教えてくれたのは……町田奈穂さん
同志社大学大学院 心理学研究科修了。スクールカウンセラーやクリニックの臨床心理士を経験。父の後を継ぎ卸売商社の代表を務めるほか、大阪カウンセリングセンターBellflowerを設立し、精神・発達障害の人が活躍できるインクルーシブな職場づくりをサポートする人事コンサルタントや支援者支援の研究・臨床活動を行っている。
HSPの人が「苦手なこと」と「得意なこと」
前回の記事では「HSPの人の特性」について、お話を伺いました。感受性が高いHSPの人にとって、苦手なことや得意なことはあるのでしょうか。
町田さん「たくさんの人がいる場所や騒がしい場所、初めての場所などは、自分のキャパシティ以上に刺激を受け過ぎてしまいやすいため、苦手な場所と言えるでしょう。
HSPの人は人付き合いが苦手だと思われがちですが、感性が鋭いことから、人との関わりの中でこそ、その能力を発揮しやすいとされています。小さなことに気づきやすいので、共感が必要な仕事、研究・分析など細かな点に注目が必要な仕事など、頭を使う仕事に向いています。
しかし、刺激は受けやすく疲労を抱えやすいため、日々接する人の量や仕事の量などのコントロール、疲れを感じる前に休む習慣づくりなどが大切です」
HSPの人にはポジティブな言葉に変換して伝える
まわりにHSPだと思われる人がいる場合、言葉のかけ方や環境づくりに気をつけるとよいのだと、町田さんはおっしゃいます。
町田さん「HSPの人は、普通の人が気づかないほど細かい刺激を受け取っています。そして、そのことに気づいていない方もいます。
『この人は、いつも色々なことに気づける人だな』という場合には、HSPの傾向があるかもしれません。そのような人が周囲にいたとすれば、無理をさせないことが大切です。たとえ本人が楽しんでいたとしても、疲れているように見えたり、『疲れた』と言ったりした場合には、こまめな休憩をすすめるとよいでしょう。
HSPの人は、さまざまなことに自然と気づいてしまうので、下記のようなポジティブな言葉に変換して声をかけることがよいと思います。
- NG言葉『気にしすぎだよ』→OK言葉『よく気づいたね』
- NG言葉『細かいよ』→OK言葉『細かいことにも目が向けられるのは素敵だね』
HSPの人の能力を発揮するためには、ほどほどなストレス管理が必要です。周囲にいる人は、適度な休憩や安心感を感じられる場を提供する必要があるのを理解し、その環境を整えてあげることが大切です」
今後も良好な関係を築いていくためには、HSPをひとつの気質として理解することがポイントです。もし身近にHSPの人がいるときには、町田さんから教えていただいた“ポジティブな言葉”をぜひ取り入れてみてくださいね。