教えてくれたのは……沢岻 美奈子(たくし みなこ)先生
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。女性ヘルスケア認定医。神戸にある沢岻美奈子 女性医療クリニックの院長。子宮がんや乳がん検診、骨粗鬆症検診まで女性特有の病気の早期発見のための検診を行う。診療では、更年期を中心にホルモンや漢方治療だけでなく、カウンセリングや栄養療法も取り入れている。
膣カンジダの主な症状
カンジダ膣炎において、最も困る症状は痒みです。通常、帯下(おりもののこと)は薄黄色からクリーム色ですが、カンジダ菌が膣内で増えると“カッテージチーズのようなボロボロとした帯下”に変わります。
痒みはあまり感じなくても、帯下が増えたと訴えて受診する方もいます。帯下が増えた結果、いつもと違う臭いを自覚される方もいます。
膣カンジダを繰り返してしまう人の「4つの特徴」
膣カンジダを繰り返す人には、以下の特徴が考えられます。
1.睡眠不足の人
2.食事が不規則の人
3.ストレスがあり、甘い物を食べる習慣がある人
4.抗生剤を飲んでいる人
疲れていて抵抗力が低下するとカンジダになりやすく、治りが遅くなり、再発しやすくなります。女性のみなさんは、心あたりがある方も多いのではないでしょうか。
膣内には、外部からのバイ菌のバリアをつくる乳酸桿菌が常在しています。例えば、抜歯で抗生剤を処方される、副鼻腔炎で抗生剤を処方されるなどで常在菌である善玉の乳酸桿菌が減り、バリア機能が低下するとカンジダ菌が増えやすくなるケースもあります。
悪化を防ぐために注意すべきこと
カンジダに感染した場合、症状が悪化しないように以下の点に注意が必要です。
1.糖分の摂取
ストレスを感じると糖分が欲しくなりますが、カンジダ菌は糖分を栄養に増えるため、悪化の要因になるので注意しましょう。
2.おりものシートの常用
湿度が高く蒸れた状態は、カンジダが増えやすい環境です。おりものシートの常用は、カンジダに感染しやすい方にはおすすめしません。
3.糖尿病の薬の服用
あまり知られていませんが、糖尿病の治療で尿に糖を排泄するタイプの薬を飲み始めてカンジダに感染しやすくなった方が当院に多く来院されます。糖尿病の薬を処方してくれた男性医師に、恥ずかしさから痒いことを伝えられない高齢の女性は本当に多いです。
膣カンジダの治療法
基本的な治療
クリニックで行われるカンジダ膣炎の基本治療は、まず膣内に増えてしまったカンジダ菌によるカッテージチーズ状の帯下を洗浄(洗い流す)します。その後に、2センチ弱の楕円形の膣状を膣内に入れます。この膣錠が3~4日かけて溶けていくと、カンジダ菌が減り、痒みもおさまってきます。
このほかに、容量が少なく、毎日一錠を数日間続けて使うタイプの薬もあります。
痒みが強い場合
カンジダ菌による刺激で膣入口付近の痒みが強い場合、塗り薬による治療も同時に行います。
外陰部の痒みが慢性化したときには、かき壊しを抑えるためにステロイドの軟膏を併用します。ほとんど方の膣カンジダはこの方法で治癒しますが、膣内に薬を入れることができない方や何度も繰り返す方には、内服薬を使う場合もあります。
すぐに受診できないときには市販薬で対処も
最近は、クリニックでの治療と同じように、一回の使用でほとんど治癒できる膣錠が一般の薬局でも購入できます。アプリケーターが付いているため、膣内への投薬が不安な方でも使いやすいでしょう。
カンジダは、忙しさやストレスが原因で発症することがあります。もし痒みがあって医療機関をすぐに受診できない場合は、市販薬で対処するのもひとつの方法です。
適切な治療とストレスを溜めないことが大切
先ほど説明した膣錠の治療を受けると、数日以内に痒みがおさまることが多いです。しかし、ストレスを抱えた状態が続くと、しっかり治りきらずに痒みが長引くこともあります。
「病院で処置を受けたけれどスッキリしない」「市販薬を自分で使ってみたけれど一週間経っても症状がなくならない」といったときには、医療機関の受診してくださいね。