教えてくれたのは……岸本良美 准教授
摂南大学農学部 食品栄養学科准教授。専門分野は、ライフサイエンス/栄養学、健康科学。ポリフェノールやカロテノイドをはじめとする食品成分の機能性を研究。
主な研究には「ポリフェノールと動脈硬化の関連を調べる研究」「皮膚のカロテノイド量の測定を野菜摂取量の増加につなげる研究」などがある。
主食だけ食べると夏バテの原因になる可能性大
夏バテの原因は数多くありますが、食欲不振によるエネルギー源の摂取不足がひとつの原因として考えられます。食欲が落ちると、つい“おにぎりだけ”、“そうめんだけ”といった主食(炭水化物)だけの食事になってしまう方も多いのではないでしょうか。
夏バテ防止のために注目したいのが、「ビタミンB1」と「タンパク質」です。不足しないように、日ごろの食事に気をつけることが大切です。
それぞれの栄養素が不足すると起こる症状や、上手に摂取するためのポイントをご紹介します。
「ビタミンB1」をプラスする方法
ビタミンB1が不足すると、食事から摂取した糖質をエネルギーに変える機能がうまく働かなくなります。その結果、食べてもエネルギーを体内で作ることができず、疲労感やだるさといった症状が現れます。
おすすめ食材1.玄米
ビタミンB1の摂取におすすめなのが、「玄米」です。
文部科学省の食品成分データベースによると、ビタミンB1は玄米ごはん100gあたり0.16mg含まれており、白米ごはんの8倍にあたります(※)。また、食物繊維も多く含まれており整腸作用も期待できます。よく噛むことで満腹感も得られやすいといったメリットもあります。
100%玄米にすると食べにくいと感じる方は、白米とブレンドされたものや、5分精米(5分づき)・7分精米(7分づき)の分つき米を選ぶなど、お好みのものを見つけていただくとよいと思います。
※文部科学省「食品データベース」玄米、
文部科学省「食品データベース」白米
おすすめ食材2.豚肉
「豚肉」は、ビタミンB1を豊富に含む食材のひとつです。
豚ひき肉を使ってキーマカレーにしたり、炒め物やシュウマイにしたりと、豚肉料理はレパートリーがたくさんあるので、上手に取り入れましょう。
麺であれば、甘辛く炒めた肉みそをトッピングするのもおすすめです。
濃いめに味つけしておけば冷蔵庫で1~2日ほどもちますし、冷凍ストックしておくと、忙しいときにもタンパク質をプラスすることができます。麺だけでなく、ご飯にかけたり、卵焼きに入れたりするのもよいですよ。
「タンパク質」をプラスする方法
私たちの体を構成するタンパク質は、日々新しく作り変わっています。タンパク質が不足すると、血液や筋肉の生成に必要な成分が足りなくなり、疲労が蓄積されたり、エネルギー不足によって活動がうまく行われなくなったりするなどの症状が現れます。
おすすめの食材
タンパク質を手軽に摂取するなら、「納豆」「豆腐」「卵」「ハム」などがおすすめです。
納豆や豆腐にはビタミンB1も含まれており、タンパク質とビタミンB1を同時に摂れます。ご飯や麺類だけではなく、もう一品加えることで栄養バランスをよくすることができます。
そうめんやうどんなどの麺類には、タンパク源となる錦糸卵やハムをトッピングし、きゅうりやトマトなどの野菜を加えてビタミン類を補えると理想的です。
「食欲がないから」「食事の準備が大変だから」と、主食だけで済ませてしまいがちな夏の食事。暑い夏を元気に乗りきるために、ビタミンB1やタンパク質を意識して摂取するように工夫してみてくださいね。