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「子宮体がん」のリスクが高い人“5つの特徴”【医師から学ぶ】

心と体

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2023.11.26

更年期が近づいているサインのひとつとして、月経不順が知られています。こうしたことから、40代以降は月経周期や経血量が変化するのは自然なこと、ととらえている方もいるかもしれません。でももしかしたらそれ、受診が必要な状態なのかもしれません。40代女性がとくに気をつけたい婦人科疾患のひとつ・子宮体がんについて、産婦人科医の森久仁子先生に教えていただきます。

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連載:40代女性に役立つ健康知識

教えてくれたのは……森 久仁子先生

森先生

産婦人科専門医、医学博士。大阪医科大学を卒業後、同大学産婦人科学講座に入局、同大学産婦人科学講座助教、和歌山労災病院をへて、平成25年和歌山市に森女性クリニックを開院。産婦人科としての枠組みだけではなく、女性医療の充実を目指すべく診療を行っている。

40代以降増える「子宮体がん」

厚生労働省と国立がん研究センターにより2022年5月に公表された「2019年の全国がん登録」によると、女性のがんで最も多いのは「乳がん」です。次いで「大腸がん」「肺がん」「胃がん」が多く、5番目に多いのが「子宮がん」です。子宮がんは、子宮頸がんと子宮体がんの総称で、40代以降は「子宮体がん」の罹患者が増えていきます。2019年には、1万7000人以上(※)が子宮体がんと診断されています。

※参考:国立がん研究センター「がん情報サービス」より

子宮体がん出典:stock.adobe.com

「子宮体がんとは、月経を起こす子宮内膜にできる癌です」と解説するのは、森女性クリニック院長の森久仁子先生。子宮体がんは1型と2型に大きく分けることができ、それぞれ次のような特徴があると森先生はおっしゃいます。

《1型》

  • 女性ホルモンのひとつ「卵胞ホルモン(エストロゲン)」が発生に関与している
  • 卵胞ホルモンの値が高い場合は、「子宮内膜異型増殖症」という前段階を経て発生する
  • 閉経周辺の50歳前後が最も多い
  • 予後は比較的良好なことが多い

《2型》

  • 1型とは異なり、前段階が特定されない
  • 高齢で発生することが多い
  • 予後は良くない

子宮体がんの初期症状とは?

40代を過ぎて増えてくる子宮体がん。初期には、どのような症状があらわれるのでしょうか。
森先生は、「子宮体がんの初期症状は、不正性器出血です。閉経後の出血にはとくに注意が必要」と解説します。
不正出血のほかにも、

  • 月経不順
  • 月経量の増加
  • 月経日数が長い
  • 水っぽいおりものが出る

などの症状があらわれることもあるのだそうです。

子宮体がん出典:stock.adobe.com

子宮体がんのリスクが高い人の特徴

森先生 「子宮体がんのリスクが高いのは、卵胞ホルモンが高い状態が長く続くような環境にある人です。たとえば、

  • 妊娠・出産歴がない
  • 月経不順や排卵障害がある
  • 肥満
  • 初潮年齢が早い
  • 閉経が遅い

などです。該当する方は、前述した症状がないか、ふだんから注意しておくといいでしょう」

子宮体がんを疑う場合は、どんな検査を行うの?

検診出典:stock.adobe.com

では、子宮体がんを疑う場合は、どんな検査を行うのでしょうか。

森先生 「子宮体がんを調べる検査には、『子宮内膜細胞診』や『超音波検査』などがあります。
子宮内膜細胞診は、子宮の入り口から細い器具を入れて細胞を採取し、顕微鏡で観察する検査です。痛みを伴う検査であり、約10%の偽陰性があります。

超音波検査では、子宮や卵巣の大きさや内部の様子を調べることができます。子宮体がんでは子宮内膜の厚みが増すため、超音波検査で厚みを計測します。超音波検査はほとんど痛みがない検査で、スクリーニングとしては有用ですが、卵胞ホルモンの上昇で内膜が肥厚するため、月経の周期により判断が難しいことがあります

子宮内膜細胞診が陽性あるいは疑陽性、超音波検査で内膜が厚い場合は、子宮内膜組織診をおこない確定診断をします。子宮内膜細胞診が陰性でも、不正性器出血の持続や超音波検査で子宮内膜肥厚がある場合は、子宮内膜組織診をおこないます。」

検査をしても、偽陽性や偽陰性になる場合もあるので、複数の検査をあわせることで精度が上がるのですね。

子宮体がんの早期発見のためにできること

がんの治療は、早期発見・早期治療が大切だといわれています。具体的には、どのようなことをしていると、早期に発見しやすくなるのでしょうか。森先生に教えていただいた「子宮体がんの早期発見のためにできること」をシェアします。

月経の様子がいつもと違うときは、早めに婦人科を受診する

検診出典:stock.adobe.com

閉経後の出血や、不正性器出血、月経量の増加や月経不順、月経日数が長くなったなど、いつもの月経と違う様子が見られたときは、早めに婦人科を受診しましょう。検診としては、「子宮内膜細胞診」や「超音波検査」が選択されます。

疑わしい症状がないときも、「年1回を目安に『超音波検査』を受けるのがおすすめ」と森先生。超音波検査は痛みがほとんどなく、子宮体がん・卵巣がん・子宮筋腫・子宮内膜症・子宮内膜ポリープ・卵巣良性疾患などの病気を、自覚症状があらわれる前に見つけることができます

とくに、卵巣がんは症状がほとんどなく、早期発見が難しい病気です。婦人科の病気がないかをスクリーニングするためにも、定期的に超音波検査を受けましょう。

定期的な検査を心がけ、いつもと違う様子があるときは早めに受診する。基本的なことではありますが、実行することで怖い病気を早く見つける可能性が高くなるのですね。健やかな毎日を送るためにも、森先生のアドバイスをぜひ試してみましょう!

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