教えてくれたのは……日本眼科学会専門医 黒木明子先生
長崎大学眼科入局後、同大学付属病院および関連病院勤務、ペンシルベニア大学留学を経て、2008年に医療法人くろき眼科を開業。患者の不安を少しでもやわらげられるように、最新の医療機器を用い、確実で誠実な診療とわかりやすい説明を心がけている。医学博士。
老眼を放っておくとどうなる?
スマホや書類の細かい文字を読むとき、思わず目を細めていませんか? 年齢を重ねれば、どんな人でも「老眼」になります。そうはわかっていても、老いを認めるような気がして、なんとなくやり過ごしていることもあるかもしれません。
「老眼の症状をそのまま放置するのはNG」と解説するのは、医療法人くろき眼科の黒木明子先生です。
黒木先生 「老眼は、残念ながら誰にでも起こるものです。老眼の症状をそのままにしていると、眼精疲労が蓄積され、頭痛、めまいなどの症状があらわれます。さらに進むと、自律神経の乱れから、肩こり、不眠、ひどくなるとうつのような症状が出ることもあります」
老眼を進める4つのNG行為
「もしかして老眼?」と感じたとき、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか。黒木先生に教えていただいた「老眼を進める4つのNG行動」をシェアします。
【NG行為1】見えにくいまま我慢する
見えにくいままにしていると、目に疲れがたまって、かえって老眼症状がひどくなります。合わなくなったメガネや、既製品のメガネを使い続けるのもNG。眼科を受診したり、メガネ専門店に行ったりして、自分に合ったメガネやコンタクトレンズを使用するようにしましょう。
【NG行為2】老眼の症状が出ていることを受け入れない
老眼を認めたくないからと、無理して我慢し続けていると、老眼症状はますます悪化します。近くのものが以前よりも見えにくくなったと感じたら、眼科を受診しましょう。
【NG行為3】暗すぎる、または明るすぎる部屋でものを見る
明るすぎるのも、暗すぎるのも、目の疲れの原因になります。また、見えにくいからと、目を近づけて猫背になったり、遠ざけて首をひいたりしてものを見るのもNG。目の疲れや肩こり、頭痛の原因になります。パソコンは50センチ、本は30センチほど目から離し、適度な明るさのもとで姿勢よく見るようにしましょう。
【NG行為4】至近距離でものを見続ける
スマホをはじめ、ものを近くで見続けると、ピント調節の役割を担っている毛様体筋が緊張状態になります。こわばった状態はなかなか改善しにくいので、1時間ほど至近距離でものを見ていたら、10分ほど遠くをぼんやり見たり、目を閉じたりして、毛様体筋をリラックスさせましょう。
黒木先生 「老眼のような症状が、白内障や緑内障などの目の病気から出ていることもあります。40代後半は、目の病気による症状が出やすくなるときです。近くのものが急に見えにくくなったなど、見え方がいつもと違うなどの状態が続くときは、眼科を受診して、チェックしてもらいましょう」
老眼の症状を進めないようにするためには、ときおり遠くを眺めて目をリラックスさせ、視力に合ったコンタクトレンズやメガネを使うことが大切なのですね。黒木先生に教えていただいた4つのNG行為を避けて、目を健やかに保ちましょう。