教えてくれたのは……糖尿病専門医・田中祐希院長
三鷹駅前たなか糖尿病・内科クリニック院長
「一人ひとりの幸せを応援」しながら、糖尿病専門医による治療を行う。クリニックホームページ内の院内紙にて、体験記、旬野菜の糖質オフレシピなど、お役立ち情報を公開中。
「眼の見づらさ」から糖尿病と診断。改善のためにおこなったこととは
現代の国民病として、想像以上に身近な病気となっている糖尿病。
糖尿病は、血液検査結果の項目のひとつ「HbA1c」の数値で診断されます。
HbA1cは、概ね過去1か月の血糖値を反映する指標のことで、糖尿病の診断基準は6.5%以上とされています。
この数値から糖尿病だとわかる方もいらっしゃいますが、じつは合併症の症状からわかることもあるのです。
視力の低下をきっかけに、糖尿病と診断された48歳女性の事例をご紹介します。
気づいたきっかけ・自覚症状
こちらの方は、定期検診は受ける機会がなかったため、長い間受けていませんでした。
2022年9月に突然眼の見づらさを感じるようになり、眼科を受診して眼底検査を受けたところ、眼底出血を指摘されたとのこと。眼科で糖尿病による網膜症(眼の障害)が疑われ、糖尿病の検査を勧められたため、近くの内科を受診。血液検査で HbA1c 11.3%、血糖 277mg/dlと高値で、糖尿病の診断を受けたそうです。
改善・治療方法
初診時にはHbA1c 11.3%、食後血糖 277mg/dlと高値で、内服治療を開始しました。また、食事と運動についての見直しも行いました。
それまでは、夕食に米や麺類を食べすぎてしまう傾向がありましたが、夕食をシメのない鍋類に変更。小腹がすいたときにはスナック菓子を食べることも多かったところを、玉こんにゃくを食べるように変更しました。
ちょうど犬を飼い始めたこともあり、散歩のため運動量も増加。5か月後にはHbA1c 6.5%と改善を認め、犬の散歩も継続できていたようです。体重に関しても、初診時には68.8kg(身長159cmで、BMI 27.2kg/㎡)と肥満を認めていましたが、その後は60.1kg(BMI 23.7kg/㎡)と減量傾向になりました。
糖尿病の改善のためには治療だけでなく、生活習慣の見直しも重要なポイントです。診断されていない場合でも、リスクを減らすために食生活と適度な運動を意識してみてはいかがでしょうか。