家事育児と仕事の両立は“女性の課題”ではなく「幸せのための家族戦略」である

家族・人間関係

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2023.07.24

先日、あるイベントで「ワーキングママは、仕事と家庭の両立の課題に苦しんでいる」という発言を聞きました。 たしかに、両立の課題で苦しんでいるのはやはりママが多いように感じます。 一方のパパは、「どうにかしなくちゃな」とは思いつつも、苦しんでいる、というのとはちょっと違う。 でも、両立の課題というのは、ママの課題、パパの課題ではなく。 家族が幸せであるための「家族戦略」じゃないかなと思うのです。

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僕らの親世代と、子育て世代では「結婚」の意味が違っている!?

僕の親世代といえば、現在70代以降のいわゆる団塊世代。
もうれつサラリーマンだったこの世代にとって、結婚とは「家を守り、夫を支える嫁を迎えること」でした。もちろん地域や個人の価値観の違いはあったとは思いますが、親世代の結婚感や話を聞いているとそうした傾向が少なからずあるなと思います。

僕の親も、田舎の小さなコミュニティで根強く生きる、こうした価値観を持ちながら結婚をした夫婦でした。

グラフ出典:www.gender.go.jp

それを裏付けるかのように、僕が小学生のころの男性の家事時間はわずか15〜20分程度。
この時間じゃ、お皿洗いすらちゃんとやっていない人がほとんどだったのではないでしょうか。

また、1980年代は圧倒的に専業家庭が多く、共働き家庭は少なかったのです。

グラフ出典:www.gender.go.jp

1985年の「男女雇用機会均等法」制定まで、女性の働く権利はほとんど認められず「女は結婚するまでの腰掛け」「寿退社するのが幸せ」が当たり前な時代だったのです。

「バリバリ働いて、給料が右肩上がりで、終身雇用で安泰な大黒柱である夫を、優しく温かく支えることが妻の役割」だったし、そうすることで生活の安泰を保証されていた時代でした。

食器を洗う女性出典:stock.adobe.com

さて、でもそんな時代に産み落とされた僕たち就職氷河期世代にしてみれば、そんな家庭像なんて「ちゃんちゃらおかしい」わけです。
夫の給与は右肩上がりじゃなく、ずっと安泰だったはずの大企業はバンバンなくなり、共働き家庭が専業家庭の世帯数を圧倒し、税金は上がり、年金もあてにできず、男女平等意識が広がり、男性も家事育児するのを求められる時代となったのです。

そんな僕たちや、その下の世代にとって「結婚」とはなんなのでしょうか?

「家を守る?」「世話してくれる配偶者を得る?」「親を安心させるために結婚する?」「世間体が悪いから結婚する?」まだこうした価値観がなくなったとは言いませんが、すこししっくり来ません。

「そんなことのために結婚するくらいなら、独身でいいや」って思っても不思議ではない。

僕たちは「幸せになるために、結婚する」。

この感覚の方が、ずっとリアルで身近な気がします。

僕は、結婚とは「ふたりが互いに幸せになるためのパートナーシップ」のことだと考えています。

お互いのキャリアや人生を支え合う関係

幸せの定義も人それぞれですが、僕は自分が望むキャリアを歩むことは欠かせないと思っています。
子育てをしている共働きカップルにとって、キャリアをどうやって築いていくかは、ときに個人の問題ではなく家族の問題へと広がっていきます。

夫婦出典:stock.adobe.com

そのとき、そのタイミングによって夫が仕事をセーブして家庭を支える必要があるときだってあるでしょう。
妻が子育ての中心を担い、夫は仕事をがんばったほうがいい、ということだってあると思います。

大事なのは、家族でこうした話し合いができる関係性であり。
お互いが、それに向けて応援しあったり、調整し合ったりできることではないでしょうか。

結婚当初。僕は妻のサポートをたくさん受けながら起業をしました。収入のあてもほとんどない中、妻の給与がわが家の支えだった時期があります。あれから10数年。いまは妻が、新しいキャリアへの挑戦の真っ最中です。僕は仕事を少しセーブしてでも、家事育児の中心を担っています。
この関係は、子どもの成長や、お互いのキャリアのフェーズや、健康状態や介護問題などと共に変わっていくでしょう。

でも、その都度変わればいいと思うのです。

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「結婚」とは、「夫の戸籍に入ること」ではなく「お互いの両親の戸籍から出て、新しい戸籍をつくること」なのです。(※ 法的な意味において)

お互いが、どうやったら幸せでいられるのか。
そんな前提に立って、家事シェアをしていきたいと思います。
 

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著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント。著書に『家族全員自分で動く チーム家事』がある。

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