教えてくれたのは……新見正則先生
オックスフォード大学医学博士(免疫学)。新見正則医院院長。
外科医×免疫学者×漢方医。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙者。最新刊『フローチャートコロナ後遺症漢方薬』
40代以降の女性は気をつけたい「糖尿病」
オックスフォード大学医学博士の新見正則先生は、40代以降の女性が注意したい病気のひとつに「糖尿病」を挙げています。そもそも糖尿病とは、どのような病気なのでしょうか?
新見先生「糖尿病は、インスリンというホルモンが足りないことで血液中の糖が増える病気です。
インスリンは、人間の体内にある血糖値を下げる唯一のホルモンです。糖尿病には1型と2型があり、1型糖尿病は、インスリンを出す膵臓の細胞が自己免疫疾患などで障害されて、インスリンがでなくなる病気です。
一方2型糖尿病は、インスリンを体内でつくることができるものの、体重が増えたことなどにより、相対的にインスリンが足りなくなった状態が続くことで起こります。」
糖尿病というと、男性がかかりやすい病気というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。しかし新見先生は40代以降の女性も糖尿病に注意が必要だと言います。
新見先生「2型糖尿病は、体重増加などが要因になって起こります。更年期の女性、とくに閉経後の女性は体重が増えやすい傾向があるので、『最近、急に体重が増えてきた』と感じたら、糖尿病のことを頭の片隅に置いておくといいでしょう。
糖尿病の症状はゆっくり進むことが多く、のどが乾く、目がかすむ、皮膚が乾燥する、疲れやすいなどの症状があったら要注意です。放置したまま進行すると合併症を起こし、腎臓の機能が低下し透析が必要になったり、失明したり、血管が硬くなって動脈硬化症につながったりする恐れがあります。」
検査は簡単!尿検査で糖尿病の疑いの有無をチェック
血糖値が高い状態が続くことで全身に症状が及んでいく「糖尿病」。症状を自覚するのが難しい場合もあるとのことですが、糖尿病の疑いの有無を調べるのは非常に簡単だと新見先生はおっしゃいます。
新見先生「糖尿病の疑いがあるかどうかは、尿検査でわかります。尿に糖が出ている場合は、血液検査で詳しく調べていきます。
BMI30以上の方や、最近体重が急に増えた方は、健康診断を受けるか、1〜2年に1回、自主的にかかりつけのクリニックで尿検査をしてもらい、チェックするといいでしょう。」
新見先生「糖尿病においてもっとも大切なのは、なるべく早く見つけて治療をスタートさせることです。治療は、まず食事療法を中心に体重を減らすことから始め、体重が落ちにくいようなら薬物療法に進み、それでも改善が見られないときはインスリン注射を行います。治療プロセスは確立されているので、少しでも早く見つけることが大切なのです。」
糖尿病を予防するためにできることは?
では、糖尿病にならないためには、どのようなことに気をつけたらいいのでしょうか? 新見先生は、体重管理の重要性を指摘されています。
新見先生「糖尿病を防ぐには、日々の体重管理が大切です。インスリンの分泌量には個人差があるので一概に何キロ以下が望ましいとは言えませんが、BMI30以上の方は要注意です。
※BMIの計算方法:BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
体重を減らすには、食べる量を抑えるのがおすすめです。炭水化物の1日の摂取量を、これまでの3分の2ほどに減らすことから始めてみましょう。」
新見先生「運動をするのも構いませんが、大変な思いをしても体重が減ったという実感を得にくいので、あまりおすすめしません。
試しにスポーツジムなどのランニングマシンで30分ほど走って、消費カロリーをチェックしてみましょう。体重やスピードにもよりますが、一般的に30分間ランニングしたときの消費カロリーは200〜300kcal程度です。一方、スーパーやコンビニに並んでいる菓子パンは400kcalを超えるものも少なくありません。体重を減らすには、食事をコントロールするほうが手軽で近道だということが、おわかりいただけるでしょう。」
糖尿病の予防には、1〜2年に一度の尿検査と、日々の体重管理が大切なのですね。からだの調子や体質が大きく変化するsaita世代だからこそ、しっかり気をつけていきたいですね!