教えてくれたのは……マインドトレーナー 田中よしこさん
株式会社コレット代表取締役。心理学・脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。個人セッションやセミナーなどを中心に、潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。著書に『自分の気持ちがわからない沼から抜け出したい』(KADOKAWA)がある。
被害者意識が強い人の心理的な特徴
「なぜ私ばかりがこんな目に遭うのだろう……」と感じ、自分だけが不当に扱われていると落ち込むことはありませんか?
そんなときは、他人に対して不満を感じることも。このような状態が続くと、被害者意識が深く根付いてしまうことになります。
今回は「被害者意識が強い人」の心理的な特徴について、ご紹介します。
1.何でも自分に結び付けて考えるクセがある
被害者意識が強い人は、他人の行動や出来事を自分に関連していると考える傾向があります。勝手に結び付けて考える思考パターンになってしまっているのです。
例えば、誰かが思い出し笑いをしていたとします。
その光景を見て「私を見て笑っている」「バカにされている」と感じたり、他のことに注意を取られていて挨拶を返せなかった同僚に対して「自分のことを嫌っているからだ」と考えたりするなど、些細なことをすべて自分に対する個人的な攻撃だと捉えてしまうのです。
職場で仕事のミスを注意されただけで、否定されたと感じて感情が引っ張られてしまい、周りを困惑させることもあります。このような状態は、認知の歪みによるもので、実際には事実でない情報もたくさん含まれています。客観的に確認できている事実のみを認識できると、このような勘違いが減っていきますので、自分なりに思考の練習をしていきましょう。
2. 他人への期待が大きい
被害者意識が強い人は、他人に対して知らないうちにさまざまな期待をしています。そして、期待通りにならなかったときに失望して落ち込んでしまうのです。
期待は「自分のことをわかってほしい」「優しくしてほしい」という気持ちの表れです。
例えば、「常に頑張り過ぎていてつらい」と感じているにも関わらず、その状態を人に言えない場合、他人から優しくしてもらえなかったと感じたときに「あの人はひどい、自分をわかってくれない冷たい人だ」といった捉え方になってしまうのです。
誰かのせいにすることで一時的には気が紛れるかもしれませんが、このままでは自分自身も苦しくなってしまいますよね。
自分の感情を整理してコントロールできるようになることは、自分自身が生きやすく、周りの人も幸せになる生き方です。無意識のうちに、他人に理解してもらうことを期待しすぎていないかどうか、気づけるようになりましょう。
3.ネガティブな方向だけを見る
被害者意識が強い人は、ネガティブな思考パターンに陥ってしまいがちです。
日常の出来事を悪い方向に捉え、その先にやってくることまで悲観的に想像してしまう傾向があります。他人が些細だと思うトラブルも、被害者意識が強い人にとっては大きな問題に感じられ、それが大きなストレスになるのです。
脳は、ネガティブなことが起こると神経回路を強化し、同じ思考パターンを繰り返す悪循環を生むことが研究でも分かっています。
自分が大きなストレスだと思っていることについて「他の人がどのように捉えているのか」、周りの意見を聞くと参考になり、新たな視点が得られるかもしれません。
被害者意識が強くなるのは「過去」に原因があることも
被害者意識が強い人は、これまで生きてきた経験の中でトラウマやつらい思いをしたことが原因となり、常に不当な扱いを受けていると感じていることが多いです。心理学的には、過去の否定的な経験が現在の認知に影響を及ぼし、自己防衛の手段として被害者意識が形成されることも分かっています。
しかし、過去の解釈は、“今の自分”がどのようにでも修正することができます。つらいのに放置しておくのは、とてももったいないことです。
もっと楽しく人生を過ごしていくためにも、どのように修正していきたいかを考えてみてくださいね。