「お風呂洗ってくれない?」ではもったいない。子どもの能力が伸びる“お手伝い”とは

家族・人間関係

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2024.01.29

習い事や勉強が第一で、子どものお手伝いは「時間があれば…」という話をよく聞きます。 子どもが未就学の時期はやりたがるお手伝いにも意義を感じて向き合っていたけど、就学し、勉強が忙しくなり、受験も近くなってくるとだんだん「お手伝い < 勉強」となっていくのではないでしょうか。 でも、家事を通して子どもが学べることってかけがえのない大切なものです。

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非認知能力という「生きる力」

家事とは、創造力を発揮しながら問題を解決していく能力が必要とされます。

たとえば料理。冷蔵庫を覗いて(ひき肉と玉ねぎがあるぞ)、問題が何かを考え(晩ごはんのメニューはどうしようかな)、解決策(今夜はハンバーグにしよう!)を導き出します。この一連の流れは「創造力」を駆使しなければ考えることはできません。

冷蔵庫出典:stock.adobe.com

掃除や片づけが面倒くさいときも、自分を鼓舞して「よっしゃ、やるか!」と立ち向かいます。その際に、戦略的に考えたり(片付けする日を決めたほうが続けられるかな?)粘り強く最後までやりきったり、創意工夫をして効率化したりします。

こうした能力は、非認知能力と呼ばれ、学習指導要領では「生きる力」として取り扱われています。

非認知能力とは、意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、自制心、創造性、コミュニケーション能力といった、数値で測定することができない能力のこと。

非認知能力出典:stock.adobe.com

IQや学力テストのように点数による測定をするものではありませんが、子どもの成長と将来に大きな影響を与える能力であるとして、教育の世界でも広く注目され、取り入れられている能力なのです。

創造力を豊かにするお手伝い

お手伝い出典:stock.adobe.com

お手伝いはただ親の言いなりになるだけでは、もったいない。

自主性を育み、創造力を豊かにし、創意工夫する力を養うには「任せること」が大切です。言われたからやる仕事ではなく、自発的に取り組む家族としての役割として与えてあげるのです。

家事をすることで家族の一員になる

人はコミュニティに属するとき、役割を持つことでそのメンバーの一員であると実感できます。

家族とは、人が最初に属する小さなコミュニティ。子どもは親に色々と面倒をみてもらう存在から、少しずつ家族の一員として役割を果たしたいと思うようになります。

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小さな子どもがお手伝いが好きなのは、親がやっていることを真似したいだけではありません。親が喜んでくれることや、自分が親を助けたんだぞ! という自己有力感を感じることに家族としての喜びを感じるのです。

こうした体験を家庭の中ですることはとても大切なコミュニケーションになります。しかも、言われたことをただやるだけではなく、自分で工夫したことが家族の役に立ったときに感じるやりがいと言ったら!

小さなことから大臣に任命していこう!

「任せる」ということは、責任を負うということです。そこでお勧めなのが「家事大臣」に任命すること。
たとえばお風呂掃除。親に言われて「はーい」と言ってやる。それはただ言われたことをやっているだけに過ぎません。

でも「お風呂大臣」になったとしたら、お風呂掃除や湯船にお湯をはることなど、お風呂にまつわる全般を担当することになります。「悪いんだけどお風呂掃除お願いね」じゃなくて「もう8時になるけど、お風呂いつ?」というような声がけになります。

お風呂が垢だらけになってしまったら、その掃除をするのも自分自身。なんでも先回りして親が「カビが生えそうだったから掃除しておいたよ」とやってしまうと、子どもは失敗から学ぶチャンスを失ってしまいます。

お風呂掃除出典:stock.adobe.com

お風呂がカビだらけになるのはさすがに嫌ですが、「このままじゃカビが生えちゃうよ」とか、汚れてしまったときの落とし方などはサポートしながら、どんどんお風呂大臣としてのレベルもアップさせていけばいいのです。

それに、子どもは自分の担当になると、大人が思っている以上に創造力を働かせたり工夫したりします。

学校で学んできた知識を実践したり、CMで見た洗剤に興味を持ったり、ネットで自分なりに調べたり。こうした工夫は、親に言われたことをただやるだけのお手伝いではほとんど行われません。

子どもが家庭生活から学べることは本当に多く、そして子どもの人生において価値のあることです。
ぜひ、お子さんにも家事の大切さを伝えてあげて下さい。
 

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著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント。著書に『家族全員自分で動く チーム家事』がある。

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