首がこって頭痛がひどい…。ただ回すだけではNG!本当にほぐれる“こり解消法”とは

心と体

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2023.04.23

肩こり、首こりを感じたときに、どのような対策をしていますか? 色々と試してもなかなか改善しない方に試していただきたいのが、「動かしてはがす」セルフケアです。今回は、肩こりと首こりのメカニズムの専門家である上田泰久先生に、“こり”を解消する簡単セルフケア方法について教えていただきました。つらい症状にお悩みの方、必見です!

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教えてくれたのは……上田泰久(うえだやすひさ)先生

上田泰久先生出典:www.bgu.ac.jp

文京学院大学  保健医療技術学部 准教授。理学療法士。横浜新緑総合病院リハビリテーション科を経て、2007年より文京学院大学所属。

「肩こり」と「首こり」は分けて考え、ケアするのが効果的

前回の記事では、「肩こり」と「首こり」が起こる原因について、ご紹介しました。

「肩こり」と「首こり」の原因は別物出典:www.photo-ac.com

症状を感じる箇所が近いため、まとめてケアしたらよいと思いがちな「肩こり」と「首こり」。
しかし、上田先生によると「首・肩の背面のこりは両方まとめて『肩こり』とされることが多いですが、肩の背面のこりを『肩こり』、首の背面のこりを『首こり』、と分けて考えた方が効果的なセルフケアが行いやすいと考えて臨床現場で実践しています」とのこと。

そして、セルフケアというと筋肉を揉みほぐすイメージが強いかもしれませんが、筋肉を「揉みほぐす」のではなく「動かして剥がす」という方法が高い効果が得られると、上田先生はおっしゃいます。

首こりを解消すると、薬に頼らず頭痛を改善できる可能性も

“こり”がひどくなると、さまざまな不調を伴うことがあり、日常生活に支障をきたしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。中でも、とくに多く耳にするのが、首こりが原因で引き起こす頭痛です。
頭痛薬に頼らざるを得ないケースも多いと思いますが、首こりと頭痛にはどのような関係があるのでしょうか?

上田先生「頚椎の両側に上頭斜筋(じょうとうしゃきん)、下頭斜筋(かとうしゃきん)、大後頭直筋(だいこうとうちょっきん)、小後頭直筋(しょうこうとうちょっきん)が一つずつ集まっており、左右8つの筋肉を合わせて“後頭下筋群”と呼ばれています。
図解出典:www.ac-illust.com

これらの筋肉も、2層目の頭半棘筋と頭板状筋とくっつくことによって首こりを引き起こします。後頭下筋群の異常は頭痛を引き起こす原因にもなります。
これは、後頭下筋群のひとつが硬くなると頭痛に関わる大後頭神経が圧迫されやすくなることによるものです。単純に、右の後頭下筋群が硬くなれば右後頭部の頭痛が引き起こされます。

転じて言えば、右の首回りが凝った後に右の後頭部に重だるさを感じた時は、首こりを解消することで薬に頼らず治せる可能性が高いといえます。」

首こりを解消するには「上下」と「左右」の動きがポイント

首こりを解消しようと、とりあえずぐるぐると首を回して動かす方が多いかもしれません。しかし、上田先生によると「上下」の動きと「左右」の動きは、それぞれ別々に意識することがポイントなのだそうです。
図解出典:www.ac-illust.com

上田先生「先ほど説明した後頭下筋群は、頚椎の上側のところに付いています。後頭下筋群は首の上下や左右の運動を行う筋肉です。それゆえ硬くなった時には、前後・左右の可動域が制限されやすくなります。
例えば、デスクワークをしている時に下を向けず机の書類が見えづらくなったり、首を回すことも難しくなったりすることがあります。後頭下筋群がある首の付け根の関節は首を回すことに大きく関係するため、首が回らなくなってきたというのは後頭下筋群が硬すぎて関節を固定してしまっている可能性が高いという所見になります。

