連する項目から考えていきます。)
子どもの幸福度には何が関連している?
大人がいじめや嫌がらせから守ってくれる
こんなの当たり前では?と感じる方も多いかもしれません。しかし親の立場として「絶対なんとかしてあげられる」という自信もなければ、「きっと大丈夫だ」と子どもに思ってもらうのも難しいのが現状ではないでしょうか。
欧米では、いじめをした側がカウンセリングを受けたり、程度によっては転校を打診されるケースが多いです。相手を傷つける、暴力的になる「いじめた側」の病理を重く受け止め、必要な知識とスキルを教育するのが大人の役割となっているんですね。
しかし日本ではまだ、大人が「いじめられた側」に問題を見出そうとしたり、被害を受けたほうが避難するしかないのが現実です。そのような文化的背景もあいまって、「いじめられたとき周囲に相談できなかった子」「いじめられたとしても相談できないだろうと感じている子」は多いよう。
学校教育を今すぐ変えるのは難しいですが、「嫌な目にあったとき、悪いのは被害者側ではないこと」「どんな境遇にあっても親は味方でいること」を伝えていけるとよいでしょう。
自分にはよいところがあると思える
これも当たり前と思われやすいですが、肝心な要素です。
親に「褒める習慣」「親自身が褒められてきた経験」が少ないと、子どもを褒める機会も激減してしまいます。謙遜や謙虚さが美徳とされている日本では、子どもを褒めるのは親ばかであると認識されがち。
就学前までは、元気にのびのびと成長していくわが子に「上手だね」「できるようになったんだね」と声をかけやすいもの。しかし小学校以降になると、「小さい子じゃないんだから」と厳しい視線になりやすく、「できるのが前提」になっていくんです。
加えて成績・学業・受験に関して厳しい日本社会の中で、子どもはどんどん自信を失っていくんですね。
子どもに対してはいつまでも、変化を見守り「苦手にチャレンジできたんだね」「よく頑張っているね」と声をかけ続けることが大切といえるでしょう。
将来の夢や目標を持っている
将来の夢や目標を「親に持たされている」「漠然と想像している」などではなく、「持っている」と胸を張って答えられる点が重要といえそうです。
大人であっても落ち込んでいたり、鬱々としていると将来を前向きに考えるのは難しいですよね。年を重ねていく中で、自身の能力や置かれている環境に限界も感じやすくなります。
しかし子どもが希望に満ちているかといわれるとそうでもなく、小学生の会話を聞いていると、驚くことがしばしばあります。
- 「うちは地元で大学行かせるまでが限界っぽいし、医者とかお金かかる職はまず無理。」
- 「結局何になってもAIに仕事取られていくんだろうな。」
- 「人生100年時代って、あと90年も続くって考えると最悪。」
日本に限らない話だとは思いますが、子どもの「現実を捉える目」は年々リアルで厳しいものとなっているように感じます。
今は根拠のない「大丈夫」や「なんとかなる」は通用しないのかもしれません。だからこそ、今の時代だからこそチャレンジできること、利用できる資源に目を向け、子どもの興味関心を耕していく関わりも必要になってきます。
子どもが諦めないでいられる環境づくり、「やりたい」を叶えるサポートが大人に求められる力といえるでしょう。
参考資料:ユニセフ報告書「レポートカード16」https://www.unicef.or.jp/news/2020/0196.html