教えてくれたのは……管理栄養士 若山あみさん
愛知県にある「あさひの森 内科消化器クリニック」の管理栄養士。クリニックでは保険診療で野菜の栄養と体へのメリットについて栄養指導を行っている。
卵は「卵黄」と「卵白」で栄養が違う!
卵黄と卵白では、含まれている栄養素に大きな違いがあるのを知っていますか? それぞれ、体がよろこぶ栄養がたっぷり入っています。主要な栄養素と、その栄養が体にあたえてくれるメリットをご紹介します。
「卵黄」の栄養と体へのメリット
卵黄は、タンパク質、脂質のほか、ビタミンA・ビタミンE・ビタミンB群、ミネラルを多く含みます。なかでも、卵黄の注目するべき栄養素は「脂質」です。
体にうれしい効果
卵黄に含まれる脂質のうち、約30%が「リン脂質」です。この物質は細胞膜を作る重要な役割をもち、脳の活動や神経の伝達にも関わっています。
卵黄に含まれるリン脂質の中でも「コリン」という成分は、脳を活性化し、認知症の予防に有効であると言われています。コリンは、脳の神経細胞同士を繋いでいる伝達物質「アセチルコリン」へと変化し、記憶力や学習能力をアップさせてくれます。
「卵白」の栄養と体へのメリット
卵白は、タンパク質を多く含む一方で、低脂肪であり、卵黄に比べてヘルシーなところが特徴です。また、体に必要なミネラルである「セレン」を含み、抗酸化作用があります。
体にうれしい効果
わたしたちの体にとりこまれた酸素の一部は、強い酸化作用を持つ「活性酸素」になります。この活性酸素は、体の細胞膜を傷つけてダメージを与え、老化を促してしまう物質です。
そんな活性酸素の働きを弱める効果があるのが、卵白に含まれる「セレン」。老化予防につながると言われています。また、動脈硬化の予防や、免疫力を保つ働きによる感染症の予防にも効果的です。
見た目からは想像できない卵白の栄養と効果。もし今まで卵白を食べずに捨てている方がいたら、ぜひ次回からはしっかり食べてくださいね。
卵を使ったメニューのときに「プラスしたい栄養」とは
卵は、人体に必要でありながら体内では作ることができない「必須アミノ酸」をバランスよく含み、その他の栄養素も豊富に含まれることから、“完全栄養食”と言われています。
しかし、ビタミンCと食物繊維は含まれていません。そのため、卵を使ったメニューのときには「ビタミンC」と「食物繊維」を補うことで、よりバランスの取れた食事になります。日々の食事づくりに、ぜひ役立ててみてくださいね!