教えてくれたのは……菊池 大和先生
医療法人ONE きくち総合診療クリニック理事長 菊池 大和先生
平成29年4月11日に「きくち総合診療クリニック」を開院し、令和元年に医療法人ONEを設立。「病気を診て、人を診て、一人でも多くの命をやさしく包み込む医療を提供する」ことを診療基本理念としている。
「胃カメラ」と「バリウム検査」のメリット・デメリット
前回の記事では、胃がんのリスクが高い人の特徴や初期症状について伺いました。
早期発見・早期治療につなげるためには「胃がん検診」を受けることが大切なのだそうです。そこで、胃がん検診の代表的な2つの検査方法「胃カメラ」と「バリウム」の違いを教えていただきました。
胃カメラ(内視鏡検査)
菊池先生「胃カメラは、医師が行います。内視鏡で直接胃の中を観察できるので、小さな病変でも見つけやすいのがメリットです。カメラが入る際に喉に異物感があり、苦痛や嘔吐反射が起こりやすいことがデメリットではありますが、麻酔薬を使えば苦しさを軽減できます。
口からカメラを入れる経口内視鏡と、鼻からカメラを入れる経鼻内視鏡があります」
バリウム検査
菊池先生「バリウム検査は、放射線技師が行います。胃カメラよりも費用が安く、検査時間も短いので、手軽に受けられることがメリットです。
デメリットとしては、少量の被ばく、誤嚥性肺炎、腸閉塞などのリスクの可能性があります」
早期発見のために、胃カメラを1回は受けたほうがいい人とは
早期発見のために、自分自身で気をつけるべきポイントはあるのでしょうか。
菊池先生「毎日、便を見る習慣をつけることが大切です。もしも黒い場合には、胃から出血しているかもしれません。
40歳を過ぎたら、検便もあわせて、1回は胃カメラを受けることをおすすめします。胸やけ、胃痛がある場合には、必ず胃カメラを受けるようにしてください。『食べすぎたから』『ストレスだろうから』と、自分で決めつけてはいけません。
また、下記に一つでも当てはまる方も、1回は胃カメラを受けるようにしましょう。
- ピロリ菌をもっている。
- 肥満である。
- 喫煙習慣がある。
- しょっぱいものが好き。
- ストレスを感じている。
女性は、乳がん、大腸がん、胃がんが多いです。
胸やけ、胃痛、吐き気などは日常の中でもよくあることですが、少しでもおかしいと思ったら放置しないことです。いつもと違う胃痛、食欲がないなどは更年期症状にも似ていますが、勝手に思い込まないようにしましょう。症状が1週間ほど長引いたり、1か月に1回以上痛くなったりする場合には、必ず検査を受けてください」
つらそうなイメージのある検査は「受けたくない」と思ってしまうかもしれませんが、苦痛の少ない方法を選択できる医療機関もあります。未来の健康を守るためだと前向きにとらえ、定期的に胃がん検診を受けられるとよいですね。