教えてくれたのは……加藤大也院長
糖尿病専門医・総合内科専門医・甲状腺専門医、医学博士。藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)卒業後、同大学院医学研究科内分泌・代謝内科学修了。同大学医学部内分泌・代謝内科助手、JA愛知厚生連豊田厚生病院内分泌代謝内科病棟部長などを経て2022年5月、たいや内科クリニックを開院。
高血圧が引き起こす危険な病気とは
高血圧とは、医療機関で計測した上の血圧が140mmHg以上、または下の血圧が90mmHg以上の場合、もしくはその両方を満たす状態のことをいいます※。
※日本高血圧学会 一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子より
「高血圧は、多くの深刻な病気のリスクを高めます」と話すのは、愛知県豊田市にある「たいや内科クリニック」の加藤大也院長。加藤院長は、高血圧により引きおこる代表的な病気として、次の5つの疾患を挙げています。
1.心臓の病気
高血圧は、心臓に大きな負担をかけ、心筋梗塞や狭心症のリスクを増加させます。高血圧により、心臓が全身に血液を送り出すときの圧力が増え、その結果、心臓が肥大することもあります。
2.脳出血などの脳血管疾患
高血圧は、脳血管疾患のリスクを高めます。血管が破裂して脳内出血を引き起こす出血性脳血管疾患や、血管が詰まり、脳への血流が阻害されることにより発生する虚血性脳血管疾患など、高血圧はこれらの血管の損傷を促進し、脳血管疾患のリスクを増加させます。
3.腎臓の病気
長期にわたって血圧が高い状態が続いていると、腎臓の血管がダメージを受けて、腎機能の低下を引き起こす可能性があります。腎機能が低下すると、血液中の廃棄物や余分な水分が適切に排出されなくなります。
4.眼の病気
高血圧により眼の網膜の血管がダメージを受けると、視力障害や失明の原因になることがあります。
5.動脈瘤
高血圧により、血管の壁に強い圧力がかかり続けると、血管の一部がコブのように膨らみ、「動脈瘤」ができることがあります。動脈瘤は破裂すると、命に関わる危険があります。
加藤院長 「こうした病気を防ぐ鍵となるのが、『血圧を適切に管理すること』。まずは、定期的に血圧を測りましょう。そして血圧が高い場合は、ライフスタイルの改善や、降圧剤による治療を受けることが重要です」
高血圧のリスクが高まる6つのNG行動
血圧をいい状態に保つためには、定期的な血圧測定と、必要に応じたライフスタイルの見直しが大切だと加藤院長。よくない生活習慣を続けていると、高血圧が悪化する可能性もあると指摘します。
では、どのような生活習慣を避けるべきなのでしょうか? 加藤院長に教えていただいた、「高血圧のリスクが高まる6つのNG行動」をシェアします。
【NG行動.1】塩分の摂りすぎ
塩分の摂りすぎは、血圧を上昇させる大きな原因です。食べて塩辛いと感じなくても、外食や加工食品には意外と塩分が多く含まれていることを知っておきましょう。
【NG行動.2】運動不足
運動不足は高血圧のリスクを高め、定期的な運動は血圧を下げる効果があります。
【NG行動.3】アルコールの飲みすぎ
適量のアルコール摂取であれば問題ありませんが、過度の飲酒は血圧を上昇させます。1日あたりの飲酒量は、女性の場合、エタノール10〜20ml以下が目安です。これは、おおよそ日本酒1/2合、ビール中瓶1/2本、焼酎1/4合、ウイスキー・ブランデーシングル1杯、ワイン1杯に相当します。
【NG行動.4】喫煙
喫煙は、血管を収縮させ、血圧を上昇させる要因となります。
【NG行動.5】ストレス
過度のストレスも、血圧に悪影響を与えることがあります。
【NG行動.6】肥満
過体重や肥満は、血圧の上昇に関連しています。菓子やジュースなどの糖分、揚げ物などの油脂の摂りすぎ、早食いを避け、適正体重を意識していきましょう。
【適正体重の計算方法】
適正体重 = 身長(m)×身長(m)×22
加藤院長 「裏を返せば、これらの習慣を見直して、ふだんから次のように心がけることで、高血圧のリスクを減らすことができます」
- 塩分の摂りすぎに気をつける
- 適度な運動を心がける
- アルコール摂取はほどほどにする
- 禁煙する
- ストレス管理を意識する
「健康的な食事とアクティブなライフスタイルを維持することが、高血圧予防のカギ」と加藤院長。次回は、高血圧を改善する具体的な方法を教えていただきます!