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高血圧はリスクが2倍以上!「くも膜下出血」のリスクを高める“3つのNG行動”

心と体

2024.03.05

厚生労働省の人口動態調査によると、2019年のくも膜下出血による死亡数は、全国で1万1731人。その内訳は男性4319人、女性7412人と、女性のほうが高い割合を占めていることがわかっています。くも膜下出血はどのような病気で、前兆や予防策はあるのでしょうか。のげ内科・脳神経内科クリニックの渡邊耕介院長に教えていただきます。

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教えてくれたのは……渡邊耕介院長

渡邊院長出典:www.noge-neurology.com

のげ内科・脳神経内科クリニック院長。桜木町から徒歩1分にクリニックを構え、高精細CT、広いリハビリ室を備えた脳神経内科・呼吸器科・総合内科の診療をおこなっている。ホームドクターとして地域の健康促進を目指し、予防医療に力をいれている。

「くも膜下出血」ってどんな病気?

歌手の星野源さんやKEIKOさんなどの著名人がかかった病気としても知られている「くも膜下出血」。詳しいことはわからないけれど、漠然と「怖い病気」として認識している方も多いかもしれません。くも膜下出血とはどのような病気なのか、のげ内科・脳神経内科クリニックの渡邊耕介院長に詳しくうかがいました。

渡邊院長 「くも膜下出血は、脳のすぐ外側で髄液が流れるくも膜下腔におきる出血です。バッドで頭をなぐられるような、突然の激しい痛みが特徴です。うずくまり、嘔吐することが多い反面、普通の脳出血のように麻痺を伴わない特徴もあります」

くも膜下出血出典:stock.adobe.com

渡邊院長 「90%以上は脳を覆う脳動脈にできた瘤(血管のふくらみ)が破裂することが原因ですが、動脈瘤がない場合でも、脳血管が割けたり、急激に収縮したりすることで生じる場合もあります。10万人中、1年間で15〜20人程度の頻度で生じ、40〜60歳代に最も多く、女性が男性より1.4倍多い(※1)とされます」

片頭痛とはどう違う?

季節の変わり目や、月経サイクルなどにより、日常的に頭痛に悩まされている方も少なくないかもしれませんね。いわゆる「片頭痛」とくも膜下出血による頭の痛みには、どのような違いがあるのでしょうか?

渡邊院長 「片頭痛では、1分以内に最大に達する頭痛(雷鳴頭痛)は生じません。患者の30%に、視野の中に突然ギザギザの光の波があらわれて次第に広がって暗くなる『閃輝暗点』という症状が見られます。その後、側頭部にズキズキと痛みが生じて、1時間たってからどんどんと強さが増して数時間後にピークに達する、という経過をとります。最終的には痛みで寝込んでしまう、『数時間でピークに達する頭痛』です」

頭痛出典:stock.adobe.com

渡邊院長 「一方、くも膜下出血は『1分以内にピークに達する頭痛』です。
救急に携わる医師のあいだでは有名な、Jeffrey J Perry氏らにより2013年に発表された『Ottawa SAH』ルールというものがあります。1時間以内に痛みのピークを迎えた頭痛があるが、 麻痺は認めない成人患者で、以下のいずれかに当てはまる場合、くも膜下出血の可能性があると判定されます。逆に、すべてに当てはまらなかった場合は、おおむね除外できます。

  • 40歳以上
  • 頭部前屈で後頚部が痛くなる
  • 意識消失
  • 運動時に発症
  • 1分以内に最大に達する頭痛(雷鳴頭痛)
  • 首を前に倒せない

渡邊院長 「つまり、『1分以内で最大に達する頭痛』『後頭部がすごくいたくなって首が動かせなくなる』ときに『失神』することが、くも膜下出血に気が付く症状だと考えられます」

くも膜下出血のリスクを高める「3つのNG行動」

激しい頭痛が起こる前に、前触れとしてあらわれる症状があるといいのですが、「突然生じるものなので、前兆はないと思います」と渡邊院長は解説します。では、くも膜下出血の発症リスクを少しでも減らすために、できることはあるのでしょうか。渡邊院長に教えていただいた、くも膜下出血発症のリスクが高まりやすい3つのNG行動を紹介します。

NG行動1:喫煙

喫煙出典:stock.adobe.com

非喫煙者と比べて、喫煙者のくも膜下出血の発症リスクは5倍(※2)とされています。特に喫煙によるくも膜下出血のリスクは、女性の喫煙でより高まるとされています。禁煙は、くも膜下出血のリスクを減らす有効な手段のひとつです。

NG行動2:高血圧

血圧出典:stock.adobe.com

高血圧は、くも膜下出血のリスクを2.5倍高めます(※3)。健診や医療機関で測定して上の血圧が140mmHg以上、または下の血圧が90mmHg以上の場合は、早めに内科を受診して、医師の指導のもと高血圧の是正に取り組みましょう。

NG行動3:アルコールの飲み過ぎ

アルコール出典:stock.adobe.com

過剰なアルコール摂取は、くも膜下出血のリスクを1.5倍に高めます(※3)。アルコール摂取は、ほどほどにとどめておきましょう。

「また、脳ドックで一度は動脈瘤の有無を確認することもお勧めします」と渡邊院長。ほとんどの場合は、脳ドックで動脈瘤が見つかることはないものの、仮に未破裂動脈瘤と呼ばれる動脈瘤が見つかった場合は、大きさによって適切な処置を行うことが可能なのだそうです。

渡邊院長
 「5mm以下の場合は、破裂リスクは少ないので毎年~数年に1回、経過観察を行い、大きさがそれ以上の場合は、大きさとともに破裂リスクが高まるので(3~76倍)、腕や足の血管から脳までカテーテルを伸ばして動脈瘤にコイルをつめる塞栓術、また開頭して直接動脈をクリッピングする方法などで動脈瘤をつぶしてしまうことができます」

前兆がない病気だからこそ、備えや日々の生活習慣が大切なのですね。渡邊院長に教えていただいたNG行動をなるべく避けて、予防していきましょう!

※1 Stroke. 2022;53(2):362. Epub 2022 Jan 5.
※2 Stroke. 2004;35(3):633. Epub 2004 Jan 29.
※3 Stroke. 2005;36(12):2773. Epub 2005 Nov 10.

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