お話を伺ったのは……尾石晴さん
16年間の外資メーカー勤務の後、2020年4月に会社員を卒業。ワンオペ育児の合間に「ワーママはる」という名で発信をスタートさせ「voicy」トップパーソナリティに。現在は2人のお子さんを育てながら大学院生、ヨガ講師、文筆家とさまざまな顔を持つ。4冊目の著書『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』も大きな注目を集めている。
『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』
著者:尾石晴
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
価格:1,650円(税込)
立ちはだかる「40代の壁」と、どう向き合うか?
――まずは最新刊のタイトルにもあります「40歳の壁」に尾石さん自身が気づいたきっかけを教えてください。
子どもが一人のときは夫と私、2人の大人の目があったので、ベビーシッターを使うとか残業できるように長く預かってくれる保育園を探すなど、自分たちのお金や時間、パワーを使って当時の生活に合わせていました。しかし36歳で2人目を出産し、その子が2歳くらいになったときに、これまでできていたことが色々とこぼれてしまうことがあり、えもいわれぬモヤモヤした気持ちを覚えました。“40歳の壁”はそれまでもずっと合ったと思いますが、自分はこのままでいいの? と思い始め、目の前の壁に向き合わないとと思ったんです。そこからは自分の人生の後半戦をどうデザインしていくかを考えるようになりました。
――「40歳の壁」に気づいたとき、最初はどんなことをすればいいのでしょうか。
私のように徐々にうまくいかなくなってきてある日、目の前の壁の存在に気づく方もいれば、ずっとモヤモヤしたものが続いている方もいると思います。まずは時間の使い方の見直しと、違和感の原因を探ることが大事だと思います。今の生活のどこにモヤモヤするのか、何を取りこぼしているのかを考えてみましょう。どんなに小さなことでもいいので、自分のモヤモヤ感を書き出していくことが大事なんじゃないかなと思います。
まずは「キャリアの棚卸し」からはじめよう
――今後の人生を考える上で、尾石さんは本書の中でお金・つながり・健康が大事だとおっしゃっていますね。
幸せな人生には、お金・つながり・健康の3つの要素が必要だと考えています。そして、今後も仕事を続けていく上で、この機会に「キャリアの棚卸し」をすることをおすすめしています。
キャリアの棚卸しの際には、今の生活でお金・つながり・健康に関わることを書き出していきます。書き出すことで、「もっと人とのつながりがあったほうがいいかな」「自分はコレが得意だな」というように、今足りないものや、今後増やしたいものに気づきます。
このときに、足りないものばかり増やそうとするのではなく、たくさんある得意なことを使って、今後の仕事につながる何かを見つけることが大事だと思います。
小さな積み重ねが「自己効力感」を育む
――尾石さんは16年の外資メーカー勤務を経た後もさまざまなお仕事をされ、現在は大学院生でもありますね。その行動力の源はどこにあるのでしょうか?
そうですね。私の場合、自分にできるかどうかわからないことがあったとしても、過去を溯って似たようなことができていたら「前にもやったことがあるから大丈夫」「あのときうまくいったから今回もきっとうまくいく」と思って行動に移してきました。小さい失敗を繰り返して学んできたので、目標を達成するために自分を信じる「自己効力感」が育ってきているのではないかなと思っています。
世間では「自己肯定感」が注目されているかもしれませんが、私はこの「自己効力感」こそ大事なスキルだと思っているんです。
——その行動力は子どものころからですか?
どちらかというと、社会人になってからですね。長年外資系の企業にいて、行動しないと自分のポジションは守れなかったので「やらぬ後悔よりもやる後悔」が大事だなと考えるようになりました。この考えかたは何歳になってもできるんですよ。「もう〇歳だし……」「私には無理」などと諦めそうなときは、目標をできるだけ小さくして、スモールステップで進んでいくのがいいと思うんです。先ほどお話しした「キャリアの棚卸し」をしてみただけでも十分です。私も少しずつ進むことで自分の枠を広げていき、その結果いろいろなことができて行動力があるように見えるんだと思います。でもじつは、誰にでもできることなんですよ。
常に前向きで力強いメッセージをくれた尾石さん。40代は日々の忙しさや今後の生き方にモヤモヤする方も多いと思いますが、尾石さんの最新刊には背中をおしてくれるような言葉で溢れています。ぜひ手に取ってみてください。