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【認知症】になりやすい人6つの特徴「言葉が出てこない」「無気力になる」他の症状は?

心と体

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2024.07.07

「最近、もの忘れが増えている」と感じたことはありますか? 高齢化が進むにつれ、認知症の人も増加しています。認知症になりやすい人には、どのような特徴があるのでしょうか。たいや内科クリニックの加藤大也院長に教えていただきます。

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教えてくれたのは……加藤大也院長

加藤院長

糖尿病専門医・総合内科専門医・甲状腺専門医、医学博士。藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)卒業後、同大学院医学研究科内分泌・代謝内科学修了。同大学医学部内分泌・代謝内科助手、JA愛知厚生連豊田厚生病院内分泌代謝内科病棟部長などを経て2022年5月、たいや内科クリニックを開院。

記憶力や思考力、判断力が低下する「認知症」

自分やパートナーの親など、身近な人の振る舞いに、「もしかして認知症かも?」と感じたことはありますか? 高齢化が進むにつれて認知症の人も増加しています。今年5月に厚生労働省の研究班が公表したデータによると、認知症の高齢者数は2040年には584万人となり6.7人に1人の割合になると推計されます。

そもそも、認知症とはどのような状態をいうのでしょうか。たいや内科クリニックの加藤大也院長は、「認知症は、記憶力や思考力、判断力などの認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態」と解説します。

加藤院長 「認知症の初期症状には、最近の出来事を忘れやすくなる、言葉が思い出せない、物事の順序を理解するのが難しくなるなどがあります。進行すると、身のまわりのことができなくなったり、性格や行動が変わったりすることがあります」

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記憶力や判断力の低下について、「アルツハイマー」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。認知症とアルツハイマーは、どのような違いがあるのでしょうか?

加藤院長 「認知症は総称であり、複数の疾患を含む広い概念です。一方、アルツハイマー病は、認知症の中の具体的な疾患のひとつです。認知症の原因にはアルツハイマー病のほか、レビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症などがあります。アルツハイマー病は、脳内に異常なたんぱく質(アミロイドβ)が蓄積することにより神経細胞が破壊される病気で、記憶障害から始まり、徐々にほかの認知機能も低下していきます」

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加藤院長 「次のような様子があるときは、認知症の疑いがあります。こうした症状が見られる場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします」

認知症チェックリスト

  1. 短期間での記憶の喪失
  2. 言葉が出てこない、話の流れがわからなくなる
  3. 物を置いた場所を忘れ、見つけられない
  4. 簡単な計算や日常の手続きが難しくなる
  5. 着替えや食事など、身のまわりのことができなくなる
  6. 時間や場所の感覚を失う
  7. 判断力や意思決定能力の低下
  8. 気分や行動の変化(イライラしやすい、無気力になる)

もし認知症と診断されたら

身近な人、もしくは自分が認知症と診断された場合、どのように対処したらいいのでしょうか。加藤院長は、「認知症の治療には、薬物療法と非薬物療法があります」と解説します。

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加藤院長 「薬物療法は、投薬によって症状の進行を遅らせる効果があります。非薬物療法としては、理学療法・作業療法などのリハビリテーションや、心理療法などがあります。また、患者や家族を支援する仕組みとして、認知症カフェや認知症サポーター養成講座などがさまざまなところで実施されています」

認知症になりやすい人の6つの特徴

年齢を重ねても記憶力や判断力がそれほど衰えないこともあれば、若年性認知症のように65歳未満で認知症を発症することもあります。認知症になりやすい人には、どのような傾向があるのでしょうか? 加藤院長は、認知症のリスクを高める要因として、次の6つを挙げています。

【リスク1】高齢である

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年齢が上がるほど、認知症のリスクが高まります。

【リスク2】親やきょうだいが認知症である

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家族歴も、認知症リスクを高める要因のひとつです。親やきょうだいに認知症の患者がいる人は、リスクが高い傾向があります。

【リスク3】糖尿病、高血圧、高コレステロールなどの生活習慣病がある

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生活習慣病は、認知症を発症するリスクを高めます。とくに、糖尿病と認知症には密接な関係があり、糖尿病患者は、認知症のリスクが高まることが知られています。
高血糖状態が続くと、脳内の血管が損傷しやすくなり、血管性認知症のリスクが高まります。また、インスリンの働きがにぶくなる(インスリン抵抗性)と、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβが蓄積されやすくなり、アルツハイマー病のリスクを増加させると考えられています。従って、糖尿病を適切に管理することが、認知症予防の一助となります

【リスク4】不健康な生活習慣

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運動不足、不規則な食事、喫煙、過度な飲酒などの不健康な生活習慣も、認知症のリスクを高めます。

【リスク5】メンタルが不安定である

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メンタルヘルスも認知症に影響します。うつ病や社会的な孤立も、認知症のリスク因子です。

【リスク6】頭部に大きなケガをしたことがある

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過去に頭部外傷の経験がある場合は、認知症の発症リスクが高まります。

加齢を止めたり、家族歴を変えたりすることはできませんが、日ごろからバランスのとれた食生活や適度な運動を心がけて生活習慣を整えることで、認知症のリスク低下が期待できるのですね。加藤院長に教えていただいたポイントを、ぜひ日々の暮らしに役立ててみてください。

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