1988年からスーパーにいる、身近な王様
スーパーマーケットのパン売り場や、おやつのコーナーでよくみかける王様がいます。
赤い楕円に王冠のマークが目印の、丸中製菓『キングドーナツ』です。
全国のスーパー約460店舗の売上(2025年1〜6月 来店客1000人当たり販売金額)を対象とした『日経POSデータ』の「袋入りドーナツ」カテゴリーにて、売上No.1を獲得。まさに「キング」なドーナツなのです。
なんと、兵庫県にある工場で、1時間に8万個も製造しているそうですよ。スーパーでの遭遇率が高い袋入りドーナツといえばコレ
参考:日経POSデータ 2025年1~6月 売上No.1を厳選して紹介!(https://ps.nikkei.com/tu/nikkeipos2508/)
“日本で一番おいしいドーナツ”を作りたい
1950年に設立された丸中製菓は、手焼きせんべいから始まり、和菓子やかりんとうを製造。
戦後の復興から高度経済成長期を経て、日本に住む人々の生活が急速に洋風化していく時代でした。
1960年代には、様々な菓子メーカーから、ビスケット、チョコレート、スナック菓子など、おやつの「大スター」といえる商品が次々に誕生します。
1970年代になっても、その勢いは衰えず、加速するばかり。人々の嗜好が変わらないはずはありません。
全国各地にスーパーマーケットが登場し、販売経路が変わる、価格競争が起こるなどして、丸中製菓にとって主力商品であったかりんとうの市場は、菓子全体の1%も満たない状態となりました。
廃業寸前の丸中製菓は「かりんとうをやめる」という決断をしました。
かりんとうと同じく、「砂糖・小麦粉・油を使ったものを出したい」「ドーナツなら今まで培ってきたことが生かせる」との思いから、倉庫の片隅でドーナツ開発をはじめたのです。
『キングドーナツ』が発売されたのは1988年のこと。
すでに市場には競合商品が並ぶなか、遅いスタートを切りました。
『キングドーナツ』と命名したのは、やるからには一番おいしいドーナツを作る、「絶対、キングになる」という熱い決意からでした。
食べやすいサイズで、ちょっとだけお腹が空いたときにも丁度いい
みんなに愛される、甘じょっぱい味
後発の『キングドーナツ』は、なぜNo.1になれたのか。
『キングドーナツ』を食べながら考えましょう。
発売当初は20個ほど入った大容量パックでしたが、現在は少人数世帯でも食べやすい6個入りです。
私は近所のスーパーで188円(※)で購入しました。
圧倒的な生産力により実現した、お財布にやさしい価格も、長く愛された理由のひとつでしょう。
※価格は地域や店舗によって異なります
賞味期限が長く、個包装であることも嬉しいですね。
山歩きなど、アウトドアのおやつに携帯するにも便利です。
私は外出時に、バッグの中にひとつ忍ばせたりもします。
袋を開けると甘い香りがふわっと!とってもシンプルできれいなかたち
じゅわっと甘くて、ほんのりしょっぱい。
ほわっとほどけるようなソフトな食感が魅力です。
表面がじゅわっと甘いのは、溶かした砂糖をかけているから。溶かした砂糖をかけて作る、かりんとう製造のノウハウが生きています。
多くの揚げ菓子は、カラッとしていることを重視しがちですが、『キングドーナツ』はしっとりと湿っているところが真骨頂。
しょっぱいのは、オリジナルのミックス粉に秘密があるそうですよ。
独特の甘じょっぱさが後をひき、つい、「もうひとつ」と手が伸びます。
幅広い年代の人に好まれるやわらかな食感
なんだかいつもそばにある、定番のおやつ
『キングドーナツ』は、ずっとこの味、このカタチ、シンプルな姿でした。
「変わらないこと」こそが、安心感や信頼感につながり、独自性も相まって、全国に“キングドーナツラバー”が増えていったのでしょう。
飽きのこない味で、時代が変化しても、新たな人気を呼んでいます。
パッケージに書かれた「ドーナツ好きのためのドーナツ」というキャッチコピーは、お客さんからの生の声から誕生したそうですよ。
なんて愛されているのでしょうか!
ドーナツ好きなら、このキャッチコピーを見て食べずにはいられない
丸中製菓の“中の人”にきいてみた「おいしい食べ方」
『キングドーナツ』をこよなく愛する、丸中製菓の方々はどんな食べ方をしているのでしょうか。
冷蔵庫でひんやり冷やした『キングドーナツ』&熱い日本茶
しっかり冷やした『キングドーナツ』は、甘さがおさえめに感じられ、塩味が立つ印象です。
熱い日本茶の渋みがよく合い、後味は爽やか。
ああ、安心感があるドーナツと慣れ親しんだ日本茶、なんともホッとする組み合わせ……。
冷たさと温かさ、温度差の妙も楽しめます。
煎茶、ほうじ茶、玄米茶などなど、試してみたいですね。
アメリカのこってり甘いドーナツとは一線を画す、兵庫生まれの甘じょっぱいドーナツは、コーヒーも合うけど、日本茶がベストかもしれませんね。
トースターで軽く焼いて食べると、香りが立ち、表面がカリッとして出来立てのような味わいに、電子レンジで10秒ほど温めれば、ふわっとやわらかく、よりソフトな食感を楽しめるそうです。温めた『キングドーナツ』は、アイスクリームとの相性も抜群ですよ。
「やっぱりおいしさが一番」とは、丸中製菓で大切にしている言葉です。
10年以上、数多くのドーナツを食べてきた私ですが、巡り巡って『キングドーナツ』を食べると、顔がほころんでしまいます。
やっぱりおいしいなぁ。