そのため、上下の働き(伸展)には伸展系の大後頭直筋・小後頭直筋を意識したセルフケア、左右回旋には主に下頭斜筋(上頭斜筋)を意識したセルフケアというように分けて、日常生活でケアをすることが重要になります。」

それでは、上田先生に教えていただいた、日常生活の中でできるセルフケアの方法をご紹介します。筋肉を「揉みほぐす」のではなく「動かして剥がす」方法が効果的! 特別な道具は一切使わずに、誰でも簡単にできる方法です。ぜひ試してみてくださいね。

“こり”を解消!自宅で簡単にできるセルフケア

上田先生「整形外科の領域では筋肉の癒着の程度に段階があり、軽度な癒着は運動やリハビリで剥がせるといわれています。また、筋肉を収縮させて筋ポンプ作用を盛んにすることは血流の改善にもつながります。」

「肩こり」を解消するセルフケア方法

<画像1>上方回旋位で拳上(僧帽筋が優位)

「肩こり」のセルフケア 画像①

<画像2>下方回旋位で拳上(肩甲挙筋が優位)「肩こり」のセルフケア 画像②

上田先生「僧帽筋を収縮させるには、椅子に座った状態で腕を上げ、上方回旋位(画像1)から肩を挙上させてください。肩の動きを繰り返すことで主に僧帽筋を働かせることができます。
それに対して肩甲挙筋を収縮させるには、同じく椅子に座った状態で今度は腕を下げ、後背位に腕を回して下方回旋位(画像2)になってください。その状態で肩を挙上させることで、主に肩甲挙筋を働かせることができます。」

「首こり」を解消する4つのセルフケア方法

上田先生「首こりのセルフケアは、2層目の筋肉と3層目の後頭下筋群を別々に収縮させる必要があります。
後頭下筋群をひとつにせず、左右を向く時に働く“回旋系”(下頭斜筋、上頭斜筋)と、上を向く時に働く“伸展系”(大後頭直筋、小後頭直筋)とに分けたセルフケアが効果的です。」

表層筋・深層筋の反復収縮に適した、首こり改善のための4つの運動を教えていただきました。

1.回旋系の深層筋に適した反復収縮

≪イヤイヤ運動≫
イヤイヤ運動

上田先生「下頭斜筋を収縮させる運動です。平らな場所で仰向けになり、目をつぶって首を左右に動かしましょう。動かす角度は30度程度。片側3秒ほどをかけてゆっくり動かします。1セット20回、1日3セット行います。」

2.伸展系の深層筋に適した反復収縮

≪あご上げ運動≫
あご上げ運動

上田先生「大・小後頭直筋を収縮させる運動です。平らな場所で仰向けになり、目をつぶって頭を上に動かしましょう。1回に3秒。1セット20回、1日3セット行います。」

3.伸展系の表層筋に適した反復収縮

≪まくら押し運動≫
まくら押し運動

上田先生「僧帽筋、頭半棘筋、頭板状筋を収縮させる運動です。平らな場所で仰向けになって枕に頭を起き、頭で3秒ほど枕を押してみましょう。1セット10回、1日3セット行います。」

4.屈曲系の深層筋に適した反復収縮

≪あご引き運動≫
あご引き運動

上田先生「深層筋の椎前筋を収縮させる運動です。平らな場所で仰向けになり、目をつぶって顎を引いてみましょう。1回に3秒、1セット10回、1日3セット行います。」

「肩こり」と「首こり」から抜け出すためには、各層の筋肉を別々に収縮させることが改善の近道になりそうです! 各箇所のセルフケアを実践して、つらい“こり”の悩みから解放されませんか?

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著者

shukana

shukana

小学生、幼稚園児の男の子のママ。出産前まで紳士服業界に携わり、TES(繊維製品品質管理士)の資格を取得。 暮らしをより楽しく、よりラクに過ごすための方法を日々模索中です。

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