お話を伺ったのは…accoさん
1980年生まれ 東京都出身 神奈川在住 2011年に結婚、2015年には長女を出産。
乳がん治療中に出会ったサバイバー向けヨガに感銘を受け、インストラクターの資格を取得。現在、東京、横浜、オンラインで「頑張らない、呼吸を味わう」心と身体に寄り添うヨガを展開中。
推しは小4長女の影響でなにわ男子。大好きな花はひまわり。
「あ、夏だ、検診行かなくちゃ」
40歳の夏に乳がんが発覚したaccoさん。結婚や退職を間に挟み5年ぶりの健康診断の際、追加で受けた7年ぶりのマンモグラフィーで初期の乳がんが発覚。
「多分一生『夏だ、検診に行かなくちゃ』って思うんだろうなって。あの時は娘が1年生になる前に色々済ませちゃおう(笑)頑張らなくちゃ! って抗がん剤治療、手術、放射線と治療を進めました。おかげで発表会も入学式にも出席できたんですよ。」
治療中に出会ったサバイバーヨガ
運動は好きだったもののヨガ経験は無し。ある日LA在住のがん経験者のインストラクターが開催していた、がんサバイバー向けのオンラインヨガとお茶会に参加したことがきっかけで、深い呼吸をしながら身体と同時に心をも解放するヨガに大きな気づきを得た。
「生死をさまよったわけでは無いけど、乳がんで人生を1度リセットはしてる感じ。ヨガには身体はもちろんだけど心の解放感に救われて。なんだか病気のことで『可哀そう』って思われてるんじゃないかとか、ママ友との人間関係に迷っていた時期でもあって。」
キラキラしない等身大ヨガ
「資格を取ってスタートしたころは、レギンスをカッコよく履きこなすとか、ヴィーガンなんです、グルテンフリーでお願いします、みたいなファッション性や『インストラクターなんだから身体柔らかくなくちゃ』『インスタもキラキラさせなくちゃ』とか、『見られ方』を考えていたんですけど……『違うよ!キラキラ美魔女系をやりたいんじゃないな、そこ競うんじゃないよ』って思って、設定(笑)を変えたの。で、結局自分が大切にしたいことをイメージして『健康のためのヨガでいいじゃん』って行きついたんですね。」
10年後、今以上の笑顔でいるために!
コンセプトを等身大なナチュラル志向に方向転換。「10年後、今以上の笑顔でいられるために」というテーマを掲げて一般ヨガをオープンし、次いで「がんサバイバーのためのオンラインヨガ」もスタートした。治療中の人も主治医の許可を得たうえで参加が可能な緩やかなメソッドが特徴。
「ほんのひとときでも病気のことを忘れて過ごしてもらえたら」とサバイバーならではの心の距離感を大切にしている。
「実はこのコンセプトには裏テーマがあって(笑)私自身『10年後も生きなきゃ!』って思ってるんです。病気をして笑顔じゃない時期も経験してきたから、笑顔になれることの大切さに気付けたし、誰かの笑顔に触れると心が晴れるじゃないですか。」
「笑顔になるにはまず健康。そのために必要なのが睡眠、食事でしょ? そこにヨガもプラスして、という考え方で無理なく取り入れるのがいいんじゃないかな? って。無理なポーズはしないし、おしゃべりも歓迎してる(笑)。無理も背伸びもしない生き方……つい陥りやすい、私もだけど(笑)キラキラした誰かを追うんじゃなくて、目指すのは『10年後のHAPPYな私』。自分を幸せにするために集まっておしゃべりしてヨガもね、って。」
未来のために決めた手術
パワフルに活動するaccoさんだが、実は今年卵巣と卵管を切除する手術を受けたとのこと。
「身内に婦人科系のがん患者が多くて、私も遺伝で乳がんになったのかも? と考えたことがあって。娘を出産した時にお世話になった婦人科の先生に『遺伝子検査受けた? 遺伝性だったらがんになる可能性が高いし、なったらまた抗がん剤……』と言われて『それ絶対に嫌だ』って(笑)で、調べたら陽性で。」
再発のリスクを低くするため、またふたりめの子どもを望んでいなかったこともあり、すぐに手術を受けた。
「娘にも遺伝する可能性があるから、きちんと調べて証拠を取っておこうという気持ちもあって。保険が利いても6万円ほどと高額だったけど、検査も手術も受けてよかった。5泊6日の予定だったけど、元気だったから4泊で帰ってきちゃったし(笑)。」
励みに刺激に…娘の存在
治療中に一番力をくれたのが当時幼稚園児だった長女の存在。何やら今も大きなパワーをもらえているようで……。
「小4になった長女はチアとラクロスとなにわ男子に夢中(笑)その影響で惜し活を私も一緒に。いやもう推し活、とってもいいですね。病気や悩み、面倒なこと全部忘れられるから、ネガティブになりがちなヒトには特にススメちゃう(笑)。」
ヘナタトゥーと食とヨガ
好奇心が旺盛なaccoさん。ヨガ以外にも興味の範囲を広げつつあるようで、最近ではイベントで体験したヘナタトゥーがお気に入り。ヨガもヘナもインド発祥ということで、親近感も。
「1週間くらいで消えるので、気軽に楽しめるのがいいなと思って。白髪隠しにヘナを使っていることもあって、今、ワタシ的にはヘナブーム到来なんです(笑)」
加えて今後、考えを深めて行きたいのが食なのだとか。
「身体を作る毎日の食事について、今後はもっと勉強して行けたらと思っています。食べることが大好きだし、10年後の笑顔にも繋がると思うので。」
病気は確かに辛い体験ではあったけれど、それを翼に変えてaccoさんの人生は無限の可能性を広げつつある。サバイバーである自分にしかできないオリジナルなヨガと温かな居場所を提供し、さらに新たな夢を追いかけて……accoさんは、10年後の自分に思いを馳せている。