教えてくれたのは……菊池 大和先生
医療法人ONE きくち総合診療クリニック理事長 菊池 大和先生
平成29年4月11日に「きくち総合診療クリニック」を開院し、令和元年に医療法人ONEを設立。「病気を診て、人を診て、一人でも多くの命をやさしく包み込む医療を提供する」ことを診療基本理念としている。
胃がんの種類
部位別がん罹患数で、男性は3番目に、女性は4番目に多いとされる「胃がん」(※)。胃がんとは、どのような病気なのでしょうか。
※国立がん研究センター「がん種別統計情報 胃」部位別がん罹患数【女性 2019年】より
菊池先生「胃は、摂取した食物をたくわえ、胃液と蠕動(ぜんどう)運動により消化をする臓器です。大きく分類すると、噴門部、胃体部、幽門部の3つに分けられます。
胃がんは、粘膜から正常な細胞がガン化して発生します。粘膜または粘膜下層の深さのものを早期がん、それ以上に深いものを進行がんといいます」
胃がんのリスクが高い人の「4つの特徴」
菊池先生によると、胃がんにかかるリスクが高い人には特徴があるとのこと。原因となるのは「ピロリ菌の保有」や「生活習慣」「糖尿病の有無」「年齢」と、多岐にわたるようです。
菊池先生「まず一つ目は、胃がんの一番の原因となる“ヘリコバクター・ピロリ菌”を保有しているかどうかです。胃がんの患者さんの99%に、ピロリ菌感染が関係しています。不衛生な水に住んでいるピロリ菌は、1950年前に生まれた方の40%以上がもっています。また、ピロリ菌は唾液で感染するので、親がもっていれば子どもにも感染するかもしれません。
二つ目は、生活習慣です。下記に当てはまる方はリスクが高くなります。
- 過度の喫煙習慣がある。
- 飲酒の習慣がある。
- 偏った食生活を送っている。
三つ目は、糖尿病です。糖尿病を抱えている方は、通常の2倍のリスクがあります。四つ目は、年齢です。40歳以上になると、発がん率が高まると言われています」
胃がんの初期症状は出ないことも。よくある症状とは
胃がんの初期に起こりうる症状についても教えていただきました。
菊池先生「どんながんでもそうですが、初期症状は出にくく、進行していても出ない方もいます。
よくある症状として挙げられるのは、胃もたれ、心窩部痛、胸やけ、食欲不振です。検便で見つかる方も一定数いらっしゃいます」
そこで大切なのが、定期的に胃がん検診を受けることです。バリウム検査と胃カメラ、どちらを受けるべきなのか、迷った経験がある方も多いのではないでしょうか。次回の記事では「2つの検査のメリット・デメリット」について、ご紹介します。