教えてくれたのは……徳永 理恵先生
逗子メディスタイルクリニック院長。国立東京医科歯科大学医学部を卒業。同大学病院を経て、横須賀市立市民病院に勤務。2010年、歯科医である夫と共に、逗子メディスタイルクリニックを開院。3人の男の子の母で、乳がん・甲状腺がんの経験者でもある。日本形成外科学会、日本美容皮膚科学会、日本がんサポーティブケア学会に所属。
胸や背中、頭は汗をかきやすい
「人は、汗をかくことで体温を調節しています。つまり、汗をかきやすい部位とは、すなわち体温を下げたい部位なんです」と話すのは、医師の徳永理恵先生。
具体的には、どの部位なのでしょうか?
「胸や背中などの体幹部分や頭など、脊柱に近かったり、脳に近かったりする部位です。こうした部位は、温度変化に弱い神経組織の温度が一定に保たれるように、汗が多くなると言われています。また、関節の内側や皮膚が重なり合う部分は、汗が溜まりやすいので、汗を多くかいているように感じるようです」と、徳永先生。
汗にも、大事な役割があるんですね。とは言っても、あまりに汗が多いと不快ですし、周りの目が気になる……という方もいらっしゃると思います。そこで、徳永先生に、体感部や頭の汗を抑える方法と、汗をかいた際の対処法を教わります。
汗を抑える意外な方法とは?
体を横にして寝ると、下になった側の汗の量が減り、上側が増えるという現象があります。これを、「半側発汗反射」といいます。よって、汗の多い部位を下にして寝るとよいと思います。
また、左右の側胸部を圧迫すると、上半身の汗が抑えられ、下半身の汗が増えると言われています。顔や頭に汗をかきたくない場合は、脇の下を圧迫するように、晒などを巻くとよいかもしれません。圧迫する面積が広い方が、発汗を抑える効果が強くなると言われています。
また、「単純に脇の汗を抑えたい」という場合は、発汗を抑制する塗り薬なども販売されています。汗の腺にフタをすることによって、一時的に汗を防ぐことができます。
汗をかいた時は、どうする?
汗をかくと、「あせも」などの皮膚トラブルにつながってしまうことがあります。これを防ぐためには、汗をかいたらこまめに拭いたり、可能であればシャワーで洗い流すのをオススメします。また、吸湿性の高い服を着るのも有効だと思います。
こまめにシャワーを浴びる場合は、毎回石鹸やスポンジなどを使っていると、皮膚のバリア機能が損なわれてしまうので、ぬるめのお湯をかけるだけにしましょう。石鹸やボディソープを使うときは、よく泡立てた泡を体につけ、手のひらで転がす程度にします。そして入浴後は、しっかり保湿するようにしてくださいね。
晒を巻くことで、顔や頭の汗を抑えることができるとは、意外でしたね。お悩みの方は、一度お試しください!