教えてくれたのは……樋口 直彦(ひぐち なおひこ)先生
医療法人藍整会 なか整形外科 理事長、医療法人藍整会 なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック 院長、日本整形外科学会認定専門医。Vリーグ「サントリーサンバース」チームドクター。骨折治療をはじめ関節外科、スポーツ整形外科を専門に治療。スポーツ整形外科医として、患者さんの個々のケース、タイミングを共に考え最善の治療を行なっている。
股関節の痛みを放置してはいけない場合の「4つのサイン」
股関節に痛みを感じても、「これくらいなら大丈夫だろう」と自己判断していませんか? 樋口先生によると、医師への相談を要するケースもあるとのこと。放置してはいけない場合には、注意すべき4つの兆候が見られるのだそうです。
- 痛みが持続する
- 日常の動作に影響がある
- 夜間に痛みが強くなる
- 腫れや発熱がある
樋口先生:股関節の痛みがある程度軽減する一時的なものであれば、数日から1週間は様子を見てもよいとされています。しかし、痛みが続く、歩行や階段の昇降などの日常の動作に支障をきたしているときには、早めに医師に相談することが重要です。
また、夜間に股関節の痛みが強くなる場合や腫れや発熱が見られる場合も、注意が必要なサインです。これらの症状は、単なる疲労や軽い筋肉痛だけではなく、「変形性股関節症」や「股関節唇損傷」など、治療を必要とする疾患の可能性があります。そのため、専門医による診断を受けることが推奨されます。
「変形性股関節症」の初期症状と原因
「変形性股関節症」は、40代から50代の女性に多いとされる疾患のひとつとのこと。初期症状や考えられる原因は、どのようなものが挙げられるのでしょうか。
樋口先生:変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減り、痛みや違和感を引き起こす疾患です。初期症状としては、長時間の歩行や立ち仕事で股関節が痛む、足を引きずるような歩行、動き始めに股関節がこわばる感覚が挙げられます。
原因は、加齢に伴う軟骨の摩耗、関節にかかる負荷の増加、過去のケガや関節の変形が影響するとされています。特に女性は、生まれ持った骨盤の形状(臼蓋形成不全)やホルモンの変化によって発症リスクが高まる傾向があります。
「変形性股関節症」を放置すると、手術が必要になることも
「変形性股関節症」を放置した場合、さまざまなリスクを引き起こす可能性が考えられるのだと、樋口先生は言います。
樋口先生:変形性股関節症を放置すると症状は徐々に進行し、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあるため、注意が必要です。初期段階の痛みや違和感が次第に悪化して関節の動きが制限され、歩行が困難になり、最終的には安静にしていても痛みが続くようになる場合があります。
また、痛みによる運動不足から筋力が低下して体のバランスが悪くなるため、転倒や他の部位の痛みを引き起こすリスクも高まります。状態によっては、人工股関節置換術などの手術が必要になることもあります。
健康で活動的な体を維持するためには、適切な対処法と予防策を知ることが重要です。次回の記事では「40代女性が気をつけるべきこと」について、ご紹介します。