子どもの「自分で考える力」を育てる“親子の会話”

家族・人間関係

stock.adobe.com

2026.07.20

臨床心理士・公認心理師のyukoです。最近は、子どもの位置情報を把握し、LINEのやり取りを確認したり、友達関係まで詳しく把握したりしている親御さんが多いようです。今は親が子どもの状況を把握しやすい時代ともいえます。しかし、常に把握される環境は、子どもの自分だけの感覚を育てにくくすることも。安心と管理の境界線を考えていきます。

広告

「ママだったら」が口癖の娘。このままで大丈夫?

小5の娘。娘のクラスの人間関係やLINEの内容、習い事であったことなどは、すべて把握している。娘もよく話してくれるので助かっている。しかし、ふと気にかかることが。それは娘が、「ママならどうする?」「ママだったらこうするかなと思って」「どっちがいい?」と私の意見を中心に考えている様子。娘の考えや意見を育てていくにはどうしたらよい?

料理する子ども出典:stock.adobe.com

よく話してくれるお子さんや、親子で距離が近いと、子どもの周辺情報をかなり詳しく把握できるかもしれません。
親子ともに安心できるというメリットはありますが、問題は「親の感覚」が軸になってしまうこと。
「自分はどうしたいか」よりも、「ママだったらどう考えるかな」「ママはなんて言うかな」という考えが頭をよぎるんですね。

自分自身の感覚を少しずつ育てていくためには、どのような関わりがあったらよいでしょうか。

今の子どもたちは「ずる」をしにくい

令和の親は、昔よりはるかに子どもの情報を持っています。

  • 学校からの連絡はアプリで届く。
  • 習い事の予定も共有できる。
  • 位置情報を利用して子どもの居場所を把握できる。

親としては当然、「何かあったら困るから」という気持ちですよね。
実際、子どもの安全を守るためには大切なことですが、親が子どもの情報を把握しすぎているため、子どもが身につけづらくなっているものもあります。

それは、「ずる」や「内緒」です。
もちろん、人を傷つけるような嘘や危険な隠し事を勧めたいわけではありません。

ここでいう「ずる」とは、

  • 帰り道に少し遠回りして、知らない道を見つけてみること。
  • 寄り道した図書館で知らない本に出会うこと。
  • 友達との会話で傷ついたけど、一人で消化すること。

本を選ぶ子ども出典:stock.adobe.com

どこかで親に見られている、全部親に話さないといけない、という状況だと得られない経験です。
親が干渉しない時間や、管理の及ばない時間の中で、「自分だけの感覚」が育っていくんですね。

では、「子ども自身の感覚」を育てていくには、どのような関わり方が役立つのでしょうか。

広告

子ども自身の感覚を育てるためにできること

「どうだった?」は数日おきに

親子関係が良い家庭ほど、「学校どうだった?」「誰と遊んだ?」「何があった?」と聞くことが習慣になっています。
もちろん悪いことではありませんが、親の方から何も聞かない日を作ってみるのもおすすめ。
子どもが話したら聞く、話さなければそのままにします。

すると意外なことに、寝る前や数日後に突然話し始めることが。
親への報告ではなく、自分の中で整理された気持ちや出来事を聞けるようになります。

家族会議ではなく「親抜き会議」を作る

兄弟がいる家庭なら、「自分たちで決めてみて」と親があえて入らない場面を作るのも意外な効果を発揮します。

たとえば、

  • おやつを何にするか。
  • 休日に何をするか。
  • 旅行先で何をしたいか。

内容は小さなことで十分です。

話す親子出典:stock.adobe.com

親がいると、無意識に「正解はどれ?」と親の反応を気にしてしまう子もいます。
しかし親がいなければ、自分たちで考えるしかありません。

一人っ子の場合は、友達との約束の決め方、自由時間の使い方、習い事の準備など、「親に聞かずにまず自分で決める場面」を少し増やしてみるのもおすすめです。
自分で判断する経験を作っていくことが、子どもの成長に繋がっていきます。

「ママならどうする?」にすぐ答えない

「ママならどうする?」「どっちがいいと思う?」が口癖になっている子もいます。
そのような子に対しては、「今日はママの意見、お休み」「先に〇〇の案を聞かせて」と返してみるのがおすすめです。

親御さんがしっかりしている家庭ほど、子どもが「自分の判断を信じる経験」が少なくなってしまうことがあります。
子どもが考える前に、親の持っている答えを渡さないことも大切なんですね。

親が全部把握している環境は、親子ともに安心かもしれません。
しかし自立に向けて、少しずつ「親が知らなくても、自分で考えて判断できる子」になっていく必要もあります。
親が子どもの感覚を信じ、そして子どもが自分自身の感覚を信じていけるといいですよね。

広告
Googleにsaitaをお気に入り登録する saita(サイタ)に を入れるだけ!

著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

この記事をシェアする

気になるタグをチェック!

saitaとは
広告

人気記事ランキング

ランキングをもっと見る