教えてくれたのは……菊池 大和先生
医療法人ONE きくち総合診療クリニック理事長 菊池 大和先生
平成29年4月11日に「きくち総合診療クリニック」を開院し、令和元年に医療法人ONEを設立。「病気を診て、人を診て、一人でも多くの命をやさしく包み込む医療を提供する」ことを診療基本理念としている。
大腸がんの種類
女性の部位別がん罹患数で、乳房に次いで2番目に多いとされる「大腸がん」(※)。大腸がんとは、どのような病気なのでしょうか。
※国立がん研究センター「がん種別統計情報 大腸」部位別がん罹患数【女性 2019年】より
菊池先生「大腸は、胃や小腸で消化吸収された食べ物の残りから、水分を吸収する臓器です。
大腸がんは、大腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、肛門)にできるがんのことです。
良性の腺腫というポリープからできるものと、正常粘膜から直接発生するものにわかれます。組織的にも分類され、ほとんどが腺癌ですが、まれに神経内分泌腫瘍、悪性リンパ腫、間葉系腫瘍などもあります」
大腸がんのリスクが高い人の「2つの特徴」
菊池先生によると、大腸がんにかかるリスクが高い人には特徴があるとのこと。「食事内容」と「運動量」の2点がポイントになるのだそうです。
菊池先生「脂肪・肉類をよく食べる人は、大腸がんになるリスクが高いと言えます。とくに、動物性タンパク(赤肉)をよく摂取する方は、リスクを高めます。動物性タンパクをとると、胆汁酸が多く分泌され、大腸粘膜を刺激すると言われているためです。
その反対に、食物繊維や野菜・果物を多くとる方は、リスクが減ることがわかっています。
ほかには、運動不足もリスクが高い人の特徴のひとつです。座っていることが長い人は便秘になる可能性が高く、大腸がんのリスクが高まります」
大腸がんの初期症状は出ないことも。よくある症状とは
大腸がんの初期に起こりうる症状についても教えていただきました。
早期のものは自覚症状がないこともあり、進行してはじめてわかるケースもあるのだそうです。
菊池先生「どんながんでもそうですが、早期にはほとんど症状がありません。大腸がんは血便や下血が典型的な症状ではありますが、気づかない方、症状がでない方もいます。
下記などの症状があり、『いつもとは違う』と感じる場合もよく耳にします。
- 便秘
- 下痢症状
- 残便感
- 便が細い
- おなかが張る
もし腹痛があったり、ガスが出なかったりするなどがあれば、少し進んでいるかもしれません」
便潜血検査で陽性となり、大腸がんが発見される割合
目視では血便が確認できなくても、便潜血検査や内視鏡検査を受けることも大切なのだそうですよ。
菊池先生「目視では血便が確認できなくても、健康診断や人間ドックなどでおこなわれる『便潜血検査』で陽性となることもあります。
その後に内視鏡検査を受けた場合、さまざまな研究がありますが、2%前後で大腸がんが見つかると言われています。また、20%前後の方にポリープが見つかります」
リスクを減らすために生活習慣を見直すこと、そして、排便習慣に異変を感じたときには放置しないことが大切です。
次回の記事では「大腸がんの早期発見のためにできること」について、ご紹介します。