教えてくれたのは……大嶺 卓司先生
腎・泌尿器科 おおねクリニック院長。
“世の光であれ!(来院することで元気になれる希望の光のように)”、“ 守侍医として(患者さんの側に侍り、病から守る)” 、 “地域の健康ステーション”を基本理念として、泌尿器科専門医としての専門性を生かし、地域のかかりつけ医として貢献したいと考えています。
男女ともにある「更年期障害」。その違いとは
女性のものだと思っている方も多いかもしれませんが、男性にとっても無縁ではない「更年期障害」。男女で、どのような違いがあるのでしょうか。
大嶺先生「女性の場合、50歳前後で女性ホルモンの分泌が止まってしまう閉経を迎えるため、その前後5年の45歳ごろから55歳ごろと、時期がおおよそ決まってきます。
それに対し、男性の更年期障害は男性ホルモンであるテストステロンの低下が原因で生じる病気です。
男性ホルモンのピークは20歳代で40歳代以降に徐々に低下していくため、40歳代前後からどの年代でも生じる可能性があります。ただ、更年期障害が生じる時期は個人差が大きいです」
ストレスがのしかかる「責任世代」に生じやすい
男性の更年期障害は、生じやすい時期が幅広く個人差があるものの、最も生じやすい時期があるとのこと。さまざまなストレスを抱えやすい世代はとくに注意が必要なのだと、大嶺先生はおっしゃいます。
大嶺先生「生じやすいとされるのは、“責任世代”といわれる世代です。
責任世代とは、会社では責任ある地位、立場を任され、家族を養う責任を負う世代のことを指します。この時期に、仕事上、対人関係などの過度のストレスがのしかかることが、原因のひとつだと考えられてます」
男性の更年期障害によくみられる症状
男性の更年期障害によくみられる症状についても教えていただきました。
男性ホルモンであるテストステロンが低下すると、「体」と「心」の両方にさまざまな症状があらわれるのだそうです。
体の症状
<女性の更年期とよく似た症状>
- 筋力低下
- 関節痛
- 筋肉痛
- 異常発汗
- ほてり
- 肥満
- 頻尿など
<男性特有の症状>
- 性欲減退
- 勃起力の低下
大嶺先生「男性特有の2つの症状は、60歳代以降では『年齢のせい』『ただの疲労』だと見逃されやすいのですが、実際は男性ホルモンの分泌低下に起因することもしばしばみられます」
心の症状
- 健康感の低下
- 興味意欲の低下喪失
- 不眠
- 不安
- 焦燥感
- 集中力・記憶力の低下など
大嶺先生「テストステロンは、判断力や理解力などの認知機能を高める働きもあります。そのため、低下すると認知症につながるおそれも出てきます」
もしも、旦那さんが上記のような症状に当てはまっていると感じた場合、妻である自分自身がどのようにサポートするとよいのかを知っておきたいところです。
次回の記事では「変化に気づいたときに家族ができること」をご紹介します。