教えてくれたのは…株式会社ベネクス 商品企画部 井口さん
商品企画部の生地開発担当として生地の開発・品質管理を担当し、「心地いい」をキーワードに生地の開発に取り組む。常にお客様の声に耳を傾け、改善を繰り返しながら長く愛されるモノづくりを目指している。
寝るときの衣服について
一般社団法人日本リカバリー協会が実施している調査によると、約8割の日本人が疲労を感じている現代。健康的な体を作るために大切な3つの要素と言われている「運動」「栄養」「休養」のなかでも「休養」のソリューションが求められています。
そこで見直しておきたいことのひとつが、休養の質にも大きく関わってくる「睡眠の環境」。高温多湿で疲れが溜まりやすくなる夏場だからこそ、質のよい睡眠をとれるような工夫が必要です。快適に眠るためには、“パジャマの選び方”もポイントになりますよ!
寝るときの衣服に、着なくなったTシャツやジャージをなんとなく選んでいる方もいるのではないでしょうか。そこには安心や着心地、着やすさなどがありますが、眠ることを想定して作られていないため、快適に眠ることを想定している“パジャマ”がやはりおすすめです。前あき、襟付きのパジャマでなくても、“寝ることを想定した衣服”を選びましょう。
夏のパジャマによく使われる生地
季節によって、パジャマによく使われる生地の種類は変わります。一般的に夏に多く見られる生地は、以下のとおりです。
▼1.サッカー
▼2.リップル
▼3.楊柳(ようりゅう)
これらの生地は凹凸感が特徴です。凹凸感があることで、汗をかいても肌にペタッと張りつきにくくサラッと着られるため、夏に最適です。パジャマだけではなく、浴衣や甚平などの夏の装いにも広く使われている生地です。この3つ以外には、薄手のガーゼ生地も使われます。
夏の快眠に役立つ「パジャマの選び方」3つのポイント
快眠のためのパジャマ選びは、「生地と素材」「スタイル」「サイズ感とシルエット」がポイントです。蒸し暑い夏の夜でも快適に眠れるように、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1.生地と素材
サッカー、リップル、楊柳、ガーゼは生地の種類ですが、素材として特におすすめしたいのは「麻(リネン)」です。肌ざわりがサラッとしていて、接触冷感もあるので涼しさを感じられると思います。汗を吸収しやすく、通気性に優れている点もメリットです。
手ごろな価格の100%麻製品は、肌へのあたりが硬く、ゴワつきを感じることもあるかもしれません。その場合は、麻と綿が混ざった綿麻(コットンリネン)の生地を選ぶとよいと思います。
パジャマの定番とも言える「綿(コットン)」は肌ざわりがやわらかく、汗も吸収しやすい繊維です。汚れの吸着もいいのでパジャマとして最適ですが、夏には暑く感じやすいため、生地に使われている糸が強撚糸(きょうねんし・強く撚られている糸)のものであれば、シャリ感もあってベタつきにくく、サラッと快適に着られます。商品情報の記載や肌ざわりで確認しましょう。
インターネットで購入する方も多いかもしれませんが、生地は実際に触れて選ぶことが大切です。
2.スタイル
いつも同じスタイルの方も多いかもしれませんが、「半袖×半ズボン」「半袖×長ズボン」「長袖×半ズボン」「長袖×長ズボン」など、寝室の環境や体質に合わせて、パジャマのスタイルを使いわけるとよいと思います。
たとえば、エアコンをつけたままで寝ていて冷えが気になる方は、上半身の冷えの場合は長袖にする、下半身の冷えの場合は長ズボンにするなどして、工夫しましょう。暑くても寒くても、睡眠の質を低下させてしまう原因につながるため、寝室の環境とパジャマで上手に調節しましょう。
3.サイズ感とシルエット
パジャマは睡眠時の適切なゆとりを考えて作られているため、自分のサイズを選びましょう。ただしシルエットはゆとりのあるものを選ぶと、通気性がいいので涼しく快適です。ただし、ゆとりが大きすぎると寝返りの際にズレてしまい不快に感じることも。暑さよりもズレが気になる方は、裾が絞られているものやリブつきのものを選ぶとよいですよ。
今回は一般的な夏用パジャマの選び方を紹介しましたが、体質によっては適したものが異なる場合もあります。次回の記事では「暑がりや冷え性、敏感肌の方向けのパジャマの選び方」について、詳しくご紹介します。