「人に迷惑をかけること」、線引きはどう伝えたらいい?
小さい頃から「人に迷惑をかけない」がわが家のルール。電車では静かにする。先生を困らせない。友達に嫌な思いをさせないなど。方針通り、周囲からは‟しっかりした子”と言われる子に育った小6の長女。しかし最近、塾の黒板が見えなくても先生に言わない、熱があっても「班の子に迷惑をかける」と登校しようとするなど、助けてもらう力の未熟さが気にかかる。人に頼れない子に育ててしまったのだろうか。
「人に迷惑をかけないように」。これは特に日本の価値観として深く根づいており、多くの家庭で大切にされている教育方針です。
もちろんとても大事なことですが、真面目に守っている子ほど、人に頼れない・断れない・困ったときに黙ってしまうなどの問題を抱えていることも。
人に迷惑はかけてほしくない、でも必要なときは周囲を頼ってほしい。
一見、相反するように見える「迷惑をかけない力」と「助けてもらう力」、どう両立して育てていけばよいのでしょうか。
「迷惑をかけない」と「人に頼る」は、両立できる
周囲を頼る癖が身についていない子に対して、「困ったら相談して」と伝えるだけでは効果がありません。
頼れない子は、‟相談すること自体が迷惑”と感じているからです。
必要なのは、「人に負担をかける」と「人と支え合う」を分けて教えること。
具体的にどのような関わりが役立つのでしょうか。
‟人を頼る行動”を日常化する
頼り方がわからない子の中には、自分のために人を動かすことへのハードルが高い子がいます。
たとえば、
- わからないことを先生に聞けない
- 店員さんに声をかけるのをためらう
- 友達と遊ぶときに、「それ嫌だ」と伝えられない
このような子に対しては、‟頼るって、こんな普通のことなんだ”という体験を増やすのが有効です。
- 道に迷ったとき、「場所わからないから駅員さんに聞こう」と尋ねる
- 「 これどうやって提出すればいいんだろう。〇〇君ママに聞いてみよう」と連絡する
- 「一人で運ぶの大変だから、パパ呼んできて〜」と家族を頼る
など、‟人を頼る行動”を日常化するのがおすすめです。
頼れない子のなかには、「助けを求める=大ごと」になっている子も。
だからこそ家庭で、「人って、意外と普通に助け合ってる」感覚を持てることが大切なんですね。
「迷惑=悪」で終わらせない
家庭で意外と多いのが、「ああいう人困るよね」「ちゃんとしてほしいよね」という会話。
もちろん自然なことですが、‟迷惑をかける人”が常に否定的に語られるばかりだと、真面目な子ほど、「自分はそうなったらだめだ」と感じやすいもの。
だからこそ、ときには「余裕がなかったのかもね」「こうなる前に助ける人がいればよかったよね」など、‟迷惑の背景”も一緒に見てください。
‟迷惑=悪”で終わらせるのではなく、事情や背景を想像することも大切なんですね。
「人の手を借りる方法」を教えていく
成長していくと、「一人でできること」にばかり目を向けられがちですが、実際の社会では「人の手を借りられる」力も重要。
一人で抱えて限界になるのではなく、周囲と適度に協調する力を持っていた方が、自分にとっても相手にとっても負担が少なくなるからです。
たとえば、
- 一人で考えても難しいときは、誰に相談したらいいかな?
- 部長だからって一人で抱えることないよ。チームのみんなに力を借りるならどう頼れそう?
- 部屋の片づけ、全部一人でやるのは大変かな。じゃあママは何を手伝えばいい?
人の手を借りる選択肢を与える、借りる方法を一緒に考えるなどのサポートが役に立ちます。
人に助けを求め、助けを得られた子は、人を助けられる子になります。
これから育てていきたいのは、「人を適度に頼って、自分で立て直す力」。
お互いに支えあって気持ちよく過ごす経験を積んでいけるといいですよね。



