「今日どうだった?」では「別に」で終わる。臨床心理士が教える【聞き方のちょっとした工夫】

家族・人間関係

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2026.09.13

臨床心理士・公認心理師のyukoです。最近、SNSでは話せる一方で、親と面と向かって話すのは苦手という子もいます。背景には、SNSやスマホの利用時間だけでは説明できない、さまざまな理由があります。今の時代にあった親子のコミュニケーションを考えてみます。

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最近話してくれないのは思春期だけが理由?

娘は最近すぐに「疲れた」と部屋にこもりがち。しかし、しばらくすると友達とのメッセージのやり取りで笑っている声が聞こえてくる。その後、娘が「友達からのメッセージにどう返そう?」と、スマホの画面を見せてきた。家ではほとんど話さない娘がメッセージ上ではよく話していることがうかがえた。「私には学校のことを話してくれないのに、友達とはこんな話をしてるんだ」と寂しさを感じる一方、「もしかしたら対面だと話しにくいのかな?」とも感じた。

思春期の子どもと親出典:stock.adobe.com

思春期だから話してくれない。親との口数が減るのは仕方ない。
そう考え、親子の会話が減っていくこともあります。
しかし背景には「話したい気持ちはあるけれど、対面だと話しにくい」と感じている子どももいます。
なぜそのように感じるのか。また、親子のコミュニケーションを円滑にする工夫も考えてみましょう。

「話せない」のではなく、「話しながら考える」のが苦手

  • 「嫌だったけど、私も悪かったかもしれない」
  • 「仲良くしたいけど、ちょっと疲れる」
  • 「先生には言いたいけど、大ごとにはしたくない」

土手に座る子ども出典:stock.adobe.com

小学校高学年くらいになると、一つの出来事にいくつもの気持ちが混ざるようになります。しかし、その複雑な気持ちを、親から「どうしたの?」「結局何が嫌だったの?」と聞かれた瞬間に説明するのは難しいもの。
「違う、そういう意味じゃない」と思っても、うまく説明できず、「別に」と終わらせてしまうんですね。

一方で文字でのやり取りなら、書いたり消したりしながら、自分の気持ちを整理する時間を持てます。
つまり、文字でのやり取りは、単なるコミュニケーション手段ではなく、自分の気持ちを整理するための“下書きの場所”になっていることがあります。

これは「SNSに依存している」という話とは少し違います。子どもによっては、文字を使いながら考えを整理することが、自然なコミュニケーションになっているのかもしれません。

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話を聞くだけでなく、気持ちを整理する時間も尊重する

では、子どもが自分のペースで気持ちを整理し、話したいときに話せるようにするには、親はどんなことを意識すればいいのでしょうか。ここからは、親子の会話が減っていく時期に意識したい3つのことを紹介します。

子どもが求めている聞き方を尋ねる

「今日どうだった?」では「別に」で終わってしまいがち。
「最近、学校で考えること増えた?」「今、ちょっと気になってることある?」などと聞いたほうが答えやすくなります。
そこで子どもが話をしてくれたら、「それって、聞くだけのほうがいい話? それとも一緒に考えたい話?」と確認するのも大切。

大人同士の会話でも、一方はただ愚痴を聞いてほしかっただけなのに、もう一方は解決策をアドバイスして、すれ違ってしまうときがあります。
親が勝手に「相談」と決めつけず、子どもが「今日はただ聞いてほしい」「一緒に考えてほしい」「まだ自分でもよく分からない」と自分の状態に合った伝え方を選べるようにすると、子どもも話しやすくなります。

 「文字で話してきたこと」を、無理に対面で聞き出さない

学校からの帰り道や家でそれぞれ自室にいるとき、子どもからメッセージで「明日の発表、嫌だな」と送られてきたとします。
親としては、「何が嫌なの?」「ゆっくり座ってちゃんと話す?」と聞きたくなります。
しかし、必要以上に深刻にとらえず「そっか。明日ちょっと嫌なんだね」くらいのほうが気持ちがおさまることも多いです。

そして大切なのは、子どもから言い出さなければ対面で無理に話させないこと。
「文字で言えたこと」を、親の都合で“対面で詳しく話すこと”に変えないのがポイントなんですね。
この距離感が、子どもにとって「この家では自分のペースで話していい」という安心につながります。

スマホを見る子ども出典:stock.adobe.com

 「親に言わないことがある」を問題にしない

思春期に入ると、子どもには親に話さず、自分の中で考えることも増えていきます。
友達とのやり取り。自分だけで考えていること。まだ言葉にしたくない気持ち。

これは必ずしも、親子の距離が遠くなったということではありません。
むしろ、「親に話さずに自分で考える力」が育っているとも考えられます。親がすべてを知ろうとしないことも、子どもの自立を支える関わりの一つなんですね。

高学年の子どもにとって、親は「何でも知っている人」でいる必要はありません。親は、自分の考えがまとまっていないときでも、その気持ちを安心して預けておける相手。それくらいの存在でいるほうが、子どもはかえって自分から話したくなるのかもしれません。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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