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人生のターニングポイントになる【乳がん】サバイバーに寄り添う活動から見えてきたものとは

心と体

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乳がんサバイバーの方が口を揃えて言うこととは?

saitaPULS編集部アンケート調査

ーーsaitaPULS編集部でアンケート調査を実施したところ、約1/4の方が乳がん検診を受けたことがなく、また約4割の方がセルフチェックもしていないことがわかりました。

その結果はつまり75%の方は検診に行っていることですよね。それは日本全体で見ると高いほうかもしれませんね。厚生労働省ではがん検診の受診率を50%以上とすることを目標に、がん検診を推進しています。(※2)。
私は乳がんサバイバーの方とたくさん会ってきましたが、みなさん口をそろえておっしゃるのは、「もっと早く見つけていたらよかった」、「気づいていたのに怖くて病院に行かなかったことを後悔している」ということです。

ーー気になっていても怖くて病院に行かない方もいるのですね。やはり早めに病院に行くことでメリットはあるのでしょうか。

がんの進行具合によって治療の内容も変わるので一概には言えませんが、同じ乳がん治療でも一部を切る治療と、全摘、抗がん剤治療をするなどでは、全く違いますよね。早期発見で正しい治療をスタートすれば治療の選択肢が増え、また治療による身体的負担や経済的負担も少なく、早く社会復帰できることにつながります。

※2 参考:厚生労働省|がん検診50%キャンペーン

仕事と治療の両立をしている方はどれくらい?

ーー乳がんと診断されると、仕事を辞めなくてはいけないのでは? これまで通りの生活ができないのでは? というイメージがあるのですが、実際はどうですか?

Breast Cancer and Meが行った調査によると、乳がんと診断された後も約81%の方が仕事を継続しています。厚生労働省も、がん治療と仕事を両立させることを推奨しているので、お仕事の内容にもよりますが治療をしながら働き続けることができる時代になっています。今は通院しながら抗がん剤治療ができるのです。

ーー治療後の生活を考えると、仕事を簡単に辞められないということもありますよね。

乳がんが発症しやすい年齢は、女性のライフイベントと重なりがちです。30代後半からは、女性が一番忙しいとき。仕事だとある程度のキャリアを築けている時期だし、子育てがあったり、介護が始まっていたりする方もいる。とにかく、自分一人のためではないことが多い時期なんですよね。だからこそ、周りの方のサポートが大切だと感じています。

ーー乳がんはすぐに死につながるがんではない。必要以上に恐れる必要がないということがわかりました。でも、そのためには早期発見が大事なので、発症リスクが高まる年齢になったら定期的な検診を受けることが必須ですね。

2年に1度の検診は必ず受けてほしいです。また、月に1度のセルフチェックも欠かさず行って、その際に気になるしこりを見つけたら、自己診断はせずにすぐに病院に行ってください。早期発見、早期治療をすれば、その後に新しい人生をスタートさせることができます。

月に1度のセルフチェックは欠かさずに!行う際のポイントは?

【まずは視診! 目でチェックしましょう】
鏡に向かい、次の姿勢をとり、乳房の変化をチェックします。
・両腕を高く上げる。
・両腕をまっすぐに下ろす。
・両腕を腰にあてる。
その際に、胸の周辺にひきつれ、くぼみ、ただれなどがないか確認しましょう。

【次に触診! 触ってチェックしましょう】
・3~4本の指をそろえ10円玉大の「の」の字を書くようにして、乳房全体をゆっくり触ります。特に、乳房の外側上部に注意しましょう。
・脇の下もチェックします。
※仰向けに寝た姿勢や、お風呂に入った時、石けんのついた手で触るとしこりがわかりやすくなります。
その際に、乳房のしこり、脇の下のしこり、乳首からの分泌物(乳首を軽くつまんで、血液などの異常な分泌物がないか)などを確認しましょう。

参考:東京都福祉保健局|乳がん自己触診(女性)

10月は、世界的な乳がん検診啓発月間です。自治体から、乳がん検診クーポンは届いていませんか? 
しばらく検診を受けていないという方は、この記事を読んだことをきっかけに、乳がん検診の予約を入れてみませんか?

 

教えてくださったのは……NPO法人「ビーシーアンドミー」の理事長・神農晶子さん

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修了。バイオベンチャー企業において、乳がんに関連する遺伝子検査サービスの商品開発に携わったことからマーケティングのために乳がん患者のコミュニティサイトを開設、登録者数5,000人以上の日本一の乳がんコミュニティサイトに育て上げる。そこでの経験をもとに、2016年にNPO法人ビーシーアンドミーを設立。乳がん情報サイ ト 「Breast Cancer and Me」では乳がん患者の新しいロールモデルを発信、乳がん患者のQOLの向上を目的に様々な活動を行っている。

乳がん触診イラスト:吉田敦子

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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著者

山田かほり

山田かほり

フリーライター歴10年。読んだ人の心にふわっとした空気が流れるような記事や情報をお届けできるよう心がけています。

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