ポイント1:豆腐の塩ゆで
鍋の水に1%の塩を加えて塩水を作り、大きくカットした豆腐を水から茹でます。これをするのとしないとでは大違いです。
豆腐はこのあとの調理などで多少崩れても形を保てるように大きめに切りましょう。沸騰したお湯に豆腐を入れてしまうと、型崩れする恐れがあるので、水から茹でるのがポイント。また、火を通しすぎると豆腐にスが入ってしまうので沸騰したらすぐに弱火にして5分を目安にしてください。
【塩ゆでする理由】
- 塩の浸透圧によって豆腐の水分が抜けることで、豆腐に弾力が生れて型崩れしにくくなる
- 豆腐の水分が抜けて、麻婆豆腐の味が薄まりにくくなる
- 軽く下味を付けることができる
- 麻婆餡との温度差がなくなり、短時間で素早く絡めることができるため、豆腐の荷崩れを防ぐことができる
- 加熱によって豆腐に弾力が出る
ポイント2:炒める時に、ひき肉はパラパラにしない
さぁ、炒めていきます!
よく熱したフライパンにごま油を入れて温め、一度火を止めてから、にんにくとしょうがを入れ、焦げ付かないよう火を調節しながら、こんがりきつね色まで炒めます。
続いて長ネギを加えて透き通るまで炒めます。
ここまでの工程をていねいに炒めると香りがよくなり、ネギの甘みを最大化することができますよ。
長ネギに火が通ったら、最後にひき肉を入れて炒めます。
細かくほぐして炒めるのではなく、塊のまま軽くフライパンに押し付けて、ハンバーグの表面のように焼き目をつけていきましょう。
この時、にんにく、しょうが。ネギをひき肉に寄せてあげることで、焦げ付きにくくなります。
豚肉のふちが白くなってきたら「かき混ぜるのではなく、フライパンを振ってひき肉をひっくり返す」!
ひき肉をバラバラにせず、塊のままキープできるようフライパンを揺すって返しましょう。
ひき肉を塊のまま炒めるメリット
- 香ばしさが加わり、味に奥行きがでる
- ゴロゴロしたひき肉によって、見た目がよくなる
- 食感がよくなる
ポイント3:味の調整をていねいに
味付けは料理酒、砂糖を入れてその都度よく混ぜながら炒めます。そのあとにしょうゆを加えて軽く煮詰めてください。
焦げ付かないようによく鍋を振り、ひき肉がバラバラにならないように注意。
醤油をふちから流し入れ、軽く焦がすことで香りがよくなります。
醤油を加えて少し煮詰まったら、豆板醤、テンメン醤、マーラー醤を加えてしっかり混ぜます。
水150gを水分の蒸発具合を見ながら、少しずつ入れて調整、鶏がらスープの素を加えていきましょう。
水溶き片栗粉を最後に入れますが、そのときはいったん火を消して少しずつ入れてください。
火を消してから少しずつ「入れては混ぜ」を繰り返すことで、急激に火が入ることがなくなり、ダマになりにくく、とろみを調節しやすくなります。
ポイント4:塩ゆでした豆腐をそのままイン
さぁ仕上げです。茹でた豆腐を穴あきおたまなどでお湯を切り、麻婆餡に直接入れます。
豆腐を事前にざるにあげておくと、下茹でによって水分が抜けているため、豆腐が水分を吸収しようとして豆腐がくっついてしまうことがあります。麻婆餡を作ると同時進行で豆腐の下茹でをし、鍋から湯切りして直接フライパンに入れるのがベスト。型崩れするのも防げますよ!
弱火にして豆腐が崩れないように、フライパンを揺すったり返したりして麻婆餡を豆腐に絡めていき、最後にラー油をお好みでかけて完成です!
豆腐を下茹ですることで豆腐の水分量を調整することで、味がぼやけることを防ぎ、豆腐の弾力も出て、しっかり素材を活かした麻婆豆腐にすることができます。ちょっとした手間と工夫を加えるだけで、驚くほど味に変化が出ます。お店の本格麻婆豆腐を手軽に味わいましょう。
今回教えてくれたのは、岩野上幸生さん
岩野上 幸生(いわのうえ こうせい)さん
1985年生まれ。長崎県出身。18歳から料理の修行を始め、24歳で独立。現在は東京で飲食店を複数手がける人気料理人となり、企業コンサルティングや料理の技術指導なども手掛け、マルチに活躍中。YouTubeチャンネルの「飲食店独立学校 /こうせい校長」では、さまざまな料理のテクニック、役立つ情報を発信している。YouTubeチャンネル登録者数30万人。