教えてくれたのは……抗菌博士 梶浦義浩さん
1985年、株式会社シナネンゼオミックに入社。以来、抗菌剤「ゼオミック」の研究・開発に従事。現在は同社プロジェクト担当として、市場開拓も担当。抗菌試験管理士、臭気判定士の資格も有する。コロナ禍で抗菌博士として講師を務める。
お弁当の菌クイズ!やってはいけないお弁当作りのNGポイント
Q1 炊き立てのご飯を詰めて蓋をしめるのは○ or ✕?
答え: ✕
お弁当に詰めたおかずやご飯がまだ熱いうちに蓋をすぐに閉めてしまうと、菌にとって好都合な3つの条件(湿度・湯気などの水分・栄養・温度)が揃い、食中毒菌が増えてしまいます。
完全に冷ました状態で蓋を閉める、あるいは保冷剤を入れて冷やしましょう。
Q2 ミニトマトのヘタをつけたままお弁当に入れるのは○ or ✕?
答え: ✕
ミニトマトのへたの周りのように細かいくぼみがある部分には、水で洗っても細菌が残ってしまうことがあります。
洗う前にへたを取り、洗浄した後に水分をペーパータオルなどで拭き取ってから詰めましょう。
Q3 冷蔵庫(冷凍庫)で保存しておいた作り置きのおかずをそのままお弁当に詰めるのは○ or ✕?
答え: ✕
冷蔵庫や冷凍庫に保存していても、 お弁当のおかずとして持ち運びする間に食中毒菌が増えてしまうことがあります。
作り置きした食材をお弁当に詰めるときは、必ず再加熱し、よく冷ましてから詰めるようにしましょう。
〇×クイズ(出典):農林水産省HP
菌やウィルスが原因で発生する「食中毒」
「食中毒」とは、細菌やウイルス、有毒な物質がついた食べ物を食べることによって下痢や腹痛、吐き気などの症状が出る病気のことです。
「菌」って何?
「菌」とは目に見えない生き物です。
麹菌(味噌など発酵食品に含まれる)、納豆菌など私たちの役にたついい菌もいますが、お腹を壊したり病気を引き起こしたり身体に悪さをする菌もたくさんいます。
「菌」と「ウィルス」の違いとは!?
「菌」は自分で繁殖することができます。
水分(湿度・湯気など)・栄養・温度という3つの条件が揃うことで菌が繁殖しやすくなり、食中毒などを引き起こしてしまいます。例えば黄色ブドウ球菌や、大腸菌などがあります。
一方で、インフルエンザウイルスやノロウイルスなどの「ウィルス」は自分で繁殖することができません。
お弁当作りで食中毒を防ぐために守りたい3つの洗浄!
繁殖しがちな菌を防ぐためには、下記の3つが大切です。
1 手指の洗浄をしっかりと
お弁当を作る前に、まずは手洗いを正しくしっかりと行いましょう。
手洗い前と手洗い後の菌の違いを見てみると……
手洗い前が左、手洗い後が右です。いかに、手洗いが大切かが分かりますね。
手洗いの際には、流水でざっと手の表面に付着した微生物を洗い流したあと、ハンドソープで60秒程度手をもみ洗いし、流水でハンドソープを洗い流したら、清潔な乾いたタオルまたは使い捨てのペーパータオルで水気をよく拭き取りましょう。
2 お弁当箱の洗浄も確実に
お弁当箱に菌が付いてしまっていては、美味しいおかずも台無しになってしまいます。
お弁当箱もしっかりと洗浄して清潔に保ちましょう。
こちらはお弁当箱本体に付着した菌の画像です。
左が洗浄前、右が洗浄後です。
また、下記はお弁当箱の蓋部分の菌の様子です。
左が洗浄前、右が洗浄後です。
3 まな板など調理器具の洗浄も忘れなく
まな板など調理器具に付いている菌も、食中毒の原因となってしまいます。
調理器具の洗浄は、漂白剤などを使ってしっかり行うようにしましょう。
まな板の除菌前後の写真を比べてみます。漂白剤を使って洗浄しています。
左がまな板の漂白前、右が漂白後です。
実際に見てみると、洗浄前は多くの菌が存在していることがわかります。
調理器具にも丁寧な衛生管理がとても大切ですね。
まな板の洗浄方法については、「洗剤で洗った後にしっかり乾燥させてから保管する」ことを心掛けましょう。加熱食材と生食用食材でまな板の使い分けをすることも大切です。
衛生面にしっかりと気を配り、心も身体も健康なお弁当作りを楽しみましょう!