教えてくれたのは……樋口 桂先生
文京学院大学保健医療技術学部 教授 医学博士
専門分野は人体解剖学、解剖学教育、学校保健教育、高大接続教育、視覚障害者への医学教育。日本テレビ「世界一受けたい授業」、テレビ朝日「ガリベンガーV」などテレビ番組でも活躍中。著書『カラダのふしぎ カラダのしくみ』(東山書房)は、カラダに関する身近な疑問を楽しく学べる一冊。
左右の眼から得られる画像にはズレがある
右眼で見ている風景と、左眼で見ている風景。じつは同じではない、ということをご存知ですか? “解剖学のスペシャリスト”樋口桂先生は、著書『カラダのふしぎ カラダのしくみ』で、眼の仕組みについて次のように解説しています。
「左右の眼から得られる画像にはズレがあります。このズレを“両眼視差”といい、右眼からの画像情報と左眼からの画像情報の視差を使って、脳では眼に映った物体の奥行きを計算し、景色の遠近を正確に見分けています」
ふだん両方の眼を均等に使っていると思いがちですが、右眼か左眼のどちらかが「利き眼」となり、その眼から得た情報が基準となります。そして、利き眼ではない眼から得た画像とのズレを脳が計算して奥行きを割り出すことで、私たちは物を立体的にとらえることができているのです。
10秒ですぐわかる!「利き眼」の調べ方
では、自分の「利き眼」を調べる方法はあるのでしょうか?
樋口先生から教わった「利き眼」を知る方法は次のとおり。さっそく調べてみましょう!
利き眼の調べ方
- 両目を使って、まっすぐ前に2~5メートルほど離れている物品や景色を見る。つぎに両手で直径5センチほどの輪をつくり、見ていた物品が輪のなかにおさまるようにして鼻先30センチ程度のところで輪を固定する。
- 手でつくった輪のかたちを保ったまま、右眼だけを閉じる。
- 右眼を開けて、2と同様に左眼だけを閉じる。
輪のなかの物品や景色が、両眼で見たときに比べて片眼でみたときに大きくズレる眼と、あまりズレない眼があり、ズレない方が、その人の「利き眼」。手も足も右利きの人が多いように、眼も、右利きの人が多いといわれています。なかには、両手が自在に使えるように、右眼と左眼をバランスよく使える人もいるのだそうですよ!
自分の利き眼を知っていると、生活の何気ないときに役立ちます。たとえば、カメラのファイダーや望遠鏡などを片眼でのぞくときは、「利き眼」でのぞく方が見やすいのだそうです。ぜひお試しください!