教えてくれたのは……菊池 大和先生
医療法人ONE きくち総合診療クリニック理事長 菊池 大和先生
平成29年4月11日に「きくち総合診療クリニック」を開院し、令和元年に医療法人ONEを設立。「病気を診て、人を診て、一人でも多くの命をやさしく包み込む医療を提供する」ことを診療基本理念としている。
大腸がんの好発部位
盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、肛門にできるがんのことを指す「大腸がん」。たとえば、「40歳以上の女性は、この部位にがんができやすい」など、年代や性別による特徴はあるのでしょうか。
菊池先生「大腸がんは全体の40%が直腸がん、25%がS状結腸癌です。大腸がんは、性別や年齢によっての好発部位はありません。
大腸は、水分を吸収する臓器です。明確な理由はわかっていませんが、水分が少ない便が直腸に長期に停滞することによって、発がん物質が大腸粘膜に長く停滞することがよくないのだと考えられています。そのため、便秘の方はリスクが高いと言えるでしょう」
大腸がんの早期発見のためにできること
前回の記事では、大腸がんは早期の段階では自覚症状がない場合もあると伺いました。早期発見のためには、「まさか自分は」とは思わずに、セルフチェックと検査を受けることが大切なのだそうですよ。
菊池先生「まずは、便に血がついていないか、細くないかなど、排便を毎回観察することがポイントです。
さらに、年齢によっても気をつけるべきポイントがあります。40歳以上の方は検便を受ける、50歳以上の方は大腸内視鏡検査を一度は受けるようにしましょう。また、家族に大腸がんの方がいる場合、40歳以上の方は大腸内視鏡検査を一度は受けることを推奨します。
当たり前ですが、便潜血検査を受けて陽性であれば、必ず内視鏡検査を受けてください。自分は痔だからといって、受けない方が結構いらっしゃいます。
女性は便秘の方が多く、痔の方も多いです。いつもと同じ便秘と思わないで、少しでもおかしいと思ったら、検便か内視鏡検査を受けるとよいと思います。痔の方はとくに気をつけて、積極的に検査しましょう」
便は健康のバロメーターだと言われています。日ごろのセルフチェックに加えて定期的に大腸がん検診を受け、早期発見・早期治療につなげられるとよいですね